マテリアリティの特定

東京エレクトロンでは、社会環境や事業環境の整理、リスクと機会の検討、またステークホルダーとの積極的な対話などをおこなうことにより、中長期的な企業価値の向上において、重要かつ優先的に取り組むべきマテリアリティを特定しています。

課題の認識

社会における課題

現在、社会は世界的な新型コロナウイルス感染症拡大によるさまざまな影響を受けており、また異常気象・自然災害、人権問題、国家間紛争、サイバーアタックなどの課題に直面しています。特に気候変動への対応や人権における不平等の是正はグローバル社会における喫緊の課題であり、国際機関や各国の政府のみならず民間セクターによるさらなる取り組みがより強く求められています。

当社は、国連グローバル・コンパクトやRBAなどの国際的なイニシアティブに参加し社会の動向を把握するとともに、第三者機関からの提言などを考慮しながら、事業活動に影響をおよぼす可能性のある社会の課題についての検討をおこなっています。

事業環境

社会ではIoT・AI・5Gなどの普及とともにデータセントリックの時代を迎え、デジタルトランスフォーメーションや、情報通信技術(ICT*¹)の運用が加速される中、社会インフラとしての半導体産業の重要性がさらに高まっています。当社が事業を展開する半導体前工程製造装置(WFE*²)市場は、大容量・高速・高信頼性・低消費電力化など半導体の技術革新とともに、今後継続的に拡大することが予測されています。

また人とICTをつなぐインターフェイスであるフラットパネルディスプレイ(FPD)においても新たな進化が求められ、さらなる技術革新が進んでいます。今後、有機ELの普及に伴い高精細化、低消費電力化、薄くフレキシブルな特性を生かした大型化やデザイン性の向上など、用途のさらなる拡大が見込まれています。

また、地球環境保全への対応が喫緊の課題となっており、SDGsやパリ協定などの国際的な枠組みのもと、グローバルレベルで脱炭素に向けた取り組みが加速しています。「デジタル×グリーン」の社会への移行が進む中で、半導体とFPDの果たす役割は、今後さらに増大していきます。

これらに加え、企業の中長期的な成長を根底で支えるコーポレートガバナンスの重要性が高まり、併せて安全や品質への取り組み、そしてコンプライアンス、リスクマネジメントなどのさらなる強化が求められています。

*1 ICT: Information and Communication Technology
*2 WFE: Wafer Fab Equipment。半導体製造工程には、ウェーハ状態で回路形成・検査をする前工程と、そのウェーハをチップごとに切断し、組み立て・検査をする後工程がある。半導体前工程製造装置は、この前工程で使用される製造装置のこと。また半導体前工程製造装置は、ウェーハレベルパッケージング用の装置を含む

