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テクノロジーの変化に耳を傾ければ、未来が分かる

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この記事は、日経xwoman 2025/3/6公開のPR記事より一部改変し転載したものです。

私のキャリア:原点は数学の美しい世界。好きなことを貫き、執行役員に

東京エレクトロン(以下、TEL)は、売上高世界第4位の半導体製造装置メーカーで、デジタル社会の根底を支え、世界19の国と地域、87拠点で事業を展開しているグローバルリーディングカンパニーだ。30年前、まだ社員数が3000人程度だったTELに技術者として入社し、会社とともに成長、現在は執行役員の瀬川澄江にキャリアと半導体製造装置業界ならではのダイナミックなビジネスについて聞いた。


この記事で読めること

・半導体が起こした大変化とエンジニアとしての第一歩
・困難も挫折も経験。でも、私のフィールドは半導体業界
・いくつになっても夢を持ち挑戦できる世界。目指すは技術革新と環境負荷低減

略歴

  • 瀬川澄江
    東京エレクトロン 執行役員、Corporate Innovation本部 ディビジョンオフィサー
    TEL Venture Capital, Inc. 会長

    1995年4月に東京エレクトロンに入社、総合研究所配属。2005年に技術開発センター シミュレーションGr.グループリーダーに。16年、開発戦略部部長。20年より開発企画推進部部長も兼任し、21年にCorporate Innovation本部 本部長代理。22年7月に執行役員、Corporate Innovation本部 本部長代理。24年 7月より現職

半導体が起こした大変化とエンジニアとしての第一歩

「半導体業界は今、いち推しの業界です」と話すのは、東京エレクトロン(以下、TEL)の執行役員で、Corporate Innovation本部のディビジョンオフィサーを務める瀬川。

「自動運転やスマートハウス、産業のスマート化など、デジタル技術の活用がますます広がるなか、その中核を担う半導体は、かつてないスピードで進化しています。市場規模は、2030年には現在の約2倍、1兆ドルを超える規模へ拡大すると予測されており、世界的な成長産業であることに間違いありません。半導体製造装置市場も同様です。そして、最初によい技術を生み出した人と企業が評価されるだけでなく、何度もチャレンジの機会が訪れる世界。数年に一度のサイクルで技術革新が起こり、技術革新が止まらないのがこの業界の大きな特徴です。豊かな未来の実現に向けて挑戦したい人にとって、こんなに面白い業界はないと思います」

 学生時代は、数学の世界の美しさに魅了された瀬川。急速に進化する技術の恩恵を体感し技術の進化がもたらす豊かな世界に憧れた世代、と自身を表現する。大学時代はプラズマの研究に打ち込み、修士課程を経て半導体製造装置メーカーTELに入社した。

「 大学時代に共同研究を行っていた縁もあり入社しました。エンジニアからスタートし、今日までずっとTELでキャリアを歩んでいます。

社会人として働き始めた1995年はWindows95が発売された年。90年代後半から2000年代前半は、PC、スマートフォン、ゲームといった現代社会を象徴する電子機器が世の中に出現した時代です。半導体が起こす社会変化と利便性という恩恵を私自身も実感しながら仕事をしてきましたし、エンジニアとして挑む技術課題の解決が世の中を変えていく実感がありました。また、高機能な半導体技術が放つ機能美に魅了されました。PCの技術革新はもちろんですが、ときには先端半導体がゲーム用に開発されることもあり、不思議に思うこともありました。その進化が今、GPUなどAI半導体につながっているので、面白いですよね。

半導体は、今や水や電気のような社会インフラとして必需品になっています。当たり前の利便性や快適さを提供できること、世の中をよりよくするための社会インフラにかかわれていることはやりがいです。ものすごい成長産業だからこそチャレンジできる機会も多く、また、技術革新が世の中に求められてもいます。私自身、この産業で、しかも世界中から期待されている会社で、未来をよりよくする技術を生み出すことに携われていることに働きがいを感じています」


困難も挫折も経験。でも、私のフィールドは半導体業界

 半導体業界は男性が圧倒的に多いですが、これまでに、困難を感じたことはなかったのでしょうか。

「私自身は高校も大学も理系で女性が少ない環境でしたので、既に慣れていました。とはいえ、珍しさ故に注目されることや、不本意な意見を受けて傷ついたこともあります。でも、本当に私自身のことを理解してくれている人たちもいますから、そんなことに囚われている時間がもったいないと、割り切ってきました」


 そんなキャリアの中で、出産・育児とライフステージの変化も経験した瀬川。

「仕事を続けながらの出産、育児に関しては、母が専業主婦だったこともあり、自分がしてもらったことを同じようにはできないことに葛藤がありました。そんなとき、より時間に自由の利く仕事への転職が頭に浮かんだこともあります。ですが、本当にやりたいこと、私にしかできないことを考えたときに、やはり私のフィールドはこの業界であり、TELであることを再確認しました。

子育ては、自分が時間やエネルギーを割くものと、アウトソーシングするものを分けてオペレーションしました。子どもと一緒に過ごす時間の密度を重視し、限られた時間だからと割り切って週1でハウスキーピングのサービスを活用。出張のときには母親に助けてもらいました。2005年頃には、学会会場のナニーサービスが活用できるようにもなり、子どもを連れていったこともあります」

