TOKYO ELECTRON LIMITED

投資家向け情報

2022年3月期 第3四半期決算説明会 質疑応答集

CY2023のWFE*1市場の見通しについて教えてほしい。

CY2022は前年比2割近い成長ポテンシャルを見込んでいるが、現時点では、CY2023もポジティブに成長するとみている。
CY2023のアプリ別投資については、社会のデジタルシフトの進展を背景に、ロジック/ファウンドリは先端と成熟の両世代で堅調な投資が継続。DRAMとNANDを合わせたメモリは、CY2022と同程度の投資規模を維持すると想定している。DRAMについては、DDR5向けの投資がどの程度されるか見ていく必要がある。

CY2023もロジック/ファウンドリの先端と成熟の両世代で堅調な投資が継続するとのことだが、そのような見方をしている背景を教えてほしい。

装置の引き合いや顧客の投資計画に基づき、CY2023の市場見通しを立てている。また、中長期的な技術ロードマップを作成し、顧客とコミュニケーションをとっており、それも市場予測をする上での有効な情報源となっている。

CY2021、2022のWFE市場に占める中国地場顧客の投資の割合は?

CY2021、2022ともに、WFE市場全体に占める中国WFE市場の割合は25%程度、中国地場顧客の投資はその80%程度。

足元のTELのパフォーマンスが同業他社に比べ良い要因は?

まずは、WFE市場の急拡大を見据え、プロアクティブな調達、生産の体制を整えてきたこと。これにより需要の拡大にしっかり応えられた。もう一つは、注力エリアであるエッチング、洗浄、成膜の戦略製品のペネトレーションが順調に進捗し、市場シェアが向上したこと。具体的には、エッチング工程のNAND Slitでの新規POR獲得や、パターン倒壊を抑制する超臨界洗浄装置の量産採用などがある。

FY2022Q4売上高は、FY2022Q3と同水準に留まる見通し。これまでQ4売上高はQ3より高くなる季節性があったが、今期はそのような傾向がない理由は?FY2022Q4に部材調達リスクを織り込んでいるためか?

調達・生産の平準化の取り組みの進捗と新収益認識基準の採用により、過去の季節性は緩和される傾向にある。それらの状況や部材調達リスクなどを勘案した上で業績予想を作成している。

FY2022下期のアプリ別新規装置の売上高予想について、3か月前と比べてNAND向け売上が400億円程度、下方修正されている。この背景は?

一部顧客のNAND向け投資のタイミングが調整されたことにより、売上計上の時期が少し遅れる見通しであるため。

同業他社は部材調達逼迫の影響を受けているが、TELはどうか?

市場の成長を見据え、プロアクティブな調達や生産を実行することで、需要の増加に対応できている。但し、足元では半導体だけでなく、様々な部材の調達が厳しくなってきている。それに対して、2021年9月に立ち上げたコーポレート生産本部が本格的に稼働し、代替部品の選定や部材の共通化など、しっかり対応している。また、当社の各工場で半期ごとに生産動向説明会を実施し、サプライヤーに対して需要の見通しを共有するなどの活動も引き続き行っている。

装置納入までのリードタイムは伸びていないか?

リードタイムには、受注から売上計上までのリードタイムと、生産に着手してから装置完成までの生産リードタイムがある。顧客からの受注のタイミングが以前に比べて早まっているため、前者については伸びる傾向はある。後者については、部材のプロアクティブな調達戦略により、伸びていない。

CY2022はWFE市場が2割程度成長する見通しとのことだが、さらなる需要の増加に対して現状の生産能力で対応できるか?

足元では当社工場の稼動率は100%に近い。ただ、当社工場のスペースや生産人員については、数年先までを見据えて増強の計画も立てており、さらなる需要の増加に対して生産能力を高めていくことは可能。

フィールドソリューションの改造売上について、FY2022Q3はQoQで減少したとのことだが、改造需要が一巡したのか?また、インストールベースの増加に伴いパーツ売上が増加する傾向にあると思うが、パーツの調達について懸念はないか?

改造売上については、四半期毎に上下する。中長期的には、インストールベースの増加や成熟世代向け装置需要の拡大などにより、改造、アップグレード、移設などの引き合いは継続的に伸びていく。
パーツについては、需要の増加に応えるため、サプライヤーに需要予測の情報を適宜共有している。さらに、当社のパーツの在庫を増やし、調達がボトルネックにならないように対応している。

TELは成熟世代においても高い利益率を維持できているように見える。どのようにして差別化を図っているのか?

先端世代のみならず、成熟世代においても生産性、装置稼動率、歩留りなどの観点で高い付加価値を提供できる装置が選ばれる。当社は技術世代に関わらず、Best Products、Best Serviceを提供することで差別化を図っている。
具体的には、FY2022Q3に車載用などのパワーデバイス向けに300mmエッチング装置Tactras™ UDEMAE™をリリースした。200mm装置で培ったプロセスライブラリを300mm装置に活用し、またパワーデバイスの製造には欠かせない、ウェーハベベル部からの発塵対策機能なども備えている。このような製品が成熟世代においても高い付加価値を提供できると考えている。

これから採用が見込まれるBackside PDN*2について、CY2023、2024にどの程度の装置投資が見込まれるか?

Backside PDNは3nmより先の世代で採用される想定であるため、CY2023、2024における装置投資は限定的。CY2025以降に期待している。
当社の事業機会としては、新材料の低抵抗メタルの成膜、ウェーハの貼り合わせなどがある。

WFE(Wafer fab equipment):半導体前工程製造装置。半導体製造工程には、ウェーハ状態で回路形成・検査をする前工程と、そのウェーハをチップごとに切断し、組み立て・検査をする後工程がある。半導体前工程製造装置は、この前工程で使用される製造装置。また半導体前工程製造装置は、ウェーハレベルパッケージング用の装置を含む

Backside PDN(Power delivery network):電源供給配線をシリコンの裏面に配置する構造

*本内容は、質疑応答のサマリーです。