TOKYO ELECTRON LIMITED
Intellectual Property and Intangible Assets

知財・無形資産

知財・無形資産の位置づけと知的財産への取り組み

技術革新が成長を牽引する半導体業界において、当社が持続的な成長を実現するためには研究開発力の強化が不可欠です。当社は4つの強み (図 ①~④) を生かして研究開発を進めており、これらの強みが卓越した製品競争力の源泉となっています。さらに、国内外のお客さま、コンソーシアムやアカデミアとの積極的な協業 (オープンイノベーション) を推進し、多様な知見や技術を当社の研究開発に取り込むことで、革新的で付加価値の高い独自技術を生み出しています。これにより、当社の生命線である次世代装置のタイムリーかつ継続的な創出と、5つ目の強みである特許ポートフォリオ (図⑤) の戦略的構築を可能としています。
当社では2024年に日本で1,331件、海外で296件の発明が創出され、グローバル特許出願率は6年連続で約75%を維持しています。許可率*は、日本で77%、米国で86%に達しており、2025年3月末時点の特許保有件数は24,996件と、半導体製造装置業界でNo. 1を維持しています。当社の特許ポートフォリオは、他社への影響力や技術的価値の上昇度においても高く評価されており、2024年に引き続き「Clarivate Top 100 グローバル・イノベーター 2025」および「LexisNexis Innovation Momentum 2025: The Global Top 100」に選出されています。こうした競争力のある特許ポートフォリオは、製品の差別化やお客さまとの絶対的な信頼関係の構築にもつながります。また、当社の4つの強みを支えることで、中長期的な企業価値向上の基盤として重要な役割を果たしており、当社の持続的な成長を後押ししています。

*2024年算出値

グローバル特許出願率

各国への出願分に特許協力条約に基づく国際出願分を追加したデータに基づき作成

特許保有件数

2021年3月期~2022年3月期は社内データ、2023年3月期~はLexisNexis®PatentSight+データに基づき作成

知的財産ガバナンス体制

当社は、国内外の主要開発拠点に配置された知的財産部門と本社の知的財産部が連携し、研究開発部門や事業部門とも密接に協働することで、技術革新と市場ニーズを的確に捉えた知的財産ポートフォリオの強化を進めています。また、取締役会やコーポレートオフィサーズ・ミーティングにおいて、知的財産活動や知的財産リスクに関する報告を定期的に実施し、経営層との連携を通じた知的財産ガバナンス体制の一層の強化に努めています。

発明者表彰制度

特許ポートフォリオの優位性を支えている発明者の知的財産創出活動を促進するため、独自の表彰制度を設けています。
初めて特許出願に至った発明者から、特に優れた模範となる発明者まで、さまざまなステージに合わせて表彰をおこなっています。

01TEL Master Inventor

TEL発明者の中で最高峰の栄誉
(特許ポートフォリオ発展への多大な貢献・知財創出活動への模範的姿勢)

02TEL Major Inventor

TELキー発明者としての認定
(発明者全体の上位数%)

03Inventor of the year

年間で最も特許ポートフォリオ発展に貢献した発明者としての認定
(各年の特許登録実績)

041st Primary Inventor

TEL入社後初めて出願に至る発明届出をした記念

特に、自身の発明活動に加え後身の育成を通じてTELグループの知的財産創出活動に多大な貢献をした発明者は、TEL Master Inventorとして顕彰されます。
9名の発明者がこれまでに認定されています。
このような制度を通じて、積極的な知的財産創出活動や発明精神の継承を推進し、製品競争力の継続的な向上を図っています。

TEL Master Inventor認定者コメント

輿水 地塩さん

東京エレクトロン宮城

些細な現象も見逃さない
“眼”こそが財産です

皆さんには是非 “現状に満足することなく、本質を考え技術を極めていって欲しい”と願っています。
そのためには興味や好奇心を持って自分の手でもう一歩先、さらに先へと深く掘り進めることが大切だと思います。
とはいえ、努力が結果に直接結びつかないことが多いのも事実です。
私自身も何度も経験し、そのたび苦しい思いもしてきました。
しかし自ら考え、経験したことは脳裏に深く刻まれ、その結果些細な現象も見逃さない"眼"が養われます。
それこそが開発者としての財産です。
この“眼”を養うことで新しい発想や具現化手段の着想が生まれ、また想定外の結果にも素早く対応出来るようになるのです。
努力しても報われないという厳しい現実に直面したとても、自分で考える、深堀する努力を続けるべきであり、
そこから多くの経験を積んでいってほしいと思います。
やがてこれらの経験が自らの新たな価値創出に繋がっていくのですから。
皆さま一人一人の意識や技術が向上することで、これからのTELの実力がさらに向上すると信じています。
皆さまのご活躍を期待しております。

