No.002 人と技術はどうつながるのか?
Topics
ライフスタイル

人間の行動を把握して、適切な広告を配信するテクノロジー

ユーザーインターフェースというと、私たちは自分がデバイスをコントロールするとイメージする。しかし、デバイスによって私たち自身の行動もまた影響を受けることを忘れてはならない。デバイスは、私たちの情報を事細かく収集し、それを元に興味を持ちそうな広告を配信する。

これは何も未来の話ではなく、今現実に行われていることだ。

最近では、ほとんどのウェブサイトで「クッキー」という仕組みが使われるようになっている。これはウェブサイトにアクセスした際の情報を、ウェブブラウザ側に保存する仕組みのこと。広告業者は、クッキーに記録されている履歴を追跡することで、ユーザーの行動や嗜好をある程度把握することができる。そして、閲覧しているサイトの傾向などに応じた広告、いわゆる行動ターゲティング広告を表示する。

Facebookを始めとするソーシャルメディアでは、外部サイトでの行動(「いいね」ボタンを押すなど)に加えて、知人との人間関係(ソーシャルグラフ)も広告に利用される。テレビ広告と違って、ネット広告は効果分析も緻密だ。どういうターゲットがどの広告を見て、最終的にどの商品を購入するか。検索連動広告、バナー広告、ウェブ上での行動履歴、ソーシャルグラフ、登録された会員情報を元に適切な施策が導き出され、より効果的な広告展開が行われる。

表示されるクリエイティブ(広告などの制作物)も、年々進化している。例えば、アドビシステムズのクリエイティブ配信システムScene7では、ターゲットに応じて動的にクリエイティブを生成する。あらかじめ用意された背景と商品写真、キャッチコピーを組み合わせて、一番効果的と思われるバナーを作るのだ。また、Impossible Software(参考:http://impossiblesoftware.com/)は、ある動画の中に任意の写真や動画を合成する技術を開発。これを利用した広告ビジネスを展開している。これまではターゲットごとに別々の動画を用意するのはコスト的に不可能だったわけだが、技術によってその壁は越えられつつあるのだ。

[図表1] Impossible Softwareの技術では、ある動画の中に任意の動画や写真をリアルタイムに合成して表示する。例えば、ニュース番組やドラマの中に任意の商品CMを流すこともできる。ターゲットに応じた、インパクトのある広告表現が可能になるだろう。

Copyright©2011- Tokyo Electron Limited, All Rights Reserved.