リスクと機会

当社ではSDGsをはじめとする社会課題や社会環境・事業環境を鑑み、サステナブルな事業展開に関連深いリスクと機会を検討しました。

社会テーマ

想定される主なリスク

想定される機会

環境

・法規制や業界行動規範また社内方針などに
 対応できない場合、製品競争力および社会的
 信用の低下や対応費用による事業コストの
 増加

・環境マネジメントの推進や当社製造装置の
 環境性能向上と事業機会の創出、半導体の
 低消費電力化に寄与する技術などの提供

人権

・法規制や業界行動規範また社内方針などに
 対応できない場合、社会的信用および従業員
 エンゲージメントの低下

・従業員の多様性を尊重し、個々の能力が
 最大限発揮できる職場環境の創出や従業員の
 定着率のさらなる向上、健康経営の推進

サプライチェーン
マネジメント

・自然災害の発生やお取引先さまとの取引継続
 が困難になった場合、納期遅延や契約不履行
 などによる事業継続性の損失
・環境や人権などのサステナビリティに関する

 課題の深刻化によるオペレーションの停滞

・持続可能な生産体制の確立や事業

 オペレーションのさらなる効率化、事業

 継続計画の拡充による事業継続性の向上、

 サプライチェーンにおける競争力の強化、
 お客さまやお取引先さまとの信頼関係の構築

ガバナンス

・経営の監視・監督機能の低下した場合、経営
 リスクの増加や事業活動の停滞

・中長期的な企業価値の向上やステーク
 ホルダーからの信頼の獲得、社会的信用の
 増加

コンプアライアンス

・倫理・コンプライアンス違反が生じた場合、
 社会的信用の損失と経済的損失

・法令や規則、業界行動規範、企業倫理などの
 遵守による健全な企業活動の運営

テクノロジーの
進化

・最先端テクノロジーの開発が遅延した場合、
 事業機会の損失

・革新的なイノベーションの創出や競争優位性
 の強化、産業や社会の課題解決や成長に貢献

情報セキュリティ

・機密情報などが流出した場合、社会的信用の
 低下や損害賠償の発生
・サイバー攻撃や自然災害などが生じた場合、

 業務の停滞

・情報セキュリティの強化による盤石な情報
 インフラの構築、情報リテラシーの向上

ステークホルダーエンゲージメント

ステークホルダーの皆さまとの対話やエンゲージメント機会を通じて得られたご意見やご要望を整理しました。

ステークホルダー主なエンゲージメント機会主なご意見やご要望
株主・投資家さま・決算説明会/中期経営計画説明会/
 非財務説明会(IR Day)
・IRカンファレンス/IRロードショー*¹/
 個別IR 取材
・株主総会

・中長期的な成長シナリオとその施策
・ガバナンスへのさらなる取り組み
・株主還元を含む資本政策

お客さま

・技術交流会

・顧客満足度調査

・共同開発

・多様なアプリケーションニーズの把握と
 それを実現するソリューションの提案
・装置の性能と生産性の最大化
・総合的かつ最適な解決策
お取引先さま

・生産動向説明会

・TELパートナーズデイ

・STQA*²監査

・生産や技術の動向に関するより質の高い情報
 のタイムリーな共有
・期待される品質基準への対応による自社の
 オペレーションの改善

従業員・社員集会
・グローバル・エンゲージメント ・サーベイ
・自己申告制度(日本)
・経営方針のさらなる共有
・従業員の中長期的なキャリア形成機会
・多様な人材が活躍する職場環境
地域社会

・地域社会貢献活動
・事業所見学会

・環境報告会

・地域と企業の共生
・環境保全の推進
・人材育成とイノベーション

行政機関・各種団体

・業界団体活動
・各種イニシアティブとの連携

・イノベーションによる新たな価値創造
・気候変動や人権などに向けた取り組み
・より健全なサプライチェーンの構築

*1 IRロードショー: 株主・投資家さまを直接訪問するIR活動
*2 STQA: Supplier Total Quality Assessment

マテリアリティの特定

社会における課題や事業環境の把握、リスクと機会の検討、ステークホルダーの皆さまからのご意見やご要望の整理をおこない、サステナブルな社会の構築や当社の中長期的な企業価値向上の観点からマテリアリティの見直しを実施しました。

その結果、中期経営計画の強化項目でもある「製品競争力」「顧客対応力」「生産性向上」については変更せず、また2020年度まで定義していた「人と職場」については、その意義と活動内容から「経営基盤」に統合することとしました。

マテリアリティについては、取締役会長や代表取締役社長・CEOおよびCSRに関係する取締役が参加するCSR定例会議にて決定しています。

各マテリアリティにおける年度目標

各マテリアリティにおいてその重点テーマに鑑み、2020年度の目標に対する実績の確認をおこない、また2021年度の年度目標を設定しました。各目標の設定においては、その達成について責任をもつ担当取締役を明確にし、当社の企業価値のさらなる向上やSDGs達成への貢献に向けてさまざまな活動に取り組んでいます。

CSR目標と実績

2020年度

マテリアリティ

重点テーマ

年度目標

実績

製品競争力技術革新への挑戦

・全機種における次世代向け新製品数
 の割合(3カ年累計)20%以上

・23.6%

・グローバル特許出願率、
 前年水準を維持(±10ポイント)

