TOKYO ELECTRON LIMITED

投資家向け情報

2009年3月期 第3四半期決算 質疑応答集

10-12月期の受注純額が379億円とのことだが、取り消し処理した分はどの程度あったのか。

100億円に満たない程度というところ。お客様からの直接のキャンセルは少なく、納期が大幅に延期されたものについて当社の判断で一旦取消し処理をしているケースが殆どである。

1-3月期はどの程度の受注を見込むか。また、今後、四半期で1,000億円の受注水準に乗るのはいつ頃と予想するか。

10-12月期と同様の水準、つまり400億円前後があとしばらく続くのではないかと見ている。在庫消化が進み、若干なりとも設備投資が回復してくる環境になれば1,000億円も見えてくるが、早くても来期の後半以降であろう。

2009年暦年の半導体製造装置市場をどんなイメージで見ているか。

現状の受注水準から考えると、非常に厳しい市場環境になると予想しており、40%以上縮小する可能性が高いと見ている。2009年の設備投資水準は、まさに当社の最大の関心事であり、お客様のトップや色々な方と会うときに必ず聞いているが、「まだわからない」というのが大方の答えである。お客様でさえわからないのであるから、我々がこうなるでしょうとは申し上げにくい。

DRAM, NANDフラッシュメモリ、ロジック、液晶を回復すると思われる順から並べるとどうなるか。

DRAMメーカーが再編に向けて動いている。それがきっかけとなって、DRAMに最も早い回復のチャンスが訪れるのではないかと考える。 NANDに関しては、強力なアプリケーションとしてSSDに期待しているが、受注の本格的な立ち上がりまでにはまだ時間がかかると思われる。ロジックについては、米国大手メーカーのMPUが機軸になって順調に行くかと思っていたが、この経済環境下でやや減速している。しかし、NANDよりもロジックのほうが先に立ち上がる可能性が高いのではないか。 液晶はテレビ市場次第であるがしばらくは低迷が続くと思われる。

なにか業界の変化の兆候、多少なりとも明るそうな話があったらお話しいただけないか。

お客様の話を聞くと、在庫については3月~4月頃には調整が済むという声が多い。しかし需要はすぐには上がらず、そのために稼働率向上はもっと先になると見ているようである。需要の回復は早ければ7月頃からという方もいれば、秋口ぐらい、あるいは年末頃とお客様の見方は様々で、まだ前方には霧が立ち込めている。 ただ、在庫は早目に落ち着くということであるから、需要が喚起されれば市場は比較的敏感に反応するのではないか。
もう一つは、このような環境下、お客様においてはさらなるコストダウンが迫られており、一部ではあるが微細化投資が行われているという状況は注目すべきポイントであろう。

回復した時の業界構造はどのように変化していると思われるか。顧客の再編統合が進んで市場が縮んでしまうというようなことは想定されるか。

お客様側でも我々側でも、ある程度、統合再編というのは進むだろうと考える。 半導体メーカーの数が減るので投資が減るのではないかと言うかたもいるが、半導体の需要次第の話であると考える。

当期業績予想について、売上が5,400億円から5,100億円に300億円の下方修正、営業利益は120億円から70億円に50億円の下方修正となっている。売上の減少幅の割には利益の減少幅が小さく済んでいるように見受けるが、このあたりの要因分析をお聞かせ願いたい。

下期に入ってからの経費等の削減が功を奏している。

当期のポストセールスの売上はどのくらいか。

前期は約1,200億円だったが、当期はお客様の工場の稼働率低下の影響もあってパーツの売上が減少しており、改造・保守サービス等と合わせて1,000億円程度になりそうである。
尚、新規の装置は買わないけれども工場操業は継続しなければならないお客様のニーズを取り込むために、新しいサービスビジネスを展開していこうとしている。こういう需要は必ずあると思っているが、今、予算がお客様の工場でなかなか付かないという状況に直面している。 今は十分に拡販できる状況ではないが、将来は伸びていく分野だと考えている。

この環境の中、御社の顧客の状況も相当厳しくなってきているようであるが、貸倒引当金の状況についてご説明願いたい。

第3四半期末で、貸倒引当金繰入額67億円を特別損失として計上している。

在庫評価損は計上しているか。

在庫についてはルールを決めて評価損を計上している。適宜、在庫の中身を見直しているので、いきなり多額の評価損が出るという状況にはない。

今期の固定費削減320億に対して、来期はどのくらいを見込むのか。その場合、海外競合が公表しているようなドラスティックな人員削減を行うのか。

来期の固定費に関してはまさに予算編成の最中であり、固まった数字として今日ご報告できるものはない。来期は相当厳しい年になると考えており、当然色々やることになるが、次の上昇局面を考えた時にここで固定費を下げ過ぎてしまうと十分なキャパシティを用意できなくなり、将来に大きな禍根を残すことにもなる。 回復時に必要なバネも残しておかなければならない。そういうことも鑑みながら決めていく。
雇用に関してであるが、特に今回は、我々の産業だけではなく社会全体が大きな不況に陥っており、我々の社員が大規模な形で解雇されるということになった場合には彼らの職探しも相当厳しいというような大変な状況下にある。我々としては、極力正規社員については雇用を守り、この期間を全社員の再教育に充て、次の成長の基盤づくりを強力に推進していきたいと考えている。
尚、生産調整に伴い1年ほど前から派遣社員を段階的に減らしてきている。契約期間が終了したら再契約をしない、あるいは、やむなく契約終了期日前に契約解除をせざるを得ない場合は、十分な事前通知時間を置いてやめていただくという形でやってきた。昨年の4月に3,200人いた派遣社員は、この4月でほぼその半分となる。

来期、損益分岐点売上高をどこまで下げることが可能か。また、来期の黒字化が難しければ、さ来期には可能なのか。

来期は相当厳しい状況であると認識している。赤字を回避しようとするなら、かなりな額の固定費を削らなければならず、それは会社を殆ど破壊するような水準となろう。 黒字化の照準をある程度売上の回復が見込めるさ来期として計画することを考えている。 来期の固定費削減の幅や、損益分岐点をどこまで下げるかといった数字は、現在予算作成中であり、ここでは申し上げられない。

前回の決算説明会でM&Aに対する積極的なスタンスが示されたが、この3ヶ月間でどのような変化があったか。 アクセルをかけようとしているのか、それともここにきて状況が悪くなってきたので、逆にブレーキがかかっているのか。

考え方に変化はない。慎重にいろいろ検討している。買収やコラボレーションを決める際には、それをやることによって将来的にナンバーワンの製品、ナンバーワンの技術の確立が見込まれることが非常に重要である。きちんと見極めるためには慎重な検討が必要である。