No.007 ”進化するモビリティ”
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iPhoneとの連携を推進するアップル

クルマはもちろん、人や物を運ぶために作られた交通手段の一つだが、最近のクルマは、センサーとコンピューター−、ネットワーク機能を備えた情報端末という側面も持っている。実際に走行しているクルマから得られたデータを、「プローブカーデータ」または「フローティングカーデータ」と呼び、これらのデータを元に道路交通情報を生成する技術はすでにいくつかの自動車メーカーなどが実用化している。例えば、ホンダでは、双方向通信型カーナビゲーションシステム「インターナビ」において、会員の走行データから生成した道路交通情報を利用することで、精度の高い経路探索やピンポイント天気予報などを実現している。同様のサービスは、日産やトヨタ、野村総合研究所、パイオニアなども提供している。こうしたサービスに対応したクルマには通信モジュールが搭載(携帯電話を接続するタイプもあり)されており、定期的に通信を行っているのだ。

自動車の情報端末化は、グーグルやアップル、マイクロソフトといった、IT系ビッグネームが新たな事業領域として捉えており、積極的なアプローチを行っている。アップルは、2014年3月にリリースした「iOS 7.1」で、車載情報システムとの連携機能「CarPlay」を導入した。CarPlayは、iPhoneと車載情報システムをLightningケーブルで接続して、SMSや通話、音楽再生、地図などのiPhoneの機能やアプリケーションをクルマのダッシュボードの画面と音声認識機能「Siri」を利用して使う機能である。利用には、クルマ側での対応が必要だが、ホンダ、フェラーリ、ヒュンダイ、メルセデスベンツ、ボルボといった自動車メーカーが、2014年中にCarPlayに対応したクルマを投入することを表明しているほか、アルファロメオやアウディ、ジャガー、フォード、プジョー、シトロエン、三菱、日産、トヨタ、スズキ、スバルなど、世界中の自動車メーカーがCarPlayのパートナーとして名を連ねており、今後、対応したクルマが増えてきそうだ。また、非対応のクルマにCarPlay機能を追加する製品も、アルパインやパイオニアなどのカーナビメーカーから発売される予定になっている。

フェラーリから登場したCarPlay対応車「Ferrari FF」の写真
[写真] フェラーリから登場したCarPlay対応車「Ferrari FF」

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