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当社取締役会の実効性に関する評価結果の概要について

 当社のガバナンスおよび取締役会の実効性をさらに高めるため、2022年3月期の活動を振り返り、当社取締役会の実効性に関する討議、評価を実施いたしました。その結果の概要を下記のとおりお知らせいたします。

1.実効性評価の実施方法

(1)評価対象

取締役会全体(指名、報酬委員会の活動内容も含む)(2)評価方法

アンケートや個別インタビュー項目に関するアドバイス、アンケートの実施・集計、個別インタビューの実施、およびアンケート・インタビュー結果に基づく分析については、専門的な知見をもつ外部専門家である第三者機関の支援を受け、その分析結果を参考に、取締役会における審議を重ね、包括的に自己評価を実施しました。

評価に関する具体的なプロセスは以下のとおりです。①外部専門家との事前討議

取締役会長(取締役会議長)、代表取締役社長、取締役会事務局が、外部専門家と問題意識、現状と課題などについて個別に討議をおこなった。②アンケートおよび個別インタビュー

取締役および監査役全員(17名)に対して、質問票によるアンケートを実施し、また、その結果を踏まえ、外部専門家が取締役・監査役全員と個別インタビューを実施した。アンケートおよび個別インタビューとその分析結果については、外部専門家から報告書の提出を受けた。③結果報告と討議

外部専門家の分析結果を踏まえ、社内会議での討議、社外役員による意見交換会を実施した。4月27日開催の取締役会において、外部専門家からの分析結果の報告を受け、それを踏まえた取締役会メンバーによる討議をおこない、総合的な自己評価をおこなった。④開示内容の決定

5月12日開催の取締役会において、審議の上、開示内容を決議した。


(3)評価項目

 

主たる評価項目は、以下のとおりです。①当社のガバナンス体制・取締役会の実効性全般

-取締役会の役割・機能

-取締役会の規模・構成

-取締役会の運営状況

②指名委員会の構成と役割、運営状況

③報酬委員会の構成と役割、運営状況

④社外取締役へのさらなる支援

⑤監査役の役割

⑥投資家・株主との関係


2.昨年度の実効性評価で課題とされた項目への今年度の対応状況

昨年度の実効性評価において課題と認識された以下の各項目に関する、今年度の対応状況は下表のとおりであり、具体的な施策に基づく改善が進んでおります。

課題 今年度の対応状況
企業価値向上、競争力強化のための中長期的な経営戦略に関する継続的な議論の強化 成長戦略や中期経営計画、2023年3月期以降のガバナンス体制や意思決定プロセス、ダイバーシティ、リスクマネジメント等に関して、オフサイトミーティング(2回開催)において、深い議論をおこない、さらに進展があった。
多様性の促進、グローバル人材の育成・登用を重要な企業戦略と位置づけた取り組み 人的資本に関する取り組みと開示状況が取締役会で報告された。多様性に関しては、3G(Global・Gender・Generation)の観点から、取締役会で討議のうえ、女性管理職比率の目標を設定・開示し、具体的な施策を展開した。
グローバルレベルのグループガバナンスの観点からの、内部監査の体制強化、および内部監査部門と取締役会・監査役会との連携強化 全社リスクマネジメント活動と内部監査の実施状況が取締役会で報告された。内部監査について、監査マップに基づくリスクベースの監査を遂行するとともに、さらなる成長に向け、強固なリスクマネジメントプロセスの構築を戦略的に推進していくことが取締役会で討議された。
指名委員会・報酬委員会と取締役会の情報共有のさらなる充実 報酬委員会については、活動状況の報告に加え、報酬制度の見直しに向けた論点説明などが取締役会に報告された。また、指名委員会については、後継者育成計画の進展状況などが取締役会に報告された。


3.
今年度の実効性に関する分析および評価
(1)評価結果
当社取締役会は、当社のコーポレートガバナンス・ガイドラインにありますとおり「経営戦略およびビジョンを示すこと」「戦略的な方向性を踏まえた重要な業務執行の決定をおこなうこと」「自由闊達で建設的な議論をおこなうこと」といった取締役会の役割・責務を、総じて高い実効性を担保して適切に果たしており、指名委員会・報酬委員会を含め有効に機能していると認識しております。なお、外部専門家の分析・評価結果も同様に高評価となっておりました。

当社はプライム市場への移行に伴い、より高度なガバナンスの実現に向けて、取締役会における独立社外取締役の構成比率を高めるなど、監督機能の強化を図るとともに、迅速な意思決定と機動的な業務執行を一層進めていくため、コーポレートオフィサー制度を導入することを決定しました。2022年3月期において、中期経営計画を2年前倒しで達成することができましたが、今後もさらなる利益の拡大と継続的な企業価値の向上に向け、ガバナンスの実効性をさらに高めるよう努めてまいります。(2)アンケートおよびインタビューによる確認事項

アンケートの回答およびインタビューの結果から、主として以下の点が確認されました。・適切な機関設計と、社内を熟知した議長のもと、取締役会は活発な議論がなされており、取締役会の運営についても高く評価されている。また、取締役会や指名委員会・報酬委員会のメンバー構成の評価も高く、各取締役・監査役の自己評価においても、それぞれの立場から議論の活性化に貢献している。

・地政学リスク、サプライチェーンの安全確保等、事業の課題やリスクに関しては、社外役員からの指摘にも柔軟に素早く対応しているが、企業価値のさらなる向上のためには、優秀な人材の獲得と多様性の確保が必要である。また、中長期的な経営戦略については、具体的な時間軸を共有したうえでの議論が必要である。・今後、取締役会が中長期的な議論にさらに注力できるよう、取締役会の役割を定義し直すとともに、業務執行側の体制を強化し、取締役会と業務執行側との役割分担を明確化する必要がある。・秘匿性が高い指名委員会における議論内容に関する取締役会への情報共有には工夫が必要であり、また、社外役員間での情報交換の場の設定に関しては、その目的と必要性を引き続き検討する。 

 

4.今後の課題
当社取締役会は、今回の評価結果を踏まえ、以下の各事項に継続的に取り組み、その実効性をさらに高めてまいります。(1)第60期取締役会の実効性向上に向けて
-執行側と取締役会の役割分担と意思決定権限の明確化、および適切なチェック&バランスの確保
-新設されるコーポレートオフィサーズ・ミーティングの実効性を確保した適切な運営(2)中長期的な成長と継続的な企業価値向上に向けた取締役会での継続的な議論

-具体的な時間軸(短中長期)を明確にした上での、目標・戦略テーマ・リスク課題の整理(中長期の成長戦略に関する議論を深める)
-ダイバーシティ&インクルージョンへの継続的な取り組み(3)取締役会メンバー同士や、任意の委員会との情報共有のあり方の検討

-指名委員会の活動内容等の取締役会への情報共有のあり方

-社外役員間での情報交換の場の設定