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投資家向け情報

2019年3月期 本決算説明会 質疑応答集

業界では、WFE*1市況の回復の兆候が見え始めているという話を聞く。TELの見方は?

ロジック/ファウンドリでは、5Gやその先のハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)に備えた投資を期待している。メモリでは、特に不揮発性メモリは今夏ごろに在庫調整が進むだろうと顧客からは聞いている。その後データセンタなどにけん引されてメモリ需要が盛り上がることにより、CY2019後半から装置の受注や納入が進むだろう。CY2020にV字回復へと向かっていくのではないかと期待している。

プレゼンテーション資料18ページでメモリ投資の回復について言及がある。NAND投資の方が早く回復すると見るのは、デバイス価格がキャッシュコストを下回っているため下げ止まるからか?DRAMはまだ顧客の利益率が高く、デバイス価格が下げ止まらないため遅れて回復すると考えているのか?

顧客は設備投資を調整してきており、直近では在庫が消化され始めていると聞いている。今後5Gの導入によって大容量のデータが高速に消費されるようになると、高速のCPUに加えてメモリの需要も期待できる。これらの需要が高まってくれば、投資が再開されるだろう。

CY2020のWFE市場について、どのアプリケーションが最も伸びが期待できるのかお聞きしたい。

ロジック/ファウンドリは引き続き堅調で、メモリがDRAM・不揮発性メモリともに大きく伸びると期待している。

一部の競合他社はCY2019のメモリ向け市場は年前半・後半で同水準と見ている。TELのメモリ向け売上が2020年3月期の下期に増える予想であるのには、CY2020の1~3月の売上が大きく寄与しているのか?また、グリーンフィールドとコンバージョン、どちらの投資に関する売上が多いのか?

暦年と会計年度が3ヶ月ずれていることによる影響はあるだろう。ただ、競合他社の多くが出荷基準で売上を計上するのに対し、当社は設置完了基準を採用しているという違いもあり、単純には比較できない。
なお、コンバージョン投資に関する売上の方が多くなると考えている。

中国向け売上について、2019年3月期の実績と2020年3月期の予想は?

プレゼンテーション資料29ページに記載の通り、2019年3月期のSPEの中国売上は約2,000億円だった。ここには中国地場の顧客だけでなく、外国籍顧客の中国工場向けの売上も含まれる。2020年3月期は、SPE売上全体が減少するのにともない中国売上も減少するが、その他の地域の減少率と大きな違いはない。

2020年3月期のフィールドソリューション(FS)事業の見通しは?GLOBALFOUNDRIESがON Semiconductorに工場を売却するとの発表があったが、TELのFS事業にとってはアップグレードや改造の機会が拡大するか?

WFEへの設備投資は前年比15~20%減少するものの、2020年3月期のFS売上は前期に近い2,780億円程度と予想している。
FS事業には、中古・改造ビジネスに加えてパーツ販売ビジネスもあり、売上の半分弱をパーツ販売が占めている。納入装置台数の増加やIoT向けの半導体需要を背景に、中古・改造・パーツいずれも安定的な収益が期待できる。

プレゼンテーション資料21ページの2020年3月期の業績予想についてお聞きしたい。下期の売上総利益率(40.8%)が、上期比では上昇も、2019年3月期と比べると低いのはなぜか?もしCY2020にWFE市場がCY2018並みまで回復すれば、2021年3月期の売上総利益率が41%以上へと上昇する見込みはあるのか?

今期2020年3月期の売上総利益率の悪化には、顧客・製品ミックスに加えて、来期以降の成長に備えた投資が影響している。例えば、客先評価の促進活動にともなう費用や、装置の性能向上のための原価性開発費が挙げられる。また、設備投資や人的リソースを増強しており、前期中の増分に関する費用が今期は12カ月分発生する。
2021年3月期については、すでに発表している財務モデルに沿って、今期比で利益率は改善していくと現時点では見ている。

2020年3月期の販売費及び一般管理費の半期・通期予想は?

通期で2,210億円、うち上期1,070億円、下期1,140億円の予定。

CY2020に向けた、製品別の市場シェア見通しは?

コータ/デベロッパは高いシェアの維持を目指す。エッチング装置では、ロジックでのシェアが高いのに加え、昨年メモリでのシェアが上昇しており、メモリ投資が増加すれば売上増加に寄与するだろう。成膜装置では、セミバッチ装置のPOR*2の獲得が進んでおり、顧客の量産投資に期待している。洗浄装置では、顧客の歩留まり向上のためにベベル洗浄のアプリケーションが拡大している。
継続的な技術革新が期待でき、かつ当社の持つ知見が生かせる分野にこれまで注力してきたが、その戦略が順調に奏功している。CY2020についてもポジティブに考えている。

フラットパネルディスプレイ(FPD)メーカー各社が、第10.5世代向けの投資計画をG8.7世代向けへと変更しようとし始めているようだ。TELの事業機会への影響は?

当社の持つPICP™ *3技術は、第10.5世代に限らず様々な世代で高い評価を得ている。今後さらなる高精細化やフレキシブルディスプレイなどの技術革新が求められるのに備え、当社は手を打っている。

FPDの第6世代向け投資の見通しは?CY2020へと後ろ倒された投資のうち、一部はCY2019に回復するのではと期待している。

中小型のFPDはゲーミングやeスポーツ向けに需要があり、中期的に投資も充分期待できると考えている。

WFE (Wafer fab equipment):半導体前工程製造装置。半導体製造工程には、ウェーハ状態で回路形成・検査をする前工程と、そのウェーハをチップごとに切断し、組み立て・検査をする後工程がある。半導体前工程製造装置は、この前工程で使用される製造装置。また半導体前工程製造装置は、ウェーハレベルパッケージング用の装置を含む。

POR (Process of record):顧客の半導体製造プロセスにおける装置採用の認定

PICP ™:パネル基板上に極めて均一な高密度プラズマを生成するプラズマソース

本内容は、質疑応答のサマリーです。