知的財産への取り組み
知的財産の保護・活用
当社は知的財産の保護・活用によって事業活動をサポートし、企業収益の向上につなげることを基本的な考え方として知的財産マネジメントを推進しています。
技術革新が成長を牽引する半導体業界において、持続的な成長を実現していくため、当社は産学連携を含む研究開発をグローバルに展開しています。知的財産部門が各地の開発・生産拠点において研究開発部門や事業部門と連携するとともに、本社においてもマーケティング部門と連携することで、開発におけるシーズや市場のニーズに基づき創出されるイノベーションを適切に保護し、Shift Leftを重視した研究開発戦略に対応する知的財産権ポートフォリオを構築しています。
知的財産ポートフォリオ
2023年に創出された発明の数は、日本で 1,186 件、海外で 303 件にのぼりました。出願に至った発明件数のうち、複数国に出願された割合であるグローバル特許出願率*1は、5年連続で約 75%を維持し、許可率*2は日本で81%、米国で80%に達しています。また、国内外のパートナー企業さまや、コンソーシアム・アカデミアとの協業においても数多くの発明を創出しており、過去3年間で61件の特許を共同出願しています。
その結果、2024年3月末時点の特許保有件数*3は、半導体製造装置業界でNo.1の23,249件であり、知的財産の分野における優位性をグローバルレベルで構築しています。
また、当社の特許ポートフォリオは、他社への影響力や近年の技術的価値上昇度などにおいて高い評価を受けており、2023年に引き続き、「Clarivate Top100 グローバル・イノベーター 2024」、および「LexisNexis Global Top 100 Innovation Momentum 2024」にも選出されています。
当社は、知的財産を中長期的な企業価値向上における重要な資産と位置づけており、今後も量と質の両面で競争力のある知的財産権ポートフォリオを構築していくことで自社技術の差別化を図り、製品競争力の向上に努めていきます。
*1:各国への出願分に特許協力条約に基づく国際出願分を追加したデータに基づき作成
*2:2023年データに基づき作成
*3:2020年3月期~2022年3月期は社内データ、2023年3月期以降はLexisNexis®PatentSight®データに基づき作成
発明者表彰制度
知的財産ポートフォリオのグローバルレベルにおける優位性を支えている発明者の知的財産創出活動を促進するため、当社は表彰制度を設けています。本制度では、入社後初めて発明が出願に至った際など、発明者としてのさまざまなステージに合わせた表彰制度が設けられています。
01TEL Master Inventor
TEL発明者の中で最高峰の栄誉
(特許ポートフォリオ発展への多大な貢献・知財創出活動への模範的姿勢)
02TEL Major Inventor
TELキー発明者としての認定
(発明者全体の上位数%)
03Inventor of the year
年間で最も特許ポートフォリオ発展に貢献した発明者としての認定
(各年の特許登録実績)
041st Primary Inventor
TEL入社後初めて出願に至る発明届出をした記念
特に、自身の発明活動に加え後身の育成を通じてTELグループの知的財産創出活動に多大な貢献をした発明者は、TEL Master Inventorとして顕彰されます。8名の発明者がこれまでに認定されています。
このような制度を通じ、発明精神の若い発明者への継承を図るとともに、積極的な知的財産創出活動の推進により、製品競争力の継続的な向上を図っています。
TEL Master Inventor認定者コメント
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輿水 地塩さん
東京エレクトロン宮城
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些細な現象も見逃さない
“眼”こそが財産です
皆さんには是非 “現状に満足することなく、本質を考え技術を極めていって欲しい”と願っています。
そのためには興味や好奇心を持って自分の手でもう一歩先、さらに先へと深く掘り進めることが大切だと思います。
とはいえ、努力が結果に直接結びつかないことが多いのも事実です。
私自身も何度も経験し、そのたび苦しい思いもしてきました。
しかし自ら考え、経験したことは脳裏に深く刻まれ、その結果些細な現象も見逃さない"眼"が養われます。
それこそが開発者としての財産です。
この“眼”を養うことで新しい発想や具現化手段の着想が生まれ、また想定外の結果にも素早く対応出来るようになるのです。
努力しても報われないという厳しい現実に直面したとても、自分で考える、深堀する努力を続けるべきであり、