・前年水準維持を達成
(2019年度79.8%、2020年度74.3%)

製品の環境貢献

・ウェーハ当たりのCO₂排出量20%削減( 2024 年度まで、2013年度比)

・2020年度は2013年度比16%削減

顧客対応力顧客価値創造

・お客さまにおけるTELの価値向上

・スマートフォン・サーバー需要の牽引
 により、前年度より受注・売上ともに
 大幅に増加

・FS事業の売上高、前年度比5%以上増加

・前年度比19.6%増加
顧客満足度の向上

・顧客満足度調査において「大変満足」
 または「満足」回答を選択した割合
 100%

・96.7%(30設問中29設問で達成)

生産性向上業務効率化・中長期目標である業務効率の10%向上
 を目指し、統合基幹システム導入に
 よりデータの一元管理を実現し、
 従業員にとってより付加価値の高い
 業務を創出する基盤を構築
 ①2020年度はCRM*¹とPLM*²の展開
  推進
 ②ERP*³の導入を準備

・複数の海外現地法人へのCRM展開
・複数の国内製造拠点へのPLM展開
・ERP導入準備ほぼ完了

品質マネジメント

・重要不適合案件の他装置への波及性
 確認および再発防止策徹底

・新QA-BOX運用規程の改訂実施済
・全BU品質部門長との定例会開始済
・QA-BOX投稿済事案の進捗管理実施済

お客さまの生産性
・歩留まり向上

・品質におけるShift Left*⁴
 (フロントローディング)活動の推進
 ①上流工程における技術者の付加価値
  業務の工数拡大
 ②品質保証活動のさらなる強化を目的
  とした中長期活動計画の実行

①各社個別/ 共通活動計画完了
 各社、計画通りに個別活動遂行中
 共通活動: あるべき姿基盤とした活動
 方針立案、活動計画立案、
 各品証部門長と合意
②中長期案策定
 計画立案/ 活動開始済

人と職場ダイバーシティ&インクルージョン・女性の管理職および高度専門職
 (管理職と同等レベルの職責を
 担う者)を2021年度には2018
 年度2.0%*⁵から倍増する
・2.5%
(参考)
 女性管理職比率: 2.2%(日本)
 5.2%(グローバル)
キャリア形成

・職場の学ぶ文化・育成する風土の醸成
 ①リーダー育成
 ②パーソナライズされたグローバルな
  学習機会の提供
 ③会社人生を通じたキャリア開発の
  サポート

① リーダー研修 受講者数増 

  前年比104%(日本)
② 外部ウェブ教育 受講講座数増 
  前年比158%(日本)
③ シニア向けキャリア研修 受講者数増 

  前年比149%(日本)

ワーク・ライフ・バランス・年次有給休暇取得率 70%以上・62.5%(日本)
健康と安全

・健康年齢*⁶と実年齢の差を1.5
 ポイント減

 (2020年度まで、2017年度比)

・0.21 ポイント後退(日本)

・労働時間20万時間当たりの人身事故

 発生率(TCIR) 0.5未満

・0.27を達成

経営基盤

ガバナンス

・取締役会実効性評価の結果、認識
 される課題に対する継続的な改善

・取締役会の実効性向上に向け、
 取締役会規程を改訂、業務執行
 会議を新設
・グループガバナンス強化の観点から、
 関係会社管理規程を改訂。同規程に
 基づく運用状況を各部に確認
・株主総会議案やESG 関連を意識した
 機関投資家とのSR*⁷活動を展開
・オフサイトミーティングで中長期的な
 戦略に関する議論を実施

リスクマネジメント

・グループ全体を通じた統合的リスク
 マネジメント態勢の推進
 ①CSA(Control Self Assessment)
  導入
 ②リスクマネジメント委員会の設置・
  運営

①海外・国内グループ会社へチェック
 リストによるアセスメントを実行し、
 リスク抽出およびその対策検討の実施
②リスクマネジメント委員会設置・開催
 (2021年3月)

