TOKYO ELECTRON LIMITED

投資家向け情報

2024年3月期 第1四半期決算説明会 質疑応答集

WFE*¹市場規模は、CY2024、CY2025の2カ年合計で$200Bということだが、CY2024とCY2025を分けると、どのようなバランスになるのか。また、それぞれの年で成長の牽引役となるものは何か。

先端ロジック/ファウンドリにおいて在庫調整に時間を要していることから、当初の見込みより顧客の投資回復が遅延している。CY2024からCY2025にかけて回復するのは間違いないが、CY2025の方が投資は大きいだろうと考えている。一番の牽引役はサーバー。CY2023~CY2027にかけてサーバー台数はCAGRで約8%増加するだろうと予想している。また、インフレの緩和や企業のIT投資増加によるPC・スマートフォンの需要回復、半導体の進化に伴うアプリケーションの増加等に期待している。さらに、EVに関連するパワーデバイス、その他の多様なアプリケーションに対応する成熟世代の半導体等、「MAGIC*²」領域向けの投資も堅調に推移するだろうと考えている。

売上総利益率についてお伺いしたい。Q1の実績が41.4%、Q2は差引すると売上高が3,983億円、売上総利益率は42.9%と、Q1より増える計画になっている。その要因は何か。また下期の売上総利益率の増加要因についても教えてほしい。

Q2の売上総利益率が向上するのは、製品の収益性の向上が主な理由。下期に関しては売上高が増加するため、売上総利益率はさらに改善する見込み。

中国の売上構成比が高まっており、特に成熟世代向けの投資が強いとのこと。中国顧客の投資の加速の背景は、先端世代から成熟世代に切り替えているというのがQ1の傾向か。また、その継続性をどう見ているのか。特にCY2024、CY2025の力強い投資回復に中国市場の成長は織り込んでいるのか。

中国顧客の投資加速の背景には、デジタル社会で多様な半導体が求められていることが上げられる。また、成熟世代向け投資は先端世代向けよりもボラティリティが少ない。各国政府による一部装置の輸出規制を見越し、中国顧客は安定的な成長戦略に基づき成熟世代への投資に切り替えている。中国においては、新規の顧客も増加しており、成熟世代向け投資は旺盛。一過性のことではなく、継続した投資を期待している。

株式市場で生成AI需要拡大に向けた期待値が非常に高まってきているが、TELの事業機会と、TELの装置群の中で特に恩恵を受けそうな装置を教えてほしい。

サーバーに注目すると、全サーバーに占めるAIサーバーの台数比率がCY2023時点では約8%、うち、生成AIは約1%。AIサーバーの比率については、当社では来年以降、毎年約2% ptsずつ増えていき、AIサーバーだけで、CY2025のWFE市場に約$5Bの寄与があると考えている。AIサーバーの普及により、例えばGPUやHBM*³等の事業機会が増加すると期待している。
恩恵を受けるのはボンディング装置で、既に受注している状況。前工程の装置については、現状、顧客の工場稼動率が低いことから、すぐには新規の装置需要には繋がらないが、来年以降期待している。

CY2025のAIサーバー向けのWFE市場規模が約$5Bということだが、どのように試算したのか。

サーバーの台数、それに占めるAIサーバーの比率、その中における生成AIの比率などを考慮して、約$5Bと試算した。

CY2025のAIサーバー向けのWFE市場の中で、ボンディング装置はどれくらいの割合を占めているのか。また、シェアの状況、評価されている点を教えてほしい。

FY2024中に3桁億円に達する売上を期待している。今後急速に成長していく市場だと考えており、我々は高いシェアを獲得できる見込み。HBMで技術をリードしている顧客から、貼り合わせの精度だけではなく、生産性においても高い評価を得ている。我々は広い製品群を持っているため、ボンディング装置だけでなく、周辺工程も含め、顧客に最適なソリューションを提供できると考えている。

他のエッチング装置メーカーはボンディング装置を持っていないため、他のボンディング装置メーカーと提携していると思うが、TELはエッチングとボンディングの両装置を自前で持っている優位性を発揮できるのか。

優位性を発揮できると思っている。前工程と後工程を融合したソリューションを提案することで、当社のバリューを顧客に示していきたい。

極低温エッチングについて、競合メーカーは、ウェーハ表面温度を-40℃ではなく-60℃まで下げて、TELが発表しているようにガスの種類を変えれば、エッチング速度を倍にすることができるのか。

極低温エッチングができるハードウェアは通常の低温エッチングのものとは全く異なり、実現するのは技術的に非常に難しい。ガスを変えるだけでは達成できない。

3D NANDにおいて、一度にエッチングできるのは128層が限界だと思うが、極低温エッチングだとそれ以上の層数が可能になるか。また、積層数が400層レベルとなるのは2~3年後か。

極低温エッチングでは、一度に128層以上のエッチングが実現可能。積層数が増える中で、一度にエッチングできる層数を増やし、エッチングする回数を減らすことは重要な価値になる。チャネルホールエッチングは必要となるエッチング装置台数が非常に多く、その市場規模は、CY2023は約$0.5BだがCY2027には約$2Bレベルまで拡大する。今回の成果は当社のシェア向上に寄与すると考える。400層レベルの採用時期については、2~3年後を想定している。

他のSPEメーカーは装置だけではなく、ガス等の材料の開発も同時におこなっていると聞いている。TELにも材料から開発していく方針はあるか。

当社は、ガスについては材料メーカーと協業し、最適なガスを選択しながら開発をおこなっている。今回の極低温エッチングにおいても、協業により、環境性能を重視した二酸化炭素の排出量が非常に少ないガスを用いたプロセス開発に成功した。

WFE (Wafer Fab Equipment):半導体前工程製造装置。半導体製造工程には、ウェーハ状態で回路形成・検査をする前工程と、そのウェーハをチップごとに切断し、組み立て・検査をする後工程がある。半導体前工程製造装置は、この前工程で使用される製造装置。また半導体前工程製造装置は、ウェーハレベルパッケージング用の装置を含む

MAGIC (Metaverse, Autonomous mobility, Green energy, IoT & Information, Communications):当社がさらなる事業機会拡大に向けて設定したコンセプト

HBM (High Bandwidth Memory):高帯域幅メモリ

本内容は質疑応答のサマリーです。