そこから多くの経験を積んでいってほしいと思います。
やがてこれらの経験が自らの新たな価値創出に繋がっていくのですから。
皆さま一人一人の意識や技術が向上することで、これからのTELの実力がさらに向上すると信じています。
皆さまのご活躍を期待しております。
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長谷部 一秀さん
東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ
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若い開発者のために
開発環境を整えていきます
たくさんの偉大な先輩方がいらっしゃる中で賞をいただき、非常に恐縮しています。新しい技術を発明として法的に権利を守ることができる知的財産権は私たちのような技術革新を基盤として事業をつくり出し、成長していく業界にとって非常に重要です。私の経験の中でも何度か差別化技術の権利を脅かされたことがあります。知的財産権をしっかりと保有し、その権利の範囲を戦略的に広げ確保していくことは、私たちの事業を安心して拡大していくこと、差別化技術の切り崩しを防ぐために必ず必要になります。イノベーションはその道のトップの開発者そして広い思考を持った人にのみ(言い過ぎか?)手に入るお宝です。若い開発者の皆さんがしっかりと地に足をつけ研究開発できる、また日々高まる先端技術ニーズに対して取り組んでいくことができる開発環境を整えていきたいと思います。そして技術が、開発者がリスペクトされるよう努めていきますので皆さん頑張って発明してください。
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吉原 孝介さん
東京エレクトロン九州
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諦めず、粘り強く、
考えること自体を楽しみましょう
期待通りの結果とならなかった提案もたくさんありますが、改めて振り返りますと、以下の2点が受賞につながった要因ではないかと思っています。
①関わった製品について、改善の余地が残されているポイント(課題)を常に意識しておくこと
②周囲から要求される前に、その改善策を考えること
限られた開発期間内での完璧なものづくりは難しく、「本当はここまでやりたかった」 と感じたことが皆さんもあるのではないでしょうか。あるいは、既存の製品に対し 「ここが改善できたらお客さまをもっと喜ばせられるのに」 と感じたこともあるでしょう。このような課題を常に意識し、制約条件とともに頭の中で整理することが、アイデア創出の起点になるのではないかと思います。
ただし、追い詰められた状況の中ではいいアイデアは浮かびません。考えるタイミングもとても重要だと思います。周囲から要求される前、即ち気持ちに余裕がある時の方がいろんな発想も出てきやすいですし、何よりも考えること自体を楽しめるのが最大の利点です。日頃から問題意識をもち、こっそり先回りして考えてみてはいかがでしょうか(諦めず、粘り強く)。
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戸島 孝之さん
東京エレクトロン
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一喜一憂を楽しむ
栄誉な賞をいただき、恐縮しています。これも偏に、ともに開発 に携わってくれたメンバー、教育してくれた先輩のおかげです。ありがとうございました。入社当初から40年間プロセス開発に携わり、振り返るといろいろな苦労がありましたが有意義な時間を過ごせました。昔は、実験用の装置が故障したら、専門のエンジニアに教えを請いながら 自分で直さなければいけませんでしたが、この経験により装置のハード面も勉強でき、いろいろなアイデアの創出に結びつきました。半導体製造装置は、メカ、エレキ、ソフト、プロセスといろいろな技術が絡み合い性能を実現しています。そのため、浅くてもよいので他の分野の知識を得ることをおすすめします。なぜ、このパーツをそこに使用しているのか?動作はどうなっているのかなど、知識が増えると良いアイデアに結びつきます。そして、一喜一憂を楽しんでください。すべて順調にいくことはありません。うまくいかず谷になっても、底につけば後は昇るだけです。歩みを続ける限り谷を抜けることはできます。私の趣味は 剣道で、剣道には「叩いて喜び、叩かれ喜ぶ」という言葉があります。1本とる喜びも大切ですが、相手から叩かれて自分の欠点を知ることも成長の喜びになります。皆さんも失敗を恐れず前に進み続けてください。