LAST ISSUE 001[創刊号] エネルギーはここから変わる。”スマートシティ”
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スマートコミュニティ普及に向けた国や自治体の支援

これまで、全国各地でスマートコミュニティのプロジェクトは進められていたが、その多くは小規模な実証実験にとどまっていた。震災後、東北の各都市では、震災からの復興計画の策定にあたって、新たな街づくりに向けたスマートコミュニティのコンセプトが相次いで盛り込まれている。スマートコミュニティの実現に向けて具体的な取り組みも始まっている。
一般社団法人新エネルギー導入促進協議会は2011年10月14日、地方公共団体等におけるスマートコミュニティ構築にかかる事業化可能性調査を支援する「平成23年度スマートコミュニティ構想普及支援事業」の採択結果を発表した。東北の東日本大震災からの復興を見据えた案件では、岩手県下三件、宮城県下一件及び福島県下二件の提案を採択している。

岩手県 久慈市他 久慈市、洋野町及び野田村における災害早期復旧を視野に入れた広域行政への再生可能エネルギーの効率利用に関する調査
大槌町 大規模発電と家・集落単位での小規模発電を組み合わせたスマートエネルギータウン計画調査
釜石市 震災復興まちづくりにおけるスマートコミュニティ導入及び再生可能エネルギーの効率的利用に関する調査
宮城県 気仙沼市 被災住宅地の高台移転を契機としたスマートコミュニティ可能性調査
福島県 南相馬市 大規模再生可能エネルギー導入と中心市街地のスマートコミュニティ化を目指すマスタープラン構築
福島県浜通り 福島県浜通りにおける工業団地及び地域の再生可能エネルギーを活用し住宅被災地の再生を目指す先導的復興モデル地区の構想策定
[図表2] スマートコミュニティ構想普及支援事業(震災復興関連)
(出所:東北経済産業局 2011.10.18 報道発表資料より 筆者加工)

スマートコミュニティ構想普及支援事業では、開発の可能性調査や構想策定など、スマートコミュニティ構築に向けた計画の策定を支援のみならず、具体的なマスタープランの策定と具体的な事業化に向けて検討が進んでいる。

経済産業省では2012年2月に、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の三県でスマートコミュニティを導入する際の補助事業となる「スマートコミュニティ・マスタープラン策定事業」の公募を始めた。スマートコミュニティを事業化するための「マスタープラン」を民間から公募の上、3月に事業を採択し、9月に事業の採算性を重視したプランの提出となる。
「マスタープラン」の策定にあたっては、以下の四つの計画を盛り込む必要がある。

  • (1)スマートコミュニティー計画
  • (2)エネルギー管理システム計画
  • (3)地域経済振興計画
  • (4)事業展開計画

2012年10月からは「スマートコミュニティ構築事業」として、認定されたマスタープランに基づいて設備導入や運営などの事業の公募を開始する。2012年内に事業を採択し、採択された事業に対して3分の2を補助する。政府は、2011年度三次補正で関連予算として80億6,000万円を計上しており、政府が定めた被災地の「集中復興期間」である2015年末までに十カ所程度でスマートコミュニティの事業化を目指している。

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