Meet TEL「全く関係ないと思っていたものがつながることで、新たな価値が生まれる」若林 真士
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「企業の成長は人。社員は価値創出の源泉」という東京エレクトロン(以下:TEL)の考えのもと、世界中のTELグループでは多様な人材が活躍し、「半導体の技術革新に貢献する夢と活力のある会社」というビジョンの実現を目指しています。Meet TELでは、グローバルに活躍するTELグループの社員をご紹介します。
TELグループにおける発明者表彰制度の中で最高峰の栄誉である「TEL Master Inventor」。この賞は、自身の発明活動や後進の育成を通じて知的財産創出活動に多大な貢献をしてきた社員に授与される。TEL Master Inventor 2025 授与者がエンジニアとしての開発経験を振り返る。
略歴
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若林 真士
大学で電気工学を専攻し、1992年TELに入社。本社コーポレート部門とBusiness Unit(BU:事業部)を往復しながらエレキエンジニア、のちにシステムエンジニアとして、主に枚葉真空装置のウェーハ搬送系システムの開発に従事。現在は、東京エレクトロン 装置開発部 部長を務める。現在までに国内外合わせ88件の登録特許を保持する発明者。特許責任者としての経験も豊富で、特許対策、後進育成にも力を注ぐ。
装置開発部 ウェーハ搬送系システムのミッション
「私は、コーポレート部門としてBUと開発ロードマップとの整合を図りながら、次世代搬送系システムの要素開発に取り組むとともに、次世代システムのコンセプト検討をおこなっています。また、BU横断の活動として社内サミットなども主催しています。
ウェーハ搬送系システムは、3次元の方向を自動的に、早く、正確に、ゴミを出さずに運ぶことが重要です。また、それ以外にも高温環境や真空環境といった環境下で、ウェーハには優しく、環境にも優しく、もちろんコスト面も考慮しなければなりません。搬送系に限ったことではないですが、要求事項は多くて大変です。
そのほかにも、例えばメンテナンス性、従来機との互換性、環境法規制への対応などもあります。どれか1つでもNGならお客さまには受け入れていただけませんので、そのバランスは大変難しいです。かと言って、すべてが平均点の装置では売りものにはならないため、何か突き抜けたコンセプトが必要となります。物事をマクロで見るところと、ミクロで見るところのバランスも大切だと思っています。
今後、AIを活用した装置の自律化への変革が進み、ウェーハ搬送系システムの制御への適用も求められることが予想されます。装置制御の判断をAIに任せるには、AIが決めた閾値の妥当性、品質保証といった課題がありますが、一つひとつクリアして実績を積んでいくことで、いずれ当たり前のようにAIに任せるようになっていくのでしょう。」
課題に直面したことで、特許出願件数が急増
「1992年にTELに入社以来、最も印象に残っている開発は腐食対策でしたが、苦労だらけでしたね。知見が無かったこともありますが、プロセスがちょっと変わると、現象が全く変わってしまうので、どこまでやればOKなのか容易に検証できませんでした。社内でもほとんど事例がなかったですし、私のバックグランドとは全く異なりましたので、知見も何もありませんでした。上司、同僚含め、周りのメンバーと一緒に約3年間苦しみました。最後の方は、知見も実データも増えてきて、仮説と検証のプロセスを踏んだ開発アプローチができるようになりました。チームワークの成果です。そういった過程で知見を得ていきました。もともとアイデアを考えるのは好きだったのですが、課題に直面したことで、特許出願件数も急に増えていきました。」
“Connecting the Dots” - いろいろなことにチャレンジを -
TEL Master Inventor受賞式の記念講演では、自身の経験を振り返りながらSteve Jobs氏のスピーチに登場する名言”Connecting the Dots”に触れた。
「私は現在システムエンジニアですが、最新デバイスの構造や、半導体の微細化における課題を理解するうえで、入社当時のエレキエンジニア時代の知見が役に立っています。結局、半導体プロセスで作っているのは電気回路ですから。
何がつながるかは予め分かりません。分かるのは、つながった後なのです。全く関係ないと思っていたものがつながることで、予想もしていなかった新たな価値が生まれることがあります。大切なのは、いろいろなことに興味をもってチャレンジしておくことだと思います。それが後になって、意外なところでつながるかもしれません。
私は何度も失敗を経験してきました。諦めずに続けていたから成功した、というものもあります。半導体製造装置の分野は、技術範囲が広く、複雑で、しかもその技術が常にアップデートされていきますので、その気さえあれば、チャレンジするチャンスにあふれていると思います。若いエンジニアの方に伝えたいのは、以下の5点です。
1. 今やっていることを突き詰めて 2. 徐々に自分の守備範囲を広げる 3. “Connecting the Dots.” 4. チャレンジを続けて! 5. なんとかなる!
もちろん、これがすべてではありませんが、参考にしていただければと思います。」

