TOKYO ELECTRON LIMITED

投資家向け情報

2018年3月期 本決算説明会 質疑応答集

WFE*市場の調整を懸念する声に対して、御社の見方は?また、CY2019のWFE市場の見通しは?御社のメモリ向け売上を見ると、2019年3月期の下期は若干減るガイダンスである。

WFE市場全体は一段上の成長フェーズを迎えている。顧客との会話を通して、多少の投資調整が起きる可能性も聞いてはいるが、四半期程度の短期の調整であり長期のものではない。CY2019のメモリについてもポジティブに見ている。詳しい見通しは、5月の中期経営計画説明会でお話しする。

新生産棟の発表は、CY2019あるいはCY2020にWFE市場が$60Bを超えるというメッセージと考えて良いのか?

シェア向上、市場成長などを総合的に判断した結果、新生産棟の建設を決定した。具体的な市場規模の見通しは5月の中期経営計画説明会で発表予定だが、新生産棟を建設すると判断したことにメッセージが込められている。

暦年と会計年度の違いはあるものの、米国競合メーカーと比較して、御社の2019年3月期の業績予想は下期が上期比で増収となっている点が非常に強い。アプリケーション別では、DRAMは下期も新規工場または新規ラインへの投資が続くのか?

新規のライン、新規の装置への投資が続くと考えている。

国内外の御社の競合メーカーは、御社の2019年3月期のSPE増収率見込み22%と同等かそれ以上の増収を計画している。御社のシェア向上状況と製品ミックスを考えると、もっとアウトパフォームしても良いのではないか?

当社の売上認識基準は他社のような出荷ではなく設置完了ベースであるため、売上計上時期の違いもあり単純に比較するのは難しい。ただ、昨年特に成果の出たDRAMの投資が堅調に伸びていくため、競合メーカーに引けを取る業績にはならないと考えている。

プレゼンテーション資料の23ページのグラフから試算すると、御社のロジックファウンドリ向け売上が2019年3月期30%増加することになる。これはどの世代への投資が増加するのか?また、ロジックファウンドリ投資の回復基調は今後も継続するのか?

不足している生産キャパシティの補完や、数世代先への投資など、複数の要因により売上増加を見込んでいる。来年にも期待している。

プレゼン資料の23ページから試算すると、御社のCY2018のシェアはDRAMとNANDで向上するように見える。これは顧客ミックスが良くなるからか?あるいは市場の拡大によって製品ミックスが良くなるからか?

エッチングにおける3D NANDのスリット工程の獲得、バッチ洗浄における3D NANDの工程獲得、枚葉洗浄における新規工程の獲得により、今年はメモリでシェアが伸びる。

2019年3月期のSPE新規装置の増収率見込み25%を装置別で見た場合、25%を上回るもの、下回るものは?

市場環境としては今年はDRAMの伸びがけん引するが、当社の製品はDRAM向けとそれ以外でシェアはそれほど大きく変わらない。そのため、装置別の売上構成も2018年3月期から大きく変わらない。

中国の新興半導体メーカーの投資について、CY2017の実績とCY2018、CY2019の見通しは?

従前お伝えしている見通しから変化はない。顧客の立ち上がりの状況によってはスケジュールのずれが起きるかもしれないが、投資計画自体に変更はない。

CY2017のエッチング装置のシェア上昇(前年比+3ポイント)には、3D NANDのスリット工程とDRAMのどちらが主に貢献したのか?今年のエッチング装置のシェアの考え方は?

DRAMで獲得したアプリケーションが、顧客の量産投資によって売上に貢献したことが主な要因。3D NANDのスリットは、新しく獲得した2顧客目の投資が今年から始まるため、今年のシェアへの寄与が期待できる。

国内の競合メーカーが洗浄で大手顧客を獲得したと発表している。御社への影響は?

当社の獲得している洗浄工程において、競合メーカーにシェアを奪われたという認識はない。競合メーカーも相応のアプローチをしてくると思われるが、胡坐をかくことなく、常にチャレンジャーという意識でビジネスをしていく。

EUVの導入は、今後2~3年でコータ/デベロッパとエッチング装置の需要にどのように影響を及ぼすか?

EUVにはまだ技術的な課題はあるものの、大いに期待している。技術革新により、高性能なコータ/デベロッパだけでなく当社の持つ全装置で需要が広がり、事業機会が増大すると考えている。EUVができるだけ早く普及することを期待している。

2019年3月期のFPDの収益性の目安は?

セグメント別の利益率予想は開示していないが、売上規模も拡大し、製品ミックスにも大きな変化はないため、引き続き利益率には期待していただきたい。

手元資金、売上ともに上がっている。以前は必要な手元資金は2,500億円とお話しされていたが、現在はどの程度か?

WFE市場は一段上の成長フェーズに突入しており、今後もSPEには様々な成長機会があると見ている。手元資金の使途としてトッププライオリティを置いているのは成長投資であり、M&Aや技術の買収、協業などあらゆる可能性を考えていきたい。株主還元や自社株買いに対するポリシーには変更はなく、自社株買いは機動的に実施を検討していく。

投資家は御社の持続的な成長に期待している。グローバルな企業を目指す一方でCFO職を廃止したことについてお聞きしたい。なぜ、CFOの下にあった組織をCEOの直下に置くことで経営のスピードが増すと考えるのか?ガバナンスの観点からも現在の体制がベストか?取締役会ではどのような賛成・反対意見が挙がったのか?

2017年3月期まで当社にはCFO職はなかった。2018年3月期にCFO職を新設したが、当社の企業文化を念頭に短・中・長期的な成長を考えたうえで、現時点でベストな組織体制へと変更した。CEOの下で経営戦略室と経理部が一体となり、一つのブレーンとなって経営判断を行える体制である。また、辞任した堀氏とは現在も密接にコミュニケーションをとっており、今後も当社の企業価値向上のために活躍していただく。当社は変化に柔軟に対応していくため、将来、再びCFO職を置く可能性もある。

WFE (Wafer fab equipment):半導体前工程製造装置。半導体製造工程には、ウェーハ状態で回路形成・検査をする前工程と、そのウェーハをチップごとに切断し、組み立て・検査をする後工程がある。半導体前工程製造装置は、この前工程で使用される製造装置。また半導体前工程製造装置は、ウェーハレベルパッケージング用の装置を含む。

本内容は、質疑応答のサマリーです。