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パナソニックグループと機械学習コンペを合同開催

Culture

東京エレクトロン(以下:TEL)は、社員の機械学習スキル向上と技術人材交流を目的として、2025年11月にパナソニックグループの皆さまと、機械学習コンペティション(以下:MLコンペ)を共同で実施した。TELのMLコンペ主催メンバーによる寄稿で、イベントレポートをお届けする。

コンペ合同開催までの背景
– きっかけは 1 通のメールから

TELでは、社員の能力開発の一環として、以前からMLコンペを実施してきた。今回の合同開催は、2024年1月頃、TELの社員がパナソニックグループのMLコンペ技術ブログを見て、「社内コンペでデータセットを活用したい」と連絡したことで、交流するきっかけが生まれた。先方と社内コンペに関する情報交換を何度かおこなう中で、合同開催のアイデアが浮上し、約1年かけて実施に至った。

MLコンペとは

MLコンペとは、与えられたデータから、指定された課題(タスク)を解く機械学習モデルの性能を競うイベントだ。狭義には、教師あり学習における予測性能の高さを競うというものだ。

今回のコンペでは、誰でも利用可能な、一般公開されているデータセットを加工した需要予測タスクを設定した。機械学習を学ぶ人のためのプラットフォームであり、MLコンペの代表的なプラットフォームである「Kaggle」で最高位の称号「Grandmaster」をもつ、パナソニックグループの阪田氏を中心に、タスク作成をおこなった。

TEL社内でのコンペは、今回で8回目、毎回数十名が参加している。今回はパナソニックグループも加わり、合計141名が参加し、とても盛況だった。開催期間は、2025年11月5日~19日の2週間とした。

実務に即した課題設定
- 予測精度だけを高めれば良いわけではない!

データ自体は、典型的な需要予測だ。予測値を製造計画に直接利用する状況を想定し、予測と実際の需要に応じた損失を最小化することを目指すタスクとした。つまり、予測が実際の需要よりも小さければ、販売機会損失が発生し、大きければ在庫コストが発生する。 商品は複数にまたがり、予測の上振れ・下振れのどちらが課題となるかは、商品ごとに異なるため、単純に予測精度だけを高めれば良いわけではない。実務に即した内容である。


商品ごとに異なる損失指標を使い、
合計損失を最小にするように次月の需要を予測

コンペの運営と結果について

各社の情報セキュリティの観点から、双方が同じ環境にアクセスできる仕組みの構築は難しかったため、それぞれの自社環境で実施し、順位表をやり取りして合同順位を算出する形で運営した。

初日のチュートリアルには、パナソニックグループの阪田氏にゲスト出演いただいた。データ理解(EDA: Exploratory Data Analysis)の考え方、非MLモデルによるナイーブベンチマーク*1、特徴量生成*2からモデル構築までの流れについて、丁寧に解説いただいた。また、開会式と閉会式については、両社合同で実施した。

今回のコンペで、1回以上モデルを提出した参加者は141名、提出総数は4,416件に達した。
最終結果については、以下の表の通り。

最終順位(P:パナソニックグループ、T:TEL)

機械学習の専門的な用語を用いた解説となるが、1位の参加者はLightGBM*3をベースに分位点を細かく設定し、多様な特徴量を活用していた。2位の参加者は時系列基盤モデル*4を複数組み合わせていた(Chronos、TimesFMなど)。そして、上位陣の多くが分位点回帰*5を用いており、データと問題の特性を活かした対策が求められるコンペだった。

  1. ナイーブベンチマーク: 基準となる単純なモデルや方法。新しい手法の性能評価の際の比較対象として使われる。
  2. 特徴量生成:モデルの性能を向上させるために、元のデータから学習に役立つ新しい特徴を作り出す作業。
  3. LightGBM: 簡単な判断ルールをたくさん組み合わせることで、全体として複雑な答えを導き出す手法。マイクロソフト社が開発。
  4. 時系列基盤モデル:時系列データを大量に学習して作られた深層学習モデル。
  5. 分位点回帰:データの平均だけでなく、データの特定の位置(例えば、下から30%のところや上から10%のところ)の値を予想する方法。データのばらつきや分布の特徴を把握するのに役立つ。

初の合同コンペを終えて
– 今後の抱負

今回が初の合同開催であったが、「合同開催でやる気が高まった」「阪田氏のチュートリアルが学びになった」といった声が多数寄せられ、楽しく機械学習スキルを高められるイベントとなった。開催者冥利に尽きる!

パナソニックグループの皆さまには、今回の合同コンペにおいて、多大なるご協力をいただき、感謝申しあげたい。今後も切磋琢磨し、ともにスキルの研鑽に努めていく所存である。

TELの企業価値向上に貢献できるよう、引き続き人材開発活動の一環として、尽力していくつもりだ。

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