 最初に管理職になったのは、育児休暇から復職したタイミングだったそうですね。

「私の企画力を評価してくれた上司が、復職にあたりマネジメント職を勧めてくれました。生活スタイルが変わり、仕事時間が限られるだろうから、仕事はチームで成果を出す形に変えた方がいいのではないかと、非常に前向きな提案をしてくれたのです。それが転機です」

好きを貫いてきた瀬川。だからこそ、管理職を打診された際には葛藤もあったといいます

 そこには、エンジニアならではの苦悩もあったという。

「私は、エンジニアとして自身の手でモノを生み出したいと考えていたので、最初はチームをマネジメントして成果を出すことに不安もありました。しかし、一人ではできないことが可能になったり、うまくいったときに仲間と一緒に喜べるうれしさを経験したことで、マネジメントって面白いと思えるようになりました。部下の個性を理解することでコミュニケーションの勉強にもなりました。子育て経験が生かされたこともあります」


 その後も瀬川は、着実にキャリアアップを果たす。一方で、半導体業界の変化の波にもまれ、大きな挫折を味わった経験もあるという。

「40代前半に研究所から本社の開発企画部で、マネージャーとして新規事業を立ち上げるミッションを預かりました。技術には実績も自信もある当社ですが、新たなビジネスとして事業開拓するというのはそう簡単ではありません。私には旗振り役は向いていないのではとときに悩みながらも、メンバーとともにいろいろ仕掛けていました。しかし、社の方針が変わり計画が凍結。自分だけでなく、信じてついてきてくれたチームのみんなの努力が否定された気持ちになり、胸がいっぱいになりました。上司にその気持ちを伝えると、新規事業よりも先をいく半導体の技術が目指す方向性、ビジョンを作る新たな業務を託されました」

そういった経験から、どのように気持ちを切り替えたのでしょうか。

「MOT(Management of Technology)を学びました。それまでの経験も踏まえ、改めて会社における自分の役割を考えたときに、ビジネスや経営の知識が今後の仕事に必要だと思いました。上司に相談して、東京理科大学のビジネススクールに通わせてもらいました。技術経営を知ったことで、会社や業界を俯瞰する視点が加わり、仕事の幅が広がりました」

いくつになっても夢を持ち挑戦できる世界。目指すは技術革新と環境負荷

 現在、TELで執行役員として、コーポレートイノベーション本部のディビジョンオフィサーを担う瀬川。メンバーは国内外に約600人。仕事はテクノロジーマーケティングから将来のイノベーション創出に向けた研究開発など、多岐にわたる。多様性あふれる人と環境のなかで、想像を超えるシナジーが生まれることもあり、とても面白いと話す。

「扱う技術は幅広く、他業界も含むさまざまな経歴を持つユニーク人材の集団です。それだけに、総じてエンジニアは個性も考えも鋭く、マネジメントは簡単ではありません。でも、エンジニアにこだわりがなくなってしまったら、技術の会社は成り立ちません。絶対にうまくいくはずだと確信を持ったことには、2倍3倍の力を発揮し、粘り強く結果を出すのがエンジニア。特にコーポレートの研究開発では、イノベーション創出がミッションですので、一人ひとりが能力を存分に発揮できるよう、モチベートすることを大事にしています」


今、TELが目指しているのは、デジタル化による社会の発展と地球環境の保全が両立した「デジタル×グリーン」の世界。製造装置を通じて半導体の高性能化と低消費電力化に貢献すると同時に、Net Zeroに向けて環境負荷低減を実現していくことが使命だと瀬川は話す。

「今の製造プロセスは決して完成形ではないと思っています。より地球に優しく、より優れた半導体を作る技術が求められています。半導体は、製造過程において、水、電気、ガスといった資源を大量に使用します。2030年には半導体の市場規模が今の2倍に拡大すると予測されている一方で、2倍のエネルギーを消費してしまってはサステナブルでないというのが業界の見立てです。そのためには多様な人材の英知を集結することが必要です。TELでも幅広い分野の人材を求めています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)などの新しい技術分野では、食品業界でサンプル計測していた方、海の色の研究をしていた方など、さまざまなバックグラウンドを持つ方が入社されています。DX分野において求められるデータサイエンティストなども、活躍できるフィールドが整っています。世界をリードする技術力を持ち続けるTELには、必要な研究開発投資を惜しまない財務基盤と環境があります。挑戦してみたい人には、ぜひ仲間入りしていただきたいです」

 瀬川は、半導体業界を「いくつになっても夢を持てる業界」と表現する。

「半導体業界は、技術革新のスピードが速いので学びは欠かせませんが、何度もチャレンジの機会が訪れる世界。当社では平等にチャレンジの場が与えられ、いくつになっても元気で、エネルギーに満ちあふれている人ばかりです。私自身の挑戦もまだまだ続きそうです」

「今はまだ女性の数は少ない業界ですが、環境はどんどん変化してきています。こんなに面白い業界は他にないと思います」と瀬川は話す

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