No.015 特集:5Gで変わる私たちのくらし
Laboratolies

TM ── 実際に稲見・檜山研究室に入って、驚いたことはありますか。

芹沢 ── この研究室で特殊だと思うのは、やはりリビングスペースがあることですね。ここは、研究者が寝てしまったり、他の研究室のメンバーが来てたまり場になっていたりと、まさに生活の場となっています。稲見先生は、それを目的にして、こうしたスペースを作ったようで、とても大切な場所になっています。

またここでは、月1回セミナー兼パーティーのようなものも開催されます。普段は、同じ専攻の同年代の学生とばかり会っているのですが、その時には年齢や専攻を越えて人が集まります。企業の方々や社会に出た先輩方と交流する機会は、普通の研究室よりも多いと思います。

TM ── 稲見先生の研究や仕事から、どのようなことを学んでいますか。

芹沢 ── 先生は、様々なところを飛び回っているので、直接お仕事を見る機会は少ないのですが、散在する多様な「点」の研究をつなげて、「面」にして見せることのうまさに驚きます。研究の中で世界観を作り上げ、そしてビジョンを広げる論の作り方は、とても参考になります。

芹沢 信也さん

TM ── 個々に深められた複数の学問をつなげるのは、そんなに簡単なものではないですよね。

芹沢 ── これまで、学科の勉強を必死にこなしてきたので、稲見先生の世界観やビジョンを作る姿を見ると、今自分が持っていない能力が何であるのか自覚できます。簡単に真似できることではないと思うのですが、少しずつ学び取っていければと思っています。

TM ── 将来は、どのようなことをしたいと考えておりますか。

芹沢 ── 人の心や行動を計測して制御し、人間の行動を誘導する研究に取り組んでみたいと考えています。

TM ── 機械と人間をどう棲み分けさせるかではなく、どう融合させるのかが大切になる応用分野が多く出てきているように思えます。とても重要で、有益な研究ですね。

芹沢 ── 稲見・檜山研究室では、人馬一体をもじった「人機一体」という言葉を掲げた研究を進めています。人と機械が一体になって、新たな人類、スーパーヒューマンを新たに作っていくような取り組みがしたいですね。

稲見研究室
稲見 昌彦教授 芹沢 信也
芹沢 信也さん

Profile

芹沢 信也(せりざわ しんや)さん

東京大学大学院情報理工学研究科修士課程

1995年長野県生まれ。2013年東京大学入学。
2017年の東京大学卒業後、東京大学大学院情報理工学系研究科に入学し、現在に至る。
研究分野は身体情報学。
認知の拡張に関する研究を課題としている。

稲見・檜山研究室URL: https://star.rcast.u-tokyo.ac.jp/

Writer

伊藤 元昭(いとう もとあき)

株式会社エンライト 代表

富士通の技術者として3年間の半導体開発、日経マイクロデバイスや日経エレクトロニクス、日経BP半導体リサーチなどの記者・デスク・編集長として12年間のジャーナリスト活動、日経BP社と三菱商事の合弁シンクタンクであるテクノアソシエーツのコンサルタントとして6年間のメーカー事業支援活動、日経BP社 技術情報グループの広告部門の広告プロデューサとして4年間のマーケティング支援活動を経験。

2014年に独立して株式会社エンライトを設立した。同社では、技術の価値を、狙った相手に、的確に伝えるための方法を考え、実践する技術マーケティングに特化した支援サービスを、技術系企業を中心に提供している。

URL: http://www.enlight-inc.co.jp/

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