第2回
コンテキストアウェアネス機能で1歩先へ
- 2016.03.01

eコマースサイトの「アマゾン」で一度、本を購入し、次にサイトを訪れると「あなたの読みたい本は、これですね」というように、新たな商品を提案してくれる。最近、このような人の行動の先回りをするサービスや機能が増えてきている。グーグルが提供するGoogle Nowというアプリや、アップルのプロアクティブ・アシスタント(Proactive Assistant)と呼ばれる機能はすべて、こういった先回りサービスの一つだ。これらは、今後どのようなインパクトを与えてくれるのか。第2回は、このような「コンテキストアウェアネス」と呼ばれる新しい機能について解説する。
スマートフォンやパソコンの利用者が今すぐ知りたい情報や、これから行うべき情報を前もって教えてくれるサービス。アマゾンの買い物ページのリコメンド機能やGoogle Now、プロアクティブ・アシスタントなどの機能は、コンテキストアウェアネス(Context Awareness)と呼ばれている。
コンテキストは英和辞典によると、「文脈」、アウェアネスとは「知ること、認識すること」、という意味だ。つまり、文脈を認識・理解すること、になる。ここで言う文脈とは、利用者の行動履歴という意味である。この人は、過去にこのような行動をとってきたから、次はこういう行動に出そうだ、とコンピュータが利用者の行動履歴を見ながら次の行動を予測することが、コンテキストアウェアネスといえる。
欲しい時に欲しい情報を提供
Google Nowは、これから行動するシーンを想定し、示してくれるコンテキストアウェアネスの代表的なアプリだ。例えば、ベッドから起き上がると、「今日はどんな洋服を着るかを決めましょう」と表示してくる。次に、興味を持っていそうなニュースを届けてくれる。そして出かける前には交通情報や迂回ルートまで示してくれるのだ。
出張などで航空券をウェブやスマホやタブレットを通じて購入すると、リアルタイムでフライト情報や、空港までの交通情報を教えてくれる。また予定を予め書きこんでいれば、その時間に近づくと、出かける前に最新の道路情報や迂回ルートを知らせてくれる。
さらに外出先では、ナビゲーションと連動して現在地を把握しておけるため、近くにある観光スポットや人気の施設の情報を知らせてくれる。いわば、先回りして情報を提供する機能がこのアプリの特徴だ。