No.010 特集:2020年の通信・インフラ
連載03 医療・ヘルスケアの電子化
Series Report

電子化が問題を一挙に解決

病院のベッド不足に関しても、ベッド数は相変わらず減少傾向にあり、増えていない(図3)。2013年に厚生労働省が発表した「医療施設調査・病院報告の概況」によると、一般病院のベッド数は減り続けており、ベッドを持たない診療所はむしろ増える傾向にある(図4)。

病院のベッド数は減少傾向にあるの図
[図3] 病院のベッド数は減少傾向にある
出典:厚生労働省
ベッドのない診療所は増加しつつあるの図
[図4] ベッドのない診療所は増加しつつある
出典:厚生労働省

高齢化、病院不足、病院のベッド不足など、現在日本が抱えている医療・ヘルスケアの問題を一挙に解決できる手段として着目されているのが、エレクトロニクスと半導体を駆使したヘルスケア端末なのだ。健康状態を24時間測定し、記録を自動的につけられるため、異常が起きた場合に医師はすぐに指示を出すことができ、駆けつけることも可能になる。家庭にいながら、いざという時に医者に指示を出してもらえるのだから、入院する必要もない。ベッド不足にも対応できるという訳だ。

ヘルスケア端末のメリットは、それだけではない。自宅では具合が悪かったのに、病院に来るとその症状が見られない不整脈のような病気(図5)を発見でき、早期治療につながる。図5のグラフは、横軸が1日24時間の時間、縦軸が血糖値を示している。図5の左のグラフのように、もし血糖値を1日に2回しか測定せずその2回とも許容範囲内(図の青い部分)に収まっている場合、医師は問題なし、という判断をしてしまう。しかし、右のグラフのように24時間測定できれば、ある時間内では許容値を超えてしまうという異常な数字を把握することができる。例えば5分おきに24時間に渡って測定できるのなら、このような正確なデータを得ることができる。現在のデバイスや装置では、24時間自動測定は医療器具として認められていないが、もしこのデバイスが実用化できるなら、医師はこれまでにない正確なデータを知ることができ、助からなかった命を救えるようになるかもしれない。

血糖値を1日に2回しか測定せず、許容範囲内だと(左図)健康と判断するの図
[図5] 血糖値を1日に2回しか測定せず、許容範囲内だと(左図)健康と判断するが、24時間測定していると、許容範囲から外れた時間がわかり対策を打てる
出典:Toumaz

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