TOKYO ELECTRON LIMITED
Promotion of Improved Productivity

生産性向上の推進

業務効率化と新たな価値の創造

デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組み

DXの取り組みは、経営ビジョンと会社経営計画を達成し企業価値を創造するための手段かつ契機であるという考えのもと、2021年1月に「全社員がデジタル技術を“てこ”にして付加価値向上や効率化などの企業価値創造活動を持続的に推進するグローバルカンパニー」というTEL DX VisionおよびTEL DXグランドデザインを策定しました。
DX活動の主な目的は、経営の重点施策「4つのマテリアリティ」をデジタルで加速・強化することであり、商品改革と業務改革*が主な活動内容です。商品改革においては、①認識(センシングとモニタリング)、②分析と予測、③制御、④学習と進化(自律化)のプロセスを繰り返しながら高次元の課題を解決することで、顧客価値の向上を図ります。また、業務改革では、社内業務の現状を把握するとともにあるべき姿を描き、デジタルツールの活用や業務の進め方の変革をおこない自社の資本効率の向上を実現します。併せてこれらの活動を実施する上で必要となる経営基盤およびビジネスサポート部門におけるデジタル活用も推進しています。
また、DXを推進する上で必要な人材を定義し(DXエンジニア)、各々必要となるスキルの育成計画を立て、育成に取り組んでいます。さらには、DXエンジニアに留まらず、全社員が日々の業務においてデータを活用できる人材育成も実施しています。

商品改革: 開発から量産までのさまざまな場面においてお客さまの価値創造に貢献すること、業務改革: 製品の企画段階から保守までのさまざまな場面において資本効率を向上させること

TEL DX グランドデザイン

PLM: Product Lifecycle Management。製品ライフサイクル管理

業務効率化

当社では、生産性と品質のさらなる向上を目指した新基幹システム(ERP*)の導入を進めています。業務や国の垣根を越えて運用される本システムの目的は、①大幅な業務効率の改善、②変化に迅速に対応した経営判断、③デジタルトランスフォーメーションを見据えたグローバル統合情報の活用の実現により新たな価値を創出することです。
2021年度に本社において、また2022年度には国内の保守パーツ倉庫においてそれぞれ本システムの導入を完了しました。今後はこれまでの過程で得られた知見を最大限に活用し、海外
現地法人および国内製造拠点への導入を順次進めていきます。また、パートナー企業さまとのご協力のもと、業務の改善および効率化やシステムパフォーマンスをさらに強化するための機能開発などをおこないグローバル統合システムを実現します。

新基幹システム概要
新基幹システム概要 Sales CRM(営業)、Schedule(計画)、Product Lifecycle Management(設計)、Supply Chain Management(調達)、Manufacturing Execution System(製造)、Warehouse Management System(倉庫)、Global Trade Management(輸出)、Service CRM(フィールドサポート)のITシステム 投資情報、引き合い、フォーキャスト、生産計画、生産準備、設計、受注、調達、製造、出荷、スタートアップ、技術検収、売上、ワランティ、ポストセールスの主要プロセスで構成されたERP(販売、在庫、会計)

ERP: Enterprise Resource Planning。企業の「会計業務」「人事業務」「生産業務」「物流業務」「販売業務」などの基幹となる業務を統合し、効率化、情報の一元化を図るためのシステム

生産性向上の取り組み

当社は半導体およびフラットパネルディスプレイ製造装置のメーカーとして、バリューチェーン全体のオペレーションにおいて、安全・品質を重視しながら、生産性の継続的な向上に取り組んでいます。

具体的には「Safety First*¹」のスローガンのもと、事業に関わるすべての人々の安全と労働環境の改善に努めるとともに、お客さまの真のニーズを理解し、世界No.1 の品質を目指して、品質マネジメント体制の構築とバリューチェーン全体での品質向上を追求しています。さらに安全・環境法規制の準拠、ソフトウエア開発の効率化やスマート化などの活動を全社で展開しています。

製造オペレーションにおいては、BOM*²からMES*³への連携システムによる生産の省力化や、生産パフォーマンスのデジタルツイン*⁴化などの取り組みを実施しています。

また、お客さまのご要望や市場変動に迅速に対応するため、生産に関わるすべての情報を一元化した生産システムを構築し、製造実行システム (MES) や調達基幹システム (SCM)*⁵によるIT基盤の整備と現場データの情報化を実現しました。これらのシステムで集約したさまざまなデータを各業務で活用することで、生産計画の適正化や効率化、お取引先さまとの情報連携強化によるパーツ納期の見える化を図っています。また販売計画と生産・調達・在庫計画の連携強化などにより、業務の生産性向上を総合的に推進しています。

加えて、多品種にわたる部品を取り扱う当社の製造・物流業務においては、自動倉庫の設置や入庫ナビシステムの導入、部品検査の自動化などを推進することにより、省人化や効率化に取り組んでいます。

Safety First: 事業に関わるすべての人々の安全を第一に考えた当社スローガン

BOM: Bill Of Materials。部品表。製品をつかさどる部品の一覧であり、階層構造を示すとともに、製品がどの部品で組み上がっているか、それぞれの部品の基本情報を含む

MES: Manufacturing Execution System。製造工程の把握や管理、作業者への指示や支援などをおこなうシステムのこと

デジタルツイン:「 デジタル空間上の双子」を意味し、現実の世界にある物理的な「モノ」から収集したさまざまなデータを、デジタル空間上にコピーし再現する技術のこと

製造実行システム(MES)や調達基幹システム(SCM): 業務効率化参照