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投資家向け情報

2022年3月期 第1四半期決算説明会 質疑応答集

CY2021のWFE*1市場の見通しについて、前年比成長率を30%から40%に引き上げた。10%ptsの増分について、CY2022からの前倒し投資はどの程度含まれているか?また、増分の内容を教えてほしい。

増分については、CY2022からの前倒し投資ではなく、半導体の需要の高まりを背景とした追加投資であると認識している。内訳は、約50%が先端ロジック/ファウンドリ、約15-20%がDRAM、残りがそれ以外の投資。

CY2021のWFE市場の見通しについて、前年比成長率の見方を20%から30%、30%から40%と、年初から2度引き上げている。今後、さらに成長率が上がる可能性はあるか?

CY2022のWFE市場も高い水準となることを期待している。このような環境の下、顧客から前倒し要求があれば、CY2021の前年比成長率が40%を超える可能性もある。

FY2022Q1の中国向けSPE売上高が急増しているが、中国地場顧客が将来的な輸出規制の強化を懸念して前倒しで投資をしていることはないか?

半導体の需要に見合った投資がなされており、規制強化の懸念からの前倒し投資ということはないと考えている。中国におけるWFE投資額は、WFE投資全体の約25%程度を占めているが、今後もこの傾向は続くとみている。

CY2022のWFE市場の見通しについて教えてほしい。

CY2022のWFE市場について定量的な回答は差し控えるが、プラス成長になるとみている。
CY2021のWFE市場の前年比成長率の見通しを10%pts引き上げた理由は、主に、デジタル化の加速に伴う先端ロジックとDRAM向け投資が増加したためである。DRAMにおいては、DDR5の量産が開始されるが、DDR5ではオンチップECC*2が採用されることでチップサイズが大きくなるため、これに伴いDRAM投資が増えている。
CY2022もこの傾向は継続し、引き続き、先端ロジックとDRAMの投資が期待できる。加えて、28nm以上の成熟世代のロジック/ファウンドリ投資についても期待している。

ロジック/ファウンドリの大手顧客2社が新規Fab投資を発表している。CY2022のWFE市場の見通しには、これらの投資も織り込まれているか?

CY2022のWFE市場の見通しについては現時点の引き合いに基づいて予測している。

足元でDRAMのスポット価格が下がってきている。DRAM投資が減速する懸念はないか?

現時点では、顧客の引き合いに変化はない。サーバ向け新CPUのリリースに伴うDRAMの需要の増加やDDR5の量産に伴う投資の増加が見込まれることから、足元のスポット価格の変動が顧客の投資計画に大きな影響を与えることはないと考えている。

収益認識基準の変更がFY2022業績に与える影響を教えてほしい。決算短信によれば、新基準、旧基準それぞれに基づくFY2022Q1実績を比較すると、新基準では旧基準と比べ、売上高1,396億円、営業利益829億円ほど大きくなっている。半期または通期でみた場合、基準変更の業績への影響はどの程度となる想定か?

新基準と旧基準を比較した場合、収益認識のタイミングがおおよそ1四半期ずれる。従って、新基準に基づくFY2022Q1の高い売上高は、旧基準に基づくFY2022Q2の売上高に反映される。FY2022Q1は、新基準と旧基準で売上高に大きな差が生じたが、FY2022通期では、収益認識タイミングが1四半期程度ずれるだけで、この差が大きくなっていくことはないと考えている。
なお、当社の製品出荷量(金額ベース)で比較した場合、FY2022Q1は前四半期比で増加、前年同期比では大幅増加している。

新収益認識基準では、FY2021Q4に出荷された装置はFY2022Q1に売上計上されることはない、という理解でよいか?

新収益認識基準では概ね、装置出荷のタイミングで装置分の売上を計上し、顧客の検収が完了したタイミングで装置立ち上げに関わる役務分の売上を計上する。従って、FY2021Q4に出荷された装置については、FY2022Q1において装置の売上を計上することはない。一方、その装置の検収がFY2022Q1に完了した場合、FY2022Q1において役務分の売上を計上する。
なお、売上計上されない装置分の売上については、損益計算書を介さず、貸借対照表上の利益剰余金に反映されている。

FY2022Q1の売上総利益率は46.7%と非常に高い数字となったが、FY2022通期の売上総利益率は44.5%とFY2022Q1に比べ下がる計画となっている。この理由は?

FY2022Q1は、新たに獲得したPOR*3の売上貢献や、デバイスミックスおよび顧客ミックスなど、複数のポジティブな要因が重なり売上総利益率を押し上げた。一方、FY2022通期としては、それらの要因が平準化されることにより、現状の実力値に近い数字となっている。
最先端プロセスにおける製品戦略が順調に進捗しており、より付加価値の高い製品の提供によるシェアおよび利益率の向上が成果として現れている。利益率は四半期で増減することはあるが、中期経営計画の達成に向けて事業戦略は着実に進捗している。

FY2022Q1のSPE地域別売上高は、前四半期比で中国向け売上が増加し、台湾および韓国向けが減少している。FY2022Q1の売上総利益率が向上したことと、地域別売上高の変動の関係について教えてほしい。

FY2022Q1の売上総利益率の向上は、新たに獲得したPORの売上貢献が大きな要因。中国地域は新規の顧客が多いため、中国向け売上は新規PORに基づく売上の割合が比較的高い。なお、台湾および韓国向け売上については、前四半期比で減少しているものの、引き続き高い水準である。

POR獲得の進捗と業績への貢献について教えてほしい。

直近2年間において獲得したPOR、具体的には、3D NANDのSlit工程におけるエッチング装置や、超臨界乾燥技術を搭載した洗浄装置が、顧客の量産投資に伴い業績に寄与してきている。また、成膜装置についてもPOR獲得が進捗しており、売上貢献している。
さらなる成長に向けて、3D NANDのSlit以外のエッチング工程でもPOR獲得の活動を進めている。また、パターニングに必要となるリソグラフィー、エッチング、成膜、洗浄のそれぞれの工程において新たな技術が採用されていることから、当社の事業機会はさらに拡がっている。

需要が高まる中、TELの製造リードタイムは長期化していないか?また、部品の調達について懸念はないか?

製造リードタイムについて大きな変化はない。
部品の調達については、サプライヤーに当社のFY2022の生産計画を共有することで滞りなく進めているが、需要が急速に増えているため注視していく必要がある。

業績予想によるとFY2022の売上総利益率は高い水準となる見通しだが、今後新たな先行投資が発生することにより、短期的に収益性が悪化する可能性はないか?

顧客ミックス、デバイスミックスなどの要因により、短期的には利益率が変動することはある。しかし、これまでの積極的な研究開発投資の成果として、より付加価値が高く、利益率の高い製品を投入できている。そのような製品の割合が増えていくことで、今後、収益性は向上していくと考えている。

WFE(Wafer fab equipment):半導体前工程製造装置。半導体製造工程には、ウェーハ状態で回路形成・検査をする前工程と、そのウェーハをチップごとに切断し、組み立て・検査をする後工程がある。半導体前工程製造装置は、この前工程で使用される製造装置。また半導体前工程製造装置は、ウェーハレベルパッケージング用の装置を含む

ECC (Error correction code):データ破損を検出し訂正する機能

POR (Process of record):顧客の半導体製造プロセスにおける装置採用の認定

*本内容は、質疑応答のサマリーです。