No.003 最先端テクノロジーがもたらす健康の未来 ”メディカル・ヘルスケア”
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家自体が健康デバイスに

この延長に、家自体を健康管理機器として考えてみたらどうなるか、という方向性が見えてくる。住宅メーカーの旭化成は、介護や病人看護を想定した家の実証施設を作っている。ベッドの圧力の変化を感知するシートや、呼吸と心音のデータを継続的に取得するデジタル聴診器などを、家庭にセットすることを想定した家だ。

呼吸と心音のデータを継続的に取得するデジタル聴診器などのデバイスが組み込まれたインテリア。の写真
[写真] 呼吸と心音のデータを継続的に取得するデジタル聴診器などのデバイスが組み込まれたインテリア。

家庭で人工透析を行なうことを想定した部屋のレイアウトなども検討されており、医療・ヘルスケアからのニーズが、これからの住宅デザインにも影響を与えていくことが予想できる。高齢者の増加は人口動態を見ても必然であるが、すべての高齢者を、病院や施設でケアすることには限界がある。医療費と社会保障費抑制を実現するために、家庭がその機能を担うこともまた必然であろうと思われる。

スマートフォンデバイスとヘルスケア

ヘルスケアのデバイスが家というスケールにまで拡張していくのと同時に、より小さく、よりパーソナルな方向性も進んでいる。その動きを牽引しているのは、間違いなくスマートフォンやタブレットなどのデバイスである。今やスマートフォンは、もっとも身近なコンピューターであり、しかもWeb端末でもある。Webを通してデータの保存や解析を行なうことができ、またコネクタを介して新しいハードウェアを接続することも可能である。つまり血圧測定や健診をスマートフォン単体または追加ハードで実現できるのだ。計測データはアプリまたはWebに保存され、分析し、異常や問題があれば注意を喚起したり、アドバイスを出すこともできる。より親切で、医者や看護師に近いサービスを提供しているのだ。スマートフォンが今後のヘルスケアにとって大きな意味を持つのは、所有者とほとんど何時も一緒にいる、という他のデバイスにはなかなかない属性ゆえであろう。

たとえば先に紹介したタニタは、体重や体脂肪率など9項目を測定する体組成計「インタースキャンBC-505」で、データを、Bluetooth経由でスマートフォン(Android)に転送する機能を実現している。転送したデータは、無料のandoridアプリ"a-tanita"に保存され、推移グラフやコメントが追加できる。スマートフォンを通して日常的に自らの身体データを確認することで、ヘルスケアデータをより身近に、より理解しやすくユーザーに見せることが可能になるのだ。

A-TANITA アプリ画面の写真
[写真] A-TANITA アプリ画面

また、EUのPhilips社は、iPad用のヘルスケアアプリ、"The Vital Signs Camera app"を公開している。これは、iPad2の高精度のカメラを利用し、ユーザーの顔を写した画像を解析し、皮膚の色の微妙な変化を測定して脈拍を、肩の動きをもとにして呼吸でチェックするというもの。iPadのカメラからのデータからここまでの身体情報を取得できるのは驚きである。(ただし医療目的での利用は推奨せず、あくまでエンターテインメント用だ、としている)。

PHILIPS社のVITAL-SIGNS APP
[写真] PHILIPS社のVITAL-SIGNS APP

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