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投資家向け情報

2020年3月期 第1四半期決算説明会 質疑応答集

2019年7~9月に予定されていた顧客の投資に延期が見られるにもかかわらず、今回TELは業績予想を据え置いた。何か顧客の新しい投資計画があるのか?また中国メモリ顧客が投資を前倒ししているが、これは業績予想に織り込んでいるか?

ロジックではいよいよ5G向けの投資が始まり、今後も堅調に投資が推移すると期待している。メモリ顧客の経営陣とは、今後3ヶ月で新しい投資計画が具体的に見えてくるだろうと話している。なお、中国メモリ顧客の投資は今期ではなく来期に期待している。

「今後3ヶ月でメモリ投資の計画が見えてくる」という発言は、具体的には顧客の投資の下方修正と回復のどちらを示唆しているのか?CY2020のメモリ投資の見通しは?

今後3ヶ月でメモリの在庫がさらに減り、それに伴って顧客の新しい投資計画の具体性が増すと考えている。メモリ投資は今が底に近いと考えており、CY2020は受注・出荷ともに年後半に向けて増えると期待している。

メモリの需給が改善すると考える要因は?例えば、東芝の工場の停電や韓国向けフッ化水素の輸出規制は、メモリの供給を減少させると思うか?

メモリの在庫が調整される背景には、データセンターやスマートフォンの需要や、5G・AIなど新しい技術の普及が挙げられる。

今が投資の底だと判断したきっかけは?どのアプリケーションが一番先に回復するか?

3ヶ月前は今年のWFE*1市場はメモリとロジックの構成比率が50:50になると見ていたが、ロジックの需要が強まり、現時点では40:60になると考えている。また、メモリの回復は3ヶ月前にはNANDが先だと見ていたが、直近ではNAND・DRAMでタイミングはほぼ変わらないと考えている。

CY2020のロジックとロジックファウンドリのそれぞれの投資見通しは?CY2019も高水準の投資だが、そこからさらに増えるか?

CY2020は、ロジック、ロジックファウンドリの投資は年後半に増えると見ているが、通年での投資額を見通すには時期尚早。

WFE市場について、CY2020はCY2018並みの規模が期待できるか?CY2020の投資回復の強さについて聞きたい。

CY2020に投資は回復するとは考えているものの、その度合いについて言及するには時期尚早だと考えている。

プレゼンテーション資料20ページのアプリケーション別売上予想について、ロジックファウンドリとロジック&その他が合計で前期比50~60%程度伸びると予想されている。CY2019のロジックとロジックファウンドリ向けWFE市場見通し(前年比+35%)を上回っている背景は?

技術世代が進むにつれてよりクリティカルな工程の比率が上昇し、当社の参入領域がWFE市場よりも大きく伸びるため。

3ヶ月前と比べ、売上のアプリケーション別予想ではNANDが300億円・DRAMが200億円ほど下方修正され、ロジックファウンドリ+ロジック&その他が500億円ほど上方修正されている。収益性の高いエッチング装置を多く使うNAND向けの売上が減ることで、売上総利益率に影響はないのか?

エッチング装置の市場シェアは、NANDよりもロジック向けの方が高い。しかし当社全体で見ると、アプリケーション別の市場シェアに大きな差はなく、売上のアプリケーション別構成が変わっても利益率に大きな影響はない。

フィールドソリューション(FS)について、パーツ売上が好調との説明があった。メモリ顧客の工場稼動率が下がる中、なぜパーツ売上が堅調なのか?また、Q2のFS売上の見通しは?

FSはQ1・Q3の方がQ2・Q4よりも売上が低い傾向にあるが、今Q1の売上は前四半期のFY2019Q4比、さらに前のFY2019Q3比でもやや減少している。主に改造の売上が減少しており、パーツ売上はそこまで下がっていない。Q2については、計画通りの進捗を見込む。
当社は装置を年間約4,000台出荷しており、FSの需要は着実に増えている。

新規装置事業が不況でもFSの業績があまり下がらない背景は?どのような分野で顧客のニーズが高まっているのか?

ご存知の通り、インストールベース(納入済み装置台数)の増加に伴ってパーツの売上が向上している。今後は、当社の強みである製品の信頼性やサービス力を生かしていく。技術がクリティカルになるにつれ、顧客にとってはtool to tool(装置間)、chamber to chamber(チャンバー間)のマッチングによる装置のアップタイムと歩留まりの向上が重要になる。当社は人工知能(AI)を使った遠隔サービスやアドバンストフィールドサポートなど、将来に向けた新しいサービスの提供を検討している。

貸借対照表の前受金が前四半期比で大きく増加している背景は?

当社は設置完了時に売上を認識しており、売上認識前に顧客から入金がある場合は前受金として計上している。今Q1は偶然、出荷あるいは設置中に売上の多くが入金される案件が多かった。

Q1の売上総利益率が高水準だったことについて、その背景とTELの自己評価は?また、販売費及び一般管理費がもっと削減できていればよかったと思うがどうか?

売上が大きく下がった一方で売上総利益率を高い水準で維持できた要因の一つは、Q2に売り上がるたな卸資産が増加しており、固定費がたな卸資産に転化していること。経費を絞って利益を出したというわけではない。
販売費及び一般管理費に関しては、中でも開発費やそれに伴う設備投資は中期的に重要だと考えており、今年メモリ顧客の投資が減速する中でも、これらの投資は一切手を緩めていない。たとえ他の経費を抑えても将来に向けた成長投資は継続したい。

来期が今期比で増収になると仮定した場合、売上総利益率は今期比で改善できるか?例えば、今期はALDのPOR*2獲得などによって初期開発コストが発生していると推測するが、来期はそのコストがなくなって収益性が改善するのではないか?

中期経営計画でも売上総利益率の向上を掲げている。①付加価値の高い製品の提供、②市況回復に伴う売上増加に加え、③会社平均よりも利益率が高いFSの売上伸長(5年後に3,800億円を目標)、④FPD事業の営業利益率30%の達成により改善を進めていく。

プレゼンテーション資料17ページで触れられたエッチング・成膜のPOR獲得について、売上の規模とタイミングの見通しは?

売上の規模とタイミングは顧客の投資計画に依るためコメントを控えたい。ただ、DRAMやNANDにおいて付加価値の高いALD工程を獲得できている。来期のメモリ投資に期待している。

アプライド マテリアルズとKOKUSAI ELECTRICの統合に対してどのような対策を取っているか?

装置の技術性能が重要であり、他社の統合によって当社の戦略が変わることはない。当社はバッチ、セミバッチ、枚葉の成膜技術をすでに保有しており、今後期待されるアプリケーションに対してプロセスや装置の性能をしっかりと磨いていく。

M&Aに対する考え方は?

株主にとってメリットがあり、企業価値の向上に繫がり、技術的にも顧客にメリットがあり、かつ投資対効果が期待できるのであれば、M&Aは否定するものではない。ただし、M&A以外にJDP(共同開発)なども考慮したうえで判断したい。

WFE (Wafer fab equipment):半導体前工程製造装置。半導体製造工程には、ウェーハ状態で回路形成・検査をする前工程と、そのウェーハをチップごとに切断し、組み立て・検査をする後工程がある。半導体前工程製造装置は、この前工程で使用される製造装置。また半導体前工程製造装置は、ウェーハレベルパッケージング用の装置を含む

POR (Process of record):顧客の半導体製造プロセスにおける装置採用の認定

本内容は、質疑応答のサマリーです。