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投資家向け情報

2020年3月期 第3四半期決算説明会 質疑応答集

今年(CY2020)のWFE*1市場の成長率をどのように見ているか?直近の半導体業界の動向を踏まえると、前年比二桁成長という見方もあり得るのではないか。

当社の米国の競合他社が決算発表において、二桁成長の見方を示したが、その見方に違和感はない。今年は大きな成長が期待できる。

今年のWFE市場のアプリケーション別の見通しは?米国の競合他社は、NANDが大きく回復し、DRAMは回復しないと見ている。

NANDの方が在庫調整が進んでいるため、先に投資が回復する可能性が高いと見ているが、投資のタイミングは在庫水準だけでなく、顧客の生産キャパシティにも左右される。DRAMが先に回復する可能性もあると見ている。

TELの競合他社が業績予想を下方修正した。顧客の投資動向について懸念すべき変化が起きていないか?

現時点で、大きな懸念はないと考えている。

プレゼンテーション資料16ページのロジック/ファウンドリの見通しについてお聞きしたい。14nm世代の投資は、年前半と後半でどちらが大きいか?

投資が年前半と後半でどちらが大きいかについては、当社の来期の業績予想に関わるため、回答を差し控えたい。5Gに向けて、最先端のアプリケーションプロセッサだけでなく周辺機器向け半導体の需要も増えており、中国顧客による14nm世代の投資を期待している。

TELの競合他社は、中国地場半導体メーカーの今年のWFE投資が、前年比で4割から5割伸びるとの見方を示した。TELも同様の見方か?

伸び率について定量的には申し上げられないが、当社の見方も、競合他社と大きくは変わらない。今年は、ロジックファウンドリにおいては14nm世代の投資が期待できる。メモリでは、昨年までは開発投資が主であったが、今年からは能力増強が始まり、投資の増加が期待できる。

大手顧客が第10.5世代への投資を半減すると発表しているが、FPD市場の見通しに影響はあるか?また、TELの有機ELディスプレイ製造用インクジェット描画装置の事業機会は?

SPEに比べFPD顧客の投資は振れ幅が大きいが、今後、有機ELディスプレイの需要は拡がると考えている。その需要に対して、当社は付加価値の高い製品を提供していく。現在、多くの顧客が当社のインクジェット描画装置を評価中であり、将来に期待している。

Q3の売上はQ2より低くなる傾向があるが、今期2020年3月期はQ3とQ2の売上がほぼ同水準であった。売上高の平準化の取り組みをおこなっているのか?あるいは、Q3の需要が強かったのか?

業績予想で示している通り、上期より下期の方が売上が大きくなると見込んでいた。売上は顧客の投資計画に依るので平準化は難しい。一方、当社工場においては、サプライチェーンを充実させ、需要が変化しても生産を平準化している。

Q3実績が良かったにもかかわらず、通期業績予想を据え置いたのは新型コロナウイルスの影響か?

今期業績への影響は軽微であると考えている。

フィールドソリューション(FS)事業の通期売上が予想(通期2,780億円)を上回ることはないか?また、現時点でのインストールベース(納入済み装置台数)と、FS事業の来期の成長ペースについて教えて欲しい。

FS事業は順調に推移しており、通期売上予想に対してQ3累計で79%の進捗。売上予想を上回るかはまだわからないが、期待したい。現時点でインストールベースは7万台以上ある。FS事業の成長ペースは、顧客工場の稼動率が一定とすると、年間の納入台数に比例する。

プレゼンテーション資料20ページの下期のアプリケーション別売上予想についてお聞きしたい。2019年10月時の予想と比べて、ロジック/ファウンドリと不揮発性メモリが増え、DRAMが減っている背景は?

ファウンドリ、ロジックの順で前回予想時より増えている。DRAMの減少は、顧客の生産調整の進捗が遅れたことが背景だと見ている。

CY2019発表の新財務モデルと異なり、CY2018の旧財務モデルは想定WFE市場規模と紐づけられていた。旧財務モデルの想定WFE市場規模に到達した場合、モデル通りの売上を達成できるか?あるいは競争環境の変化により、上振れまたは下振れすると考えられるか?

