No.002 人と技術はどうつながるのか?
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ヘッドマウントディスプレイは来るのか?

視界に広がる風景から様々な情報を取得できるヘッドマウントディスプレイ。
その課題と展望とは?

  • 2012.08.10
  • 文/石井 英男

ヘッドマウントディスプレイは、頭に装着するディスプレイ装置であり、映像への没入感が高いことが特徴だ。誕生したのは、今から40年以上も前。1990年代後半にはコンシューマー向け製品も登場しているが、その後、広く普及したとは言いがたい。しかし、最近、Googleがその進化形ともいえるGoogle Glassを発表し、再び注目が集まっている。今度こそ、ヘッドマウントディスプレイが普及するのか?課題と今後の展望を探っていきたい。

VRとともに誕生したヘッドマウントディスプレイ

ヘッドマウントディスプレイとは、頭に装着して利用するゴーグル型や眼鏡型のディスプレイ装置。眼の前に映像が表示されるので、一般的なディスプレイに比べて映像への没入感が高いことが特徴である。VR(バーチャルリアリティ:仮想現実)の先駆者であるアイヴァン・サザランドによって1968年に開発された。サザランドは、VRシステムを実現するために開発したのだが、当時のヘッドマウントディスプレイはとても重かったため、天井からつるして支えなければならず、装着したまま動き回れるようなものではなかった。

その後、技術の進歩によって、小型化と高性能化が進み、1990年代前半には産業用ヘッドマウントディスプレイが数社から発売されるようになり、主に工場のラインや修理部門、物流部門などでの作業支援に使われている。その後、1990年代後半には、ソニーやオリンパスなどからコンシューマー向けヘッドマウントディスプレイが登場し、話題を集めた。

ヘッドマウントディスプレイの分類

一口にヘッドマウントディスプレイといっても、数多くの製品が登場しているが、ディスプレイが両眼か単眼によって大別でき、それぞれ映像の背景や周囲に景色が透けて見える(シースルー)か、透けて見えない(非シースルー)かによって、合計4タイプに分類できる。両眼ヘッドマウントディスプレイは、コンシューマー製品が多く、両眼で非シースルータイプの製品としては、オリンパスの「Eye-Trek」シリーズなどがある。このタイプの製品は、周りの景色が見えず、映像に没頭できるため、映画の視聴やゲームプレイといったAV用途に向いている。また、両眼でシースルーの製品としては、VUZIXの「Wrap」シリーズやエプソンの「MOVERIO」などがあり、こちらもAV用途に向いている。それに対し、単眼ヘッドマウントディスプレイは、視界の遮りが少ないため、じっくり視聴するのではなく、作業しながらの「ながら見」に適しており、主に業務向けの製品である。単眼で非シースルーの製品としては、島津製作所の「DATAGLASS 3/A」などがあり、単眼でシースルーの製品としては、ブラザーの「AiRScouter」などがある。

[写真] VUZIXの両眼ヘッドマウントディスプレイ「Wrap1200」。サングラスに似た外観で、違和感が少ない
[写真] ブラザーの単眼ヘッドマウントディスプレイ「AirScouter」。シースルータイプで、業務用に適している

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