3Dインターフェースの現在
実世界が操作可能になる3Dインターフェイスの普及が日常生活を変える
- 2012.07.09
コンピューターのユーザーインターフェースは、パンチカードやテレタイプに始まり、キーボードとディスプレイを用いるCUI(キャラクター・ユーザー・インターフェース)環境へ、そしてキーボードとディスプレイに加えて、マウスやタッチパネルを利用するGUI(グラフィック・ユーザー・インターフェース)環境へと進化してきた。この進化は、抽象的なものから、より具体的、身体的なものへの進化ともいえる。そしてその先にあるのが、現実世界との関わりがそのままインターフェースとなる実世界指向インターフェースだ。その流れの中でも、大きな革新となるのが、インターフェースの3D化だ。そこで、3Dインターフェースの現在を、入力デバイス、出力デバイスの両面から探る。
今後、インターフェースは実世界指向へと進化する
商用コンピューターが誕生してから約60年、コンピューターと人間の仲介を果たすユーザーインターフェースは長足の進歩を遂げてきた。まずは、その進化を振り返ってみよう。
1950〜1960年代は、バッチインターフェースの時代だ。これは、コンピューターに対して紙テープやパンチカードを使って処理の詳細(バッチジョブ)を入力し、テレタイプなどで出力結果を得るというものだ。バッチインターフェースは、リアルタイムで反応が返ってくる対話式インターフェースではなく、処理が始まると、全ての処理が完了するまで結果は得られない。1960年代に入ると、ユーザーがキーボードからコマンドを入力し、その結果がディスプレイ上に文字として表示される対話式のキャラクタユーザーインターフェース(CUI)が登場した。1980年代に入ると、キーボードに加えて、マウスやタッチパネルなどを用い、ディスプレイ上に表示されるグラフィカルなオブジェクトを操作するグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)が登場。GUI環境の代表が、WindowsやMac OSなどのウィンドウベースのOSである。GUI環境では、現実世界のオブジェクトを模したグラフィカルなアイコンが使われており、コマンドベースのCUIに比べてより直感的な操作が可能である。
このようにユーザーインターフェースは、抽象的なものから、より具体的かつ身体的なものへと進化してきた。そしてその先にあるのが、実世界指向インターフェースだ。実世界指向インターフェースとは、コンピューターが扱うバーチャルなデータと現実世界の物体の間のギャップを最小にすることで、コンピューターの存在を意識せずに利用できる、インターフェースの総称である。つまり、現実世界との関わりがそのままインターフェースになる環境であり、ジェスチャー操作や音声認識もその一つだ。より人間の五感に即したインターフェースであり、これまで使われていた視覚や聴覚に加えて、触覚や味覚、嗅覚なども利用されることになる。