TOKYO ELECTRON LIMITED

投資家向け情報

2016年7月7日 中期経営計画説明会 質疑応答集

EUV(Extreme Ultra-Violet)と多重露光に関する見解は?

EUVに関しては2017年以降、2018年あたりで量産導入されるという話は出ている。EUVが実用化されても多重露光と組み合わせて微細化が進んでいくので、エッチングや成膜の工程が大きく減少することはない。

パターニングにおいて、原子レベルで制御するためのALD*1/ALE*2の開発には成膜とエッチの知見が必要と理解したが、そのメリットが出てくるのはいつごろか?

現在投入している技術の成果が出てくるのは、7nmから5nm世代のノードを想定している。成膜とエッチングが同時に発生する工程をいかに制御できるかが重要であり、成膜とエッチングの両方の知見を持つ当社は優位であると考えている。

ALDについて、ASMIの特許の一部がもうすぐ失効すると聞くが、失効によって競争環境が変わる可能性があるか?

シェアはあまり変わらないと考えている。ASMIはALDの特許や周辺技術を多く保有しているが、それに代わる技術は多々ある。ASMIとは良好な協業関係にある。

以前からエッチング装置のシェアを上げると言いつづけているが、これまでやってきたことと何が変わるのか?どこに注目しておけばいいか?

注目していただきたいのは、当社が得意とするDRAMや3D NANDのHARC工程*3と、ロジックやDRAMのパターニング工程のシェア。すでに一部で開発POR*4が取れているので、来年から成果が見えてくると思う。

CY2015のエッチング装置のシェアは19%だが、工程ごとのシェアは?

3D NANDの3工程とDRAMのキャパシタ工程を含めたHARC工程全体における当社のシェアは4割程度、配線/コンタクト工程においては8割程度。パターニング工程はコンダクタエッチと酸化膜エッチが混在しており、当社シェアは15%程度と見ている。今後はHARC工程とパターニング工程に注力する。

3D NAND特有のエッチング工程の市場規模は?

多段コンタクト市場を100とすると、スリットが100程度、チャネルが120程度、コンタクトパッド(階段)が120程度と見ている。

3D NANDの積層数が48、64、96層と増加していくが、HARC工程向け装置市場が2016年に伸び、2017年以降伸びが大きくないと見る理由は?

3D NAND固有の4工程が伸びると考えており、当社は多段コンタクト、チャネル、スリットの3工程に注力してシェアを伸ばす。

3D NANDが64層になる際に、32層を2段組みにする案があると思うが、どういうトレンドになるか?1段組みのほうがエッチング装置の付加価値が出るのか?

NANDはコストが重要であり、2段組みにして工程数を倍にしてもメリットはない。当社は2段組みを1段にする、別の工程と一括でエッチングするなどの提案をしていくことで差別化できると考えている。

貴社が得意なHARC工程のエッチングでは、どのくらいのアスペクト比まで対応可能か?

一般的にアスペクト比40程度が現時点での限界ではないかと言われているが、当社は100を目標に開発している。

ASMLがヘルメス・マイクロビジョンの買収を発表したが、貴社の見解は?また、マスクエッチングにおける貴社の戦略に変更はあるか?

ASMLのニュースリリースによると、欠陥を早期発見し露光装置にフィードバックする手法をヘルメス・マイクロビジョンと確立していくようだ。当社はマスクやレチクルのエッチングにはあまり絡んでいない。位置精度を向上させる手法でパターニングにおけるソリューションを提案していく。

有機ELパネル向けエッチング装置のシェアは?有機ELパネル向け装置市場の伸びに比べて、貴社の2020年3月期の売上目標600億円は低いのでは?

ドライエッチング装置は、液晶パネルと有機ELパネルの両方にあるTFTアレイ工程*5に使われるので、有機ELパネル向けだけのシェアを算出するのは難しい。FPD製造のエッチング工程全体における当社のシェアは65%程度ある。中小型基板向けよりも大型基板向けのほうが高いシェアを持つが、PICPTM*6エッチング装置の投入により中小型基板向けのシェアも拡大させていく。

パネルメーカーが大規模な有機EL投資を計画しているが、貴社のFPD製造装置の受注を見ると、その恩恵を受けていないのでは?

地域と顧客ごとにシェアは異なっており、特に韓国顧客においては韓国装置メーカーのシェアが高い傾向にあるため、今期の当社シェアは大きくは伸びないだろう。一方で、当社のPICPTMエッチング装置は従来装置に比べて性能が格段に上がっているため、韓国顧客においても採用検討が進んでおり、今後に期待している。

有機ELパネル向けインクジェット描画装置は、複数の基板サイズに対応可能か?有機材料は高分子と低分子のどちらが有力か?どの程度の解像度まで対応可能か?

顧客の基板サイズに合わせて設計している。有機材料については、顧客が高分子・低分子の両方を色度、寿命、構造、コストの面で評価している段階。ターゲットは有機ELテレビを中心に考えており、解像度は55インチの4Kテレビであれば80ppi(pixel per inch)あれば充分ではないか。将来的には65インチ8Kで必要な130ppiの解像度を狙う。

有機ELパネルにおいて有機材料の膜厚が厚くなってしまい消費電力が大きいという問題があるが、インクジェット描画装置で解決できるのか?

インクジェット描画装置でRGBを塗り分けることによって全体的な膜厚を薄くするなど、解決できる可能性は十分ある。

インクジェット描画装置の事業機会は、東京オリンピック(2020年)までにあるか?

可能性は大いにある。有機ELテレビ向けのインクジェットプロセスの確立に向けて、顧客や材料メーカーと総合的に進めていく。

本内容は、質疑応答のサマリーです。スライドに同期した音声配信はこちらから。