半導体業界の未来を切り拓く:TELエンジニア Rosanna A. Robert
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東京エレクトロン(以下:TEL)は、教育や挑戦する機会の提供が、新たな扉を開き、未来への道に続くと信じ、産学連携やインターンシップといったさまざまな取り組みを通じて、業界全体の可能性を広げる支援を続けている。
今回は、 SEMI 財団が主催するWomen in Semiconductors(WiS)プログラム2025で共同議長を務めたエンジニアRosanna A. Robertを紹介。後半では、”Empowerment in Action and Beyond Buzzwords with a focus on real actions to create success"をテーマにニューヨーク州アルバニーで開催されたWiS 2025の様子をレポート。 どんなプログラムが開催され、参加者は何を学んだのだろうか?
略歴
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Rosanna Robert
University at Albanyでナノスケール工学の修士号を取得。卒業後、TEL Technology Center, Americaに入社。エッチングプロセスエンジニアとして、ニューヨーク州アルバニーを拠点に活躍。社内のWomen’s NetworkやUPWARDS(半導体の人材育成と研究開発に関する未来に向けた日米大学間パートナーシップ)のプログラムに参加する傍ら、プライベートではボランティア活動にも積極的に取り組んでいる。
Rosanna A. Robertがエンジニアとして大切にすること
WiS 2025で共同議長を務め、業界をリードする大きな役割を果たしたエンジニアRosanna A. Robertは、半導体の技術革新に挑み続けるエッチングプロセスエンジニアだ。WiSの共同議長を引き受けけた理由について、彼女は次のように話す。
「私は高校生の時にSTEMに興味をもちました。ナノスケール101の入門コースを受講していた時、材料とナノテクノロジーの応用に魅了されました。WiS 2025の共同議長を引き受けた理由は、特にSTEM(分野)の専攻を希望する女子学生に、個人的な影響を与えられると信じていたからです。
半導体業界で技術革新を追求するエンジニアとして、業界のあり方を改善し、エンゲージメントを高めることを目指しています。WiSは、業界の他企業や大学とコラボレーションする素晴らしい機会を提供します。また、自分自身の活動を振り返り、自分がどのように業界に影響を与えられるかを見極める、良い方法でもあると考えています。」

Rosannaはこれまでに直面した課題をどう乗り越えてきたのか。周囲のサポートや、彼女に影響を与えた人々についてのエピソードとともに、次世代の育成を積極的に進める意義について話を聞いた。
「どんなことでも苦労は伴いますが、自分を支えてくれる基盤をもつことが克服の鍵です。私が直面した苦労の一つは、自分の意見や貢献できることを受け入れて評価してもらうことでした。その際、他のエンジニアたちが私を支え、ともに声を上げてくれることが助けになりました。サポートや気づきはどこからでも得られます。TELでの私の最初のメンターは、私のスキルを認めてくれると同時に、半導体分野で活躍するチャンスを私に与えてくれました。
大きな励みになった経験として、私が出会ったフランチェスカとの出来事を紹介したいと思います。彼女は常に私の仕事に興味をもち、毎日何をしたのかを尋ねてきました。彼女の好奇心のおかげで、私は自分自身を向上させる努力を続けることができました。また、彼女の存在自体が、女性がより自由に探求できる環境の構築に向けて私を後押ししてくれています。
次世代の可能性を広げることは重要な取り組みです。性別に関わらず若い学生がSTEM分野に飛び込めるようなきっかけを与える活動を大切にしています!創造力を発揮し、技術の最前線に立つ素晴らしいチャンスだからです。私自身も、K-12プログラム* やキャリアフェアに参加するのが好きで、学生たちとつながる良い機会だと感じています!私はこの業界を、彼女も含め若い人たちを歓迎する場所にしたいと思っています。」
*K12プログラム:幼稚園から高校までの教育課程を一貫して提供する教育システム
Women in Semiconductors 2025
WiSは、半導体業界のオピニオンリーダー、イノベーター、専門家が集うことで知られている。今年のテーマ「Empowerment in Action and Beyond Buzzwords with a focus on real actions to create success」では、現在の課題に取り組み、半導体業界と人材における女性の未来を再構築することに焦点が当てられた。イベントでは、基調講演、パネルディスカッション、ワークショップ、ネットワーキングの場が提供され、エンジニア、営業、企業の社長やマネジメント層、インターン、チームリーダー、採用関係者、学者など250人以上の参加者が集結。より強固で包括的な半導体エコシステムを構築することに関心がある人や、女性を支援する社内または社外向けプログラムの開発に携わる人々も多く参加した。

IBM Semiconductors and Albany OperationsでCybersecurity Leader and Research Security Program Manageを務めるJennifer Lynn氏による基調講演からWiS2025はスタートした。「Empowering Voices, Driving Change: How Community Sparks Growth」と題したLynn氏の講演で、「嫌な人というのは、やっぱり嫌な人であるものです。これを変えることはできませんので、自分なりに頑張るしかありません」という一言に、多くの参加者が共感した。 続いて、SEMI 財団の Global Workforce Development & Initiatives VP のShari Liss氏がモデレーターを務めたパネルディスカッションでは、「Beyond Buzzwords: Real Strategies for Supporting Women’s Success」をテーマに、ディスカッションが交わされた。TEL Technology Center, America 社長のAlex Oscilowskiも登壇した本セッションでは、自分の声を確実に届ける方法や、コミュニケーションの微妙な変化がどのように大きな影響を与えるかについて、実践的な洞察が共有された。

「Interactive Session - Framing Your Own Story」というワークショップでは、参加者が自信をもって自分自身を紹介するためのエレベーターピッチ* を作成する実践的なアクティビティに重点が置かれた。参加者は、仕事や自己成長にすぐに活用できる有用なアプローチを得ただけでなく、自ら乗り越えてきた道のりを深掘りすることの重要性を学んだ。また、ネットワーキングの時間では、出席者どうしがつながる有意義な機会が提供された。
*エレベーターピッチ: 短時間でアイデアやビジネスプランを簡潔に効果的に説明すること
参加者の声
「私たちは、Jenniferのコメント‘嫌な人は嫌な人’が気に入りました。」 「このイベント全体を本当に楽しみました。参加者の皆さんがとてもフレンドリーでした。基調講演は素晴らしかったです。」 「パネルディスカッションがよかったです。アドバイスやディスカッションはどちらも役に立ち、楽しかったです。JenifferとKathyが注目の存在でした!」 「エレベーターピッチと、ネットワーキングが良かったです。」 「半導体エコシステムの専門家とネットワーキングしながら、素晴らしい目標のために活動を続けます!」 「パネルディスカッションと基調講演はとくに素晴らしかったです。」
TELは、業界団体とともに、好奇心を刺激し、ともに学び合う中で取り組みを加速させるプロジェクトをこれからも提供し続けていきます。半導体業界に興味がある方は、ぜひ一歩を踏み出してみてください。新たな挑戦に向かって共に進んでいきましょう!