TOKYO ELECTRON LIMITED

投資家向け情報

2020年3月期 第2四半期決算説明会 質疑応答集

CY2020にメモリ投資の回復を見込む背景は?

現在はロジック投資が堅調な一方、メモリでは在庫調整が進んでいる。今後5G向けのCPUが新たにリリースされることで、高速データセンタやモバイルへの投資が回復し、それに続いてメモリの投資が回復すると期待している。加えて、特にNANDではHDDからSSDへと置き換える需要もあり、CY2020に供給が足りなくなる可能性もあると見ている。DRAMでも、5Gに向けた新たな需要や技術が求められることで装置需要が高まるのではないか。

証券アナリストの間では、韓国の大手顧客や中国顧客が来年メモリに投資するという期待が生まれている。メモリ投資回復の確度をどのように見るか?

7月の決算説明会で「今後3ヶ月でメモリ顧客の新しい投資計画が具体的に見えてくるだろう」と申し上げた通り、顧客からの引き合いが強まってきている。今期2020年3月期の売上への寄与はロジックが大きいが、今後はメモリでも 3D NAND、その後にDRAMの順で、徐々に顧客の投資計画が確定していくだろう。当社の工場においても、これまで市場の調整に合わせて生産を抑制してきたが、生産の水準を元に戻す準備を始めている。

CY2020のWFE*1市場の見通しをアプリケーション別にお聞きしたい。

CY2019比でどの程度成長するかをコメントするには時期尚早。ただし、先ほど申し上げた通り当社の工場では生産を元の水準に戻す準備を始めており、CY2020の1~3月にはキャパシティの多くが埋まると見ている。

ロジック顧客の投資の継続性について、TELの見方は?

半導体デバイス市場は現在4,688億ドル規模だが、2030年に1兆ドル規模まで成長するとの予測がある。また、スマートフォンの台数が2023年に15億3,400万台に到達し、うち5G対応のものが7億4,500万台を占めるとも言われおり、今後5Gに向けた様々なデバイスが求められるだろう。投資は継続的に期待できると見ている。

CY2019・CY2020における、中国地場の半導体メーカーによるWFE投資の見通しは?3ヶ月前と比べてその見通しに変化はあるか?TELの競合他社は、CY2019で60億ドルを見込むとコメントしている。

CY2020の見通しは開示していない。中国地場メモリメーカーの投資は、昨年CY2018が合計3社で20億ドル、今年CY2019はうち1社が投資を継続できず合計2社で20~30億ドルを見込む。3ヶ月前から今年の見方に変更はない。
なお、他社の見通しにはロジックやロジックファウンドリ、パワーデバイスなど、メモリ以外も含まれているのではないかと思う。

CY2020のFPD市場の見通しは?

CY2020は、5G向けモバイル用のG6世代の有機EL投資や、G10.5世代の投資が期待できるだろう。当社にとっては、PICP™*2エッチング装置や大型パネルで事業機会がある。

上期の売上高について、どの地域やアプリケーション、装置で前倒しがあったのかお聞きしたい。

不揮発性メモリとロジックファウンドリの売上が前倒しされた。フィールドソリューション(FS)事業の売上も予想を上回った。

Q2のFPDのセグメント利益率がQ1比で低下した背景は?また、下期の利益率の見通しは?

Q1時点で設置完了を待っていた在庫に関わる固定費が、Q2で売上を計上したことによって認識され 、利益率低下に繋がった。また、製品ミックスも要因。下期のセグメント利益率の見通しは開示していない。

今期2020年3月期 下期の不揮発性メモリの売上が低い理由は?韓国顧客が発表した10~12月の予想設備投資額が大きかったため、TELの下期売上が増えるのではないかと期待していた。

メモリは現在引き合いが強まっている段階。不揮発性メモリは来期2021年3月期の上期から、DRAMは下期から徐々に売上が増えると期待している。

今期2020年3月期の下期の利益率が、上期比で改善しないと予想する理由は?4月の決算説明会では、今期は戦略的な投資のための費用が利益率を圧迫するとの説明があったが、この費用が下期に多いのか?また、来期2021年3月期にはこの費用は拡大するのか?

顧客ミックス、製品ミックスに加えて、積極的に投資をおこなっていることが影響している。設備投資では、新棟関連の償却が発生するため、費用は下期の方が多い。研究開発費も今回の業績予想修正で30億円増額しており、下期の方が多い。
なお、研究開発費は今期1,230億円の予定だが、今期を含めて今後3年間で4,000億円と見込んでいる。

通期業績予想の上方修正に伴って、FS事業の売上予想も上方修正したのか?

FS事業の売上予想(通期2,780億円)に変更はない。

TELは中国に問題なく輸出できるのか?

輸出についてはコンプライアンスに則っていく。また、米中貿易摩擦によって競合他社が中国に輸出できないからといってそのビジネスを狙おうとは考えておらず、フェアな競争をおこないたい。最先端の技術を提供し、当社の価値を示すことでビジネスを拡大していく。

DRAMの1Z世代におけるTELの事業機会は?1Z世代ではEUVは採用されると思うか?

DRAMではパターニングがキーとなるだろう。当社は、全体で90%、EUV量産向けで100%の市場シェアを持つコータ/デベロッパを持っている。これに加えて、コータ/デベロッパ、洗浄、成膜、エッチングという、パターニングにおいて連続しておこなわれるキープロセスの装置をすべて取り揃えているため、事業機会は大きい。また、DRAMでは高速化のためにhigh-kメタルゲートなど新たな材料を用いた技術も求められており、これも事業機会に繫がると捉えている。
EUVの採用については、まだ当社から明言できる段階ではない。顧客各社は生産性や差別化などの観点からあらゆる手法を検討されている。

プレゼンテーションにあった、ロジックにおいて枚葉成膜からバッチ成膜に置き換わった工程でPOR*3を獲得したとの話についてお聞きしたい。枚葉成膜に対するバッチ成膜装置の優位性は?どのような工程で置き換えが起きたのか?

顧客との関係上、詳細は現時点では公表できないが、シリコンの成膜工程がバッチに置き換わった。顧客がフットプリントやスループットを重視する中、当社のバッチ炉がその工程で適用できるということが評価を経て確認できた。今後も工程数が増えると期待している。

WFE (Wafer fab equipment):半導体前工程製造装置。半導体製造工程には、ウェーハ状態で回路形成・検査をする前工程と、そのウェーハをチップごとに切断し、組み立て・検査をする後工程がある。半導体前工程製造装置は、この前工程で使用される製造装置。また半導体前工程製造装置は、ウェーハレベルパッケージング用の装置を含む

PICP™:パネル基板上に極めて均一な高密度プラズマを生成するプラズマソース

POR (Process of record):顧客の半導体製造プロセスにおける装置採用の認定

本内容は、質疑応答のサマリーです。