フィールドソリューション
フィールドエンジニアの顧客対応力の強化
さらなる事業規模の拡大を見据え、フィールドエンジニアを増員し戦力としていち早く活躍できる人材の育成や、既存のフィールドエンジニアのスキル向上を効果的に図ることが極めて重要です。
当社ではSEMI (国際半導体製造装置材料協会) の基準を満たしたグループ共通のスキル管理体制を構築し、毎年細かく設定された目標に基づいて継続的なスキル向上に取り組んでいます。このように管理されたエンジニアのスキル情報を活用し、最適な人材配置をおこなうことで、お客さまに提供するサービスの品質向上に役立てています。
さらに、海外現地法人向けエキスパートエンジニア教育として、一定期間、国内製造拠点でトレーニングを受けたエンジニアを帰国後に現場に再配置するプログラムを展開しています。このプログラムでは、エンジニアが装置技術に関する知識を深めることのみならず、開発・製造部門やビジネスユニットとのコミュニケーションの強化も図っています。プログラム期間中はトレーニングを受けるとともに、所属する海外現地法人のエンジニアからの要請に応じて技術的な課題やトラブルの解決に向けた支援をおこなうことで、お客さまに質の高いサービスを提供できるよう努めています。それにより、継続してお客さまの状況を的確かつタイムリーに把握することができ、帰国後も現場リーダーとしてさらなる活躍が期待されます。
このエキスパートエンジニア教育プログラムをより受講しやすくするため、内容を細分化し、特定のスキルや知識に特化した短期プログラムを開発して運用しています。エンジニアはニーズに応じてさまざまなプログラムを受講することで、帰国後に習得したスキルと知識を各現地法人内において共有し、現地法人全体のスキルの底上げを図っています。
今後は、お客さまの課題を迅速に解決するため、現場リーダーのスキルアッププログラムのさらなる拡充を進めていきます。
装置のライフサイクルを延長するサポート
お客さまに長く装置をお使いいただくための取り組みの一環として、装置のライフサイクルを延長するサポートサービス「LEAP*」を展開しています。半導体製造装置のサポートは、パーツの生産が中止となることや、安全および品質維持が困難となることから、通常、装置の生産中止後7年~8年で終了します。このためサポートが終了した装置は廃棄され、後継装置への入れ替えがおこなわれます。このような状況において、当社では生産中止パーツの再設計をおこない、修理などのサポート体制を再構築し強化することで、生産中止後15年以上の期間にわたり装置のライフサイクルの延長を可能とするサポートを提供しています。
装置の仕様や運用に関する変更管理の制約から装置の入れ替えが難しいお客さまや、装置の継続的な活用を望まれるお客さまの支援をおこなうことで、装置の廃棄を減らし環境負荷低減の取り組みを推進するとともに、お客さまの長期間にわたる装置の運用に貢献します。
LEAP: Lifecycle Extension and Availability Program
付加価値の高いBest Technical Serviceの提供
近年では、半導体デバイスの微細化・高積層化を実現する製造プロセスに対する高度なサポート技術の提供や、さらなる生産性の向上、環境負荷の低減などがお客さまの求める要件となっています。これらのご要望にお応えする付加価値の高いBest Technical Serviceを提供するため、フィールドエンジニアの育成に加え、エンジニアの現場作業を支援するデジタル技術や情報通信技術を取り入れたシステム、および業務効率化ツールの開発・導入を推進しています。
日々の活動における装置対応などの大量な作業履歴をグローバルで一元管理するService CRMに蓄積し、ナレッジマネジメント活動として装置カルテ作成やトラブル対応の検索ツールを構築することで、現場のフィールドエンジニアによるお客さまへの迅速かつ質の高いサービスの提供に役立てています。また、フィールドエンジニアが現場で使用する作業手順書を一元管理するとともに、作業手順書の作成効率や品質、検索性の向上を図るシステムを開発しグローバルに展開を進めています。加えて、お客さまのクリーンルーム内に設置するサーバーと当社のシステムを接続して、遠隔で作業支援を可能とするリモートサポートツールを活用する
ことにより、お客さまのさまざまな課題解決に取り組んでいます。
当社では、お客さまの製造拠点にフィールドエンジニアが常駐して装置の保守をおこなうサービスや、従量課金や定額課金による保守作業、保守部品・消耗部品の提供、部品のリペアなどを総合的におこなう包括契約型サービス(TEL Service Advantage Premium)など、装置の安定稼動に向けたさまざまな契約型サービスを提供しています。さらに、トラブル解決時間の短縮やプロセス性能の安定化を図るため、装置から出力されるデータを集約して分析し、主要部品の故障タイミングの予測や事前の交換提案をおこなうことで、お客さまの装置稼動率向上への貢献に努めています。
エンジニアのスキルアップ
当社はフィールドエンジニアのトレーニング体制の強化やグローバル化の推進を目的として、2019 年にトレーニングオペレーションセンターを設立しました。同センターは、SEMATECH(米国半導体共同開発機構) の基準を満たした当社グループ共通のスキル管理体制を構築しています。客観的に測定されたエンジニアのスキル情報をもとに、最適な人材配置をおこない、お客さまへのサービス提供に役立てています。
2020 年度は、海外現地法人におけるエンジニアのスキル向上のため、エキスパートエンジニア教育を開始しました。海外のテクニカルサポートエンジニアがテクニカルサポートのみならず、開発に関わる高度なスキルを国内製造拠点で実践的に習得できるトレーニングなどを展開しています。また、2020 年度に設置されたグローバルデータエンジニアリングチームのフィールドエンジニアを対象に、デジタルトランスフォーメーション* (DX) 専門のデータアナリストを育成するトレーニングも実施しています。
2021 年度には、DX スキルを習得したフィールドエンジニアが、業務効率化に寄与するプログラムを開発し、グローバルに展開しています。本プログラムをフィールド情報のデータベースと連携させることで、フィールド情報の更新や分析、また見える化を自動でおこなうことが可能となりました。
デジタルトランスフォーメーション: デジタルトランスフォーメーション (DX) による生産性向上参照