長谷部 一秀さん

東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ

若い開発者のために
開発環境を整えていきます

たくさんの偉大な先輩方がいらっしゃる中で賞をいただき、非常に恐縮しています。新しい技術を発明として法的に権利を守ることができる知的財産権は私たちのような技術革新を基盤として事業をつくり出し、成長していく業界にとって非常に重要です。私の経験の中でも何度か差別化技術の権利を脅かされたことがあります。知的財産権をしっかりと保有し、その権利の範囲を戦略的に広げ確保していくことは、私たちの事業を安心して拡大していくこと、差別化技術の切り崩しを防ぐために必ず必要になります。イノベーションはその道のトップの開発者そして広い思考を持った人にのみ(言い過ぎか?)手に入るお宝です。若い開発者の皆さんがしっかりと地に足をつけ研究開発できる、また日々高まる先端技術ニーズに対して取り組んでいくことができる開発環境を整えていきたいと思います。そして技術が、開発者がリスペクトされるよう努めていきますので皆さん頑張って発明してください。

吉原 孝介さん

東京エレクトロン九州

諦めず、粘り強く、
考えること自体を楽しみましょう

期待通りの結果とならなかった提案もたくさんありますが、改めて振り返りますと、以下の2点が受賞につながった要因ではないかと思っています。
①関わった製品について、改善の余地が残されているポイント(課題)を常に意識しておくこと
②周囲から要求される前に、その改善策を考えること
限られた開発期間内での完璧なものづくりは難しく、「本当はここまでやりたかった」 と感じたことが皆さんもあるのではないでしょうか。あるいは、既存の製品に対し 「ここが改善できたらお客さまをもっと喜ばせられるのに」 と感じたこともあるでしょう。このような課題を常に意識し、制約条件とともに頭の中で整理することが、アイデア創出の起点になるのではないかと思います。
ただし、追い詰められた状況の中ではいいアイデアは浮かびません。考えるタイミングもとても重要だと思います。周囲から要求される前、即ち気持ちに余裕がある時の方がいろんな発想も出てきやすいですし、何よりも考えること自体を楽しめるのが最大の利点です。日頃から問題意識をもち、こっそり先回りして考えてみてはいかがでしょうか(諦めず、粘り強く)。

戸島 孝之さん

東京エレクトロン

一喜一憂を楽しむ

栄誉な賞をいただき、恐縮しています。これも偏に、ともに開発 に携わってくれたメンバー、教育してくれた先輩のおかげです。ありがとうございました。入社当初から40年間プロセス開発に携わり、振り返るといろいろな苦労がありましたが有意義な時間を過ごせました。昔は、実験用の装置が故障したら、専門のエンジニアに教えを請いながら 自分で直さなければいけませんでしたが、この経験により装置のハード面も勉強でき、いろいろなアイデアの創出に結びつきました。半導体製造装置は、メカ、エレキ、ソフト、プロセスといろいろな技術が絡み合い性能を実現しています。そのため、浅くてもよいので他の分野の知識を得ることをおすすめします。なぜ、このパーツをそこに使用しているのか?動作はどうなっているのかなど、知識が増えると良いアイデアに結びつきます。そして、一喜一憂を楽しんでください。すべて順調にいくことはありません。うまくいかず谷になっても、底につけば後は昇るだけです。歩みを続ける限り谷を抜けることはできます。私の趣味は 剣道で、剣道には「叩いて喜び、叩かれ喜ぶ」という言葉があります。1本とる喜びも大切ですが、相手から叩かれて自分の欠点を知ることも成長の喜びになります。皆さんも失敗を恐れず前に進み続けてください。