No.003 最先端テクノロジーがもたらす健康の未来 ”メディカル・ヘルスケア”
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健康測定機器のヘルスケアサービス化

「タニタ食堂」などで話題になった、体重計や血圧計などの計測器メーカーであるタニタも、デジタルのヘルスケアデバイス展開に積極的なメーカーの1つ。

FB-723-PSは、デジタルの歩数計。歩数をデジタルで計測・保存し、そのデータを赤外線による通信で、リレーデバイスであるKY-001と接続し、インターネットに測定データを転送できる。体重のほか、体脂肪率、筋肉量や基礎代謝などを調べることができる体組成計BC-501も、リレーデバイスを通してインターネットに接続され、独自のWebサービス「からだカルテ」にそのデータを記録することが可能だ。

左上:デジタル歩数計 TANITA FB-723 、左下:リレーデバイス TANITA KY-001、右:デジタル体組成計 TANITA BC-501の写真
[写真] 左上:デジタル歩数計 TANITA FB-723 、左下:リレーデバイス TANITA KY-001、右:デジタル体組成計 TANITA BC-501
タニタ社のヘルスケアデバイスとサービスの概要図の写真
[写真] タニタ社のヘルスケアデバイスとサービスの概要図

このように、これまでアナログ式で展開されてきたヘルスケア製品は、軒並みデジタル化してきている。では、アナログ式のデバイスとの違いはどこにあるのだろうか。

1つはメモリー機能。体重や血圧などのデータ推移を自動的に記録し、グラフなどを通して健康変化を把握しやすくなっている。単なる数値だけのアウトプットではなく、よりわかりやすく自分の状態を把握でき、予防や持続のモチベーションをアップする。もう1点は、ネットワーク化。インターネット等に接続されたデバイスからのデータは、本人以外の家族や医者などが、数値とその変化を把握することを可能にし、異常があればそれをいち早く察知できる。プライバシーの問題はあるとしても、データを専門家や家族と共有できることで、これも予防に貢献するだろう。

こうした健康管理機器のデジタル化、ネットワーク化が、家庭の中で進行している。

タニタが2010年に発表*1した睡眠計スリープスキャンは、睡眠のセンシングを行なうデバイスだ。

スリープセンサー TANITA SP502の写真
[写真] スリープセンサー TANITA SP502

圧力センサーを内蔵したマットで、睡眠中の状態を計測。無線LANでクラウド上のサーバーに情報を送信して、蓄積したデータを基に開発されたソフトウェアで送信された情報を解析し、眠りの状態を点数化するという。介護施設入居者の管理や、運転手の睡眠状況、ホテル業界などでの活用を見込んでいるという。

また、トイレのデジタル化は、2005年に既に実用化がはじまっている。住宅メーカーの大和ハウスとトイレ製造メーカーのTOTOが協力して"インテリジェンストイレ"という商品が実現(現在は販売終了*2)。体温・尿糖値・血圧・体重などの健康データを、トイレに座って用を足すときにすべてチェックしてしまうという仕組みになっている。健康データのチェックと管理は、もちろん毎日行なう方が、より精密なデータが得られ、健康増進に役立つ。しかし人によっては生活習慣の中に組み込んでいくのが難しい人もいる。そうした人でも、トイレで用を足すというふだんの生活の中で計測データを蓄積できることは、大きなメリットだ。

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