ヒューマンインターフェースの歴史
「よくわからない」から、身体で感じるコンピューターへ
- 2012.08.10
人間とコンピューターとが触れ合う場、それがヒューマンインターフェースである。マウスを使うとか、ディスプレイに触れるとかの行為だけにとどまるのではなく、これらの行為を通じて人間がより賢く、豊かになっていくひとつの環境なのだ。それゆえにヒューマンインターフェースは、これからの人間のあり方を決める大きな要素とも言える。このテキストでは人間とコンピューターとの関係を決定してきた「ヒューマンインターフェースの歴史」を概観する。
「ヒューマンインターフェース」の進化を促した3つの流れ
1946年に世界で最初のコンピューターとも言われるENIACが公開された。ENIACはミサイルの弾道などを計算するために用いられ、大きさは167㎡とひとつの住宅が収まるくらいあり、重さは30トンもあった。多くのケーブルがあちらこちらを結び、数字が書かれたパネルがところどころ光っているが、どこをどう操作すればいいのか一見したところよくわからない。今、私たちがパソコン、スマホ、タブレット、そしてビデオゲームなどと呼んでいる「コンピューター」とENIACを比較すると、誰もがそこにある大きな変化に気づくはずである。この変化のなかに、コンピューターを現在のかたちにしていく「ヒューマンインターフェース」の3つの流れを見て取ることができる。それは、コンピューターを直感的に分かるように操作したい、いつでもどこでも使えるようにしたい、そして、コンピューターで五感を使った感覚的な臨場感を体感したいという人間の欲求から生まれている。これから、これら3つの流れを見ていきたい。