大きな競争環境の変化はない。新財務モデルでは想定WFE市場規模と財務モデルの紐づけはしていないが、売上高2兆円、営業利益率30%、ROE30%以上のシナリオでは、650億~700億ドルのWFE市場を想定している。付加価値の高い新製品の開発やPOR*2の獲得には時間がかかり、5年以内の達成を目指して取り組んでいる。

2019年12月に完了した自己株式の取得について、どのように自己評価をしているか?また、今後の自己株式の取得についての考え方を教えて欲しい。

将来の成長を考えると、良いタイミングで自己株式の取得の決定ができたと評価している。今後の自己株式の取得については、従前と変わらず、機動的に、適切なタイミング、適切な規模で実行を検討する。中期経営計画でROE30%以上をコミットしているため、適切にバランスシートマネジメントをおこなっていく。ただし、手元資金の使途としては、研究開発費、設備投資などの成長投資を優先させたい。中長期的な株主価値の向上につながるのであれば、M&Aも検討する。

プレゼンテーション資料17ページに記載されている、洗浄装置の新機種について伺いたい。具体的に、新機種とはどのような装置か?また、市場シェアの変動はあったのか?

新機種とは、搭載チャンバー数を増やした生産性の高い装置と、中温SPM(硫酸過水混合液)処理装置。 これらの新機種やベベル洗浄装置の展開が、特に中国市場で進んでおり、将来の市場シェア向上に寄与するだろう。

3D NANDのチャネルのエッチング工程で、PORを獲得できるのはどの技術世代か?また、それが受注につながるタイミングはいつか?

各顧客の3D NANDの構造にもよるが、エッチングレートやエッチング性能において良い結果が出てきており、12x層の次の技術世代でのPOR獲得を目指している。

ロジック/ファウンドリの3nm世代に向けたTELの事業機会を教えて欲しい。技術世代が7nmから5nm、3nmへと進むにつれ、研究開発費が増えることで、利益が圧迫されないか?

当社は、リソグラフィ、エッチング、成膜、洗浄という、パターニングにおいて連続しておこなわれるキープロセスの装置をすべて取り揃えている。また、顧客との長年の取引実績があり、納入済み装置を活用できることから、顧客と複数世代の技術ロードマップを共有している。これらの強みは、技術世代が進むにつれてさらに生かせるだろう。
CY2018の半導体デバイス市場が4,688億ドルであったのに対し、WFE市場はその12%の規模であった。CY2030にはデバイス市場が1兆ドルに達するとみられており、それに伴ってWFE市場も大きく成長するだろう。その分、研究開発費は増加すると思うが、売上も増加が期待できるため、負担になるとは考えていない。

EUVの採用が進むと、エッチングの工程数が減るという見方もあるが、TELはどのように見ているか?

EUVの採用が進んでもエッチングの工程数は減らないと考えている。EUVは、当社の装置にとってポジティブ。

EUV露光装置の出荷台数が今後伸びることが想定されるが、それに伴い、TELのコータ/デベロッパの売上はどのような影響を受けるか?

EUV向けコータ/デベロッパでは、さらに高い制御性が求められ、付加価値が向上する。また、EUVの普及は、コータ/デベロッパのみならず、その他の装置への設備投資のきっかけにもなるだろう。

WFE (Wafer fab equipment):半導体前工程製造装置。半導体製造工程には、ウェーハ状態で回路形成・検査をする前工程と、そのウェーハをチップごとに切断し、組み立て・検査をする後工程がある。半導体前工程製造装置は、この前工程で使用される製造装置。また半導体前工程製造装置は、ウェーハレベルパッケージング用の装置を含む

POR (Process of record):顧客の半導体製造プロセスにおける装置採用の認定

本内容は、質疑応答のサマリーです。