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投資家向け情報

2021年3月期 第2四半期決算説明会 質疑応答集

CY2021のWFE*1市場の見通しについて教えてほしい。

決算説明会において、CY2021はBig Yearになると申し上げた。新型コロナウィルス感染症や地政学的なリスクなどに注視は必要だが、現時点でもCY2021のWFE市場は、過去最高となるCY2020を上回ると考えている。そして、CY2022はさらに成長すると見ている。このように、CY2021、CY2022とBig Yearsになると期待している。
CY2021以降のWFE市場の成長に向けて注目すべきポイントは、DRAMの需給バランス、10nm/7nm/5nmのMPUおよびGPUのリリース時期、そしてデータセンターや5Gモバイル向けの投資動向の3点である。現状、DRAM需給バランスについては、CY2021Q1には改善すると見ている。また、10nm/7nm/5nmのMPUおよびGPUの需要も期待できる。

CY2021のWFE市場規模とけん引役となるアプリケーションを定量的に教えてほしい。また、DRAM需給バランスがCY2021Q1から改善するとのことだが、DRAM投資の回復時期はいつか?

新型コロナウィルス感染症や地政学的なリスクなどの影響により、顧客各社の投資タイミングが多少前後する可能性があり、CY2021のWFE市場規模については、現時点で定量的に回答するのは難しい。しかし、中期的には、中期経営計画で示している通り、CY2023にはWFE市場が$65~$70B規模になるという見通しに変わりはない。
CY2021は、5Gインフラ向けのロジック/ファウンドリ投資やデータセンター向けにDRAM投資が増えると考えている。DRAM投資については、CY2021Q1後半から徐々に回復すると考えている。

CY2021の中国WFE市場の見通しについて教えてほしい。中国地場顧客の投資はどの程度を見込んでいるのか?

CY2021も中国地場顧客の投資を期待しているが、地政学的なリスクの影響を注視する必要があり、現時点では定量的には回答できない。ただ、世界的にICTが強力に実装されていく中、半導体の重要性はさらに増しており、場所を問わず投資は継続する。その需要に応えるため、当社としては世界をリードする技術革新力を持ち続けることが重要であると考えている。

上期のSPE売上高が業績予想に対して上振れた要因は?

装置の納入や立ち上げが順調に進捗したことと、5Gインフラ向けに一部の顧客が投資を前倒したことが主な要因。

米国の対中輸出規制の影響について伺いたい。中国最大手ファウンドリに対する規制の影響がFY2021下期にあると思うが、通期業績予想は上方修正されている。他の顧客向けの売上が増えたなど、入り繰りがあったのか?

業績予想には、現時点で認識している様々なリスクを織り込んでいる。顧客別の売上の入り繰りについては、詳細に回答すると顧客の投資計画を類推できてしまうため、差し控えたい。

売上総利益率について伺いたい。中期経営計画の財務モデルでは、売上高1兆5,000億円のとき売上総利益率は43%とされている。今期通期の売上高は1兆3,000億円に達する計画だが、売上総利益率は40.2%に留まる。今後、どのように売上総利益率を向上していくのか、考え方を教えてほしい。

中期経営計画の財務モデルには3つのシナリオがあるが、メインシナリオの売上高2兆円、営業利益率30%を目指している。その達成に向けて、足元の数字だけ見るのではなく、中長期的な成長を見据え、積極的に生産設備や研究開発に先行投資をしている。今後売上高を伸ばしていくことで、固定比率が低下し、利益率も改善していくと考えている。目標の達成に向けて計画は順調に進捗している。

FY2021下期売上について教えてほしい。過去の傾向と同様、Q4売上はQ3売上より高くなる見通しか?

半期ごとに売上計画を管理しているため、半期末となるQ4の売上がQ3の売上より高くなる傾向はある。

シェア拡大の計画について教えてほしい。特に、3D NAND向けエッチングにおける進捗は?

エッチングを中心に、成膜、洗浄も含め、パターニング工程でシェアを上げていく計画に変更はない。3D NANDにおいては多層化に伴い、HARC工程*2で高エッチングレートや形状コントロールなどの高い技術が要求される。現在、顧客は128層の量産投資をしているが、その次の世代以降でシェアを拡大していく計画。

洗浄装置において国内競合他社がシェア拡大を計画しているが、競争環境は厳しくなっているか?洗浄装置以外のエリアについても教えてほしい。

すべての製品で常に競争はある。競合メーカー同士で切磋琢磨することは業界にとっても顧客にとってもポジティブ。当社は、オンリーワン、ナンバーワンを目指して、将来顧客が必要とする技術をいち早く捉え、付加価値の高いエリアにリソースを集中し、顧客要求に応えていく。
半導体には、大容量・高速・低消費電力・高信頼性など高い性能が求められ、様々な新しい技術が必要となる。技術革新が継続する限り市場は成長する。その市場において、引き続き競合メーカーと切磋琢磨していきたい。

ソフトウエア開発拠点である札幌事業所について詳しく教えてほしい。

札幌事業所はソフトウエアの開発拠点として以前からある。北海道には優秀なソフトウエアエンジニアが多いため、札幌は人材の獲得の点でも適している。
今後、ロジック/ファウンドリにおける5nm以細の微細化や3D NANDにおける200層を超える多層化に向けて、装置性能を向上することに加えて、装置に搭載されたセンサーから得られるデータを分析、解析するデジタライゼーションも必要となる。また、デジタライゼーションは、低消費電力デバイスの開発、製造歩留りの改善や装置のアップタイム向上などにも貢献することから、SDGsの観点でも重要である。その開発を担う札幌事業所をより良い環境にし、開発を加速させていく。

WFE(Wafer fab equipment):半導体前工程製造装置。半導体製造工程には、ウェーハ状態で回路形成・検査をする前工程と、そのウェーハをチップごとに切断し、組み立て・検査をする後工程がある。半導体前工程製造装置は、この前工程で使用される製造装置。また半導体前工程製造装置は、ウェーハレベルパッケージング用の装置を含む

HARC(High Aspect Ratio Contact)工程:高度な加工技術を要する深穴形成工程

本内容は、質疑応答のサマリーです。