TOKYO ELECTRON LIMITED

フィールドソリューション

フィールドソリューション事業

医療や金融、また交通や製造などのさまざまな分野で半導体の需要が高まる中、CPU やメモリデバイスの高性能化に向けた微細化や高集積化がさらに進んでいます。お客さまにおいては、これらの動向に対応すべく、装置の稼動率向上が極めて重要なテーマとなっています。
当社では、出荷した装置が市場で長期にわたり安定稼動することを目指し、フィールドサービスにおけるナレッジマネジメントの推進や、フィールドエンジニアの継続的なスキルアップ、トータルサポートセンター (TSC)*によるグローバルサポート体制の強化など、フィールドソリューション事業のさらなる強化に努めています。
また、新型コロナウイルス感染症の影響による海外への渡航制限などさまざまな規制に対応すべく、遠隔保守サポートや教育ツールの開発などを進め、お客さまのビジネスオペレーションに貢献する付加価値の高いフィールドソリューション事業の展開に努めています。

トータルサポートセンター (TSC) : 参照

継続的な装置サポートの取り組み

当社は、IoT 関連製品などの生産をおこなうお客さまのニーズにお応えするため、200mmウェーハに対応する前世代の装置をベースとした新たなリニューアルモデルの開発・生産体制を整えています。このリニューアルモデルでは、既存プロセスとの互換性を保ちつつ古いユニットや部品を新しく置き換え搬送速度などにおいて最新装置レベルの性能を実現することで、お客さまにおける生産性の向上と環境負荷の軽減に貢献しています。
また、環境負荷低減の取り組みの一環として、装置のライフサイクルを延長するサポートサービス「LEAP*」を展開しています。
数万点のパーツで構成される半導体製造装置のサポートは、通常、生産中止後7 ~ 8 年で終了します。その主たる要因は、パーツの生産中止や、安全および品質維持が困難となることです。このため、後継装置への入れ替えが推進され、古い装置は廃棄されていました。このような状況において、お客さまのニーズにお応えし、またSDGs の観点も鑑み、生産中止パーツの再設計をおこなうとともに、修理などサポート体制を強化し再構築することにより、生産中止後15 年を超える装置に対するライフサイクルの延長サポートの提供が可能となりました。こうした新たなサポートサービスにより装置の廃棄を減らし長期間にわたる継続利用への貢献に取り組んでいます。

LEAP: Lifecycle Extension and Availability Program

トータルサポートセンター

当社は、日本、米国、中国、欧州の各地域にトータルサポートセンター (TSC) を開設し、日本を中心としたグローバルネットワークによって海外現地法人をサポートしています。

TSC の各拠点では、専任の担当者がお客さまの装置に関する情報や類似したトラブルの事例をデータベースとして蓄積し、それらを活用してサポートの充実を図るとともに「TELeMetrics™」などの運用を通じて遠隔保守サービスを実施しています。2021 年度も、世界中のTSC が各地域の時差を生かして相互にサポートし合う体制を構築し、グローバルネットワークの強化を図りました。これらの取り組みにより、さらに迅速かつ的確に、世界中のお客さまからのお問い合わせやトラブルに対応しています。

ナレッジマネジメント

当社では、品質の高いテクニカルサービスを迅速にご提供できるよう、グループ全体でナレッジマネジメント*¹ を推進しています。フィールドサービスの分野では、お客さまの装置のサポートやトラブルの履歴をデータベース化し、一元管理できるService CRM*² を構築しています。日本国内からこのService CRM の運用を開始し、グローバルに展開しています。

ナレッジマネジメントツールでは、複数のシステムにおける装置履歴の一括検索が可能であり、トラブル対応時間の短縮化に寄与しています。「装置のカルテ」のツールでは装置のシリアルナンバーをもとに、過去のお客さまのトラブル修復情報やパーツの交換履歴などを、また「ナレッジの検索」のツールでは装置トラブルの内容をキーワード入力することで、データベースに保存されているファイルや文書から過去のトラブル情報を、それぞれ一括検索することが可能です。

2021 年度には、装置データベースの多言語化を進め、日本語と英語に加え、韓国語や中国語への対応をおこなうことで、グローバルに活動するフィールドエンジニアがナレッジマネジメントツールをより有効に活用することが可能となりました。今後もグループ全体のさまざまなシステムをOne Platform*³ で管理することにより、作業の効率化を推進しお客さまへの対応のさらなる向上に努めていきます。

ナレッジマネジメントツール 装置データベース シリアルナンバー検索 症状検索 海外レポート パーツ注文履歴 サービス顧客管理 知識 トラブル情報 装置のカルテ 装置履歴一括検索「装置番号(Serial Number)」軸 ナレッジの検索 装置履歴一括検索「トラブル」軸 BKM Best Known Method Troubleshooting manual

ナレッジマネジメント: 個人がもつ暗黙知を企業内で共有することで新たなイノベーションを促し、全体的な生産性を向上させるための管理手法

Service CRM: Service Customer Relationship Management

One Platform: 共通化したデータベースとシステムで情報を管理する取り組み。業務効率化参照

リモートサポートシステム

当社は、製造装置のダウンタイムを最小限に抑え、大きな欠陥が発生する前に異常な動作を検出し、装置の安定稼動を支援する遠隔保守サービスである「TELeMetricsTM」によるリモートサポートを推進しています。

また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う渡航制限や各国の規制により、現地のフィールドエンジニアに対する遠隔支援ニーズが高まっていることから、高度なリモートサポートシステムを開発しています。これによりお客さまの製造拠点からの映像や音声をリアルタイムに共有できるだけでなく、情報の秘匿性も向上させています。

2021年度は、既存のスマートグラス*の機能に、情報保護、映像送信制限、通話翻訳などの当社独自の機能を加え、リモートサポートの利便性を高めるとともに、お客さまの環境に応じてタブレット端末の選択肢を増やすなど、サポート品質のさらなる向上に努めています。

スマートグラス使用(イメージ)

当社が独自に加えた機能 情報保護 紛失や盗難の際にも情報を守るためのセキュリティ機能 映像送信制限 情報セキュリティの観点から、必要な映像のみを送信する機能 通話翻訳 音声をテキストに変換して、翻訳後に表示する機能(多言語対応)危険領域設定機能 事前に設定しておいた危険領域の近づくと警告する機能 スマートグラス使用(イメージ)

スマートグラス: メガネのように装着し、グラス越しに映像やデジタル情報を表示することができる

エンジニアのスキルアップ

当社はフィールドエンジニアのトレーニング体制の強化やグローバル化の推進を目的として、2019 年にトレーニングオペレーションセンターを設立しました。同センターは、SEMATECH(米国半導体共同開発機構) の基準を満たした当社グループ共通のスキル管理体制を構築しています。客観的に測定されたエンジニアのスキル情報をもとに、最適な人材配置をおこない、お客さまへのサービス提供に役立てています。

2020 年度は、海外現地法人におけるエンジニアのスキル向上のため、エキスパートエンジニア教育を開始しました。海外のテクニカルサポートエンジニアがテクニカルサポートのみならず、開発に関わる高度なスキルを国内製造拠点で実践的に習得できるトレーニングなどを展開しています。また、2020 年度に設置されたグローバルデータエンジニアリングチームのフィールドエンジニアを対象に、デジタルトランスフォーメーション* (DX) 専門のデータアナリストを育成するトレーニングも実施しています。

2021 年度には、DX スキルを習得したフィールドエンジニアが、業務効率化に寄与するプログラムを開発し、グローバルに展開しています。本プログラムをフィールド情報のデータベースと連携させることで、フィールド情報の更新や分析、また見える化を自動でおこなうことが可能となりました。

デジタルトランスフォーメーション: デジタルトランスフォーメーション (DX) による製品競争力の強化参照デジタルトランスフォーメーション (DX) による生産性向上参照

顧客対応力