コンプライアンス

・内部通報窓口の従業員における認知度
 100%
・倫理基準改訂および年次基礎研修・
 誓約の実施率100%
・コンプライアンス意識調査の実施

・部通報窓口の認知度68%
・倫理基準教育・誓約の実施率98.8%
・意識調査
 (2021年度にトライアル実施予定)

環境マネジメント

・各事業所におけるエネルギー使用量

 (原単位*⁸ 前年度比1%削減

・11事業所中、1事業所で目標達成

各事業所で設定した原単位*⁹の日本は
 2011年度、海外は個別の基準年度水準
 を維持

・13目標中、10目標で目標達成
サプライチェーンマネジメント

・サプライチェーンCSRアセスメントを
 実施したサプライヤーの比率
 資材系: 調達額の80%以上
 物流系: 通関関連業者100%
 人材系: 派遣会社および請負会社
 (構内請負)100%

・サプライチェーンBCP*10アセスメント
 を実施したサプライヤーの比率
 資材系: 調達額の80%以上

・サプライチェーンCSRアセスメントを
 実施したサプライヤーの比率
 資材系: 調達額の80%以上を達成
 物流系: 通関関連業者100%を達成
 人材系: 派遣会社および請負会社
 (構内請負)100%を達成
・サプライチェーンBCPアセスメントを
 実施したサプライヤーの比率
 資材系: 調達額の80%以上を達成

*1 CRM: Customer Relationship Management

*2 PLM: Product Lifecycle Management

*3 ERP: Enterprise Resource Planning
*4 Shift Left: サステナビリティレポートP.17 とP.31 参照  

*5 2018年度 2.0%は高度専門職を含む
*6 健診結果に基づいて生活習慣病リスクを年齢で表現した指標

*7 SR: Shareholder Relations

*8 原単位: 各地区で開発評価機台数、生産台数、床面積、工数の複合重みづけにて算出
*9 原単位: 各地区で床面積、人数などをもとに算出  

*10 BCP(Business Continuity Plan): 事業継続計画 

2021年度


マテリアリティ

重点テーマ

年度目標

中期目標

SDGsへの
取り組み
製品競争力技術革新への挑戦

・全機種における次世代向け新製品数の
 割合(3カ年累計)20%以上
・グローバル特許出願率、前年水準を
 維持(±10ポイント)

強いnext-generation
productsの創出







顧客対応力顧客価値創造

・お客さまにおける当社の価値向上
・FS事業の売上高、前年度比5%以上
 増加

唯一無二の戦略的
パートナーになる








顧客満足度の向上

・顧客満足度調査において「大変満足」

 または「満足」回答を選択した割合*¹ 

 100%

生産性向上業務効率化

・中長期目標である業務効率の10%向上
 を目指し、統合基幹システム導入に
 よりデータの一元管理を実現し、
 従業員にとってより付加価値の高い
 業務を創出する基盤を構築
 ①本社へのERP 導入
 ②国内製造拠点および海外現地法人
  へのERPの導入準備

経営効率向上の
継続的な追求










品質マネジメント

・共通重要事案の波及性確認と類似
 不具合再発防止策の徹底
・情報環境を強化する施策による
 効果検証

お客さまの生産性
・歩留まり向上

・品質におけるShift Left
 (フロントローディング)活動の推進
・開発初期段階からのリスク抽出と
 対策の徹底(未然防止の徹底)

ダイバーシティ&インクルージョン

・サクセッションプランニングにおい
 て、ダイバーシティを意識した
 タレントパイプライン(人材育成
 計画)形成をおこない、管理職に
 おける女性比率の向上に取り組む
・各地域における一般的な女性比率*²と
 同等以上の女性を採用するための
 取り組みを実施
・テクノロジーの活用とグローバル共通
 の人事制度により、日本以外からでも
 本社機能の役割を担える仕組みを整備

事業活動を根底で
支える強固な経営
基盤
の構築

















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キャリア形成

・職場の学ぶ文化・育成する風土の醸成
 ①リーダー育成
 ②パーソナライズされたグローバルな
  学習機会の提供
 ③会社人生を通じたキャリア開発の
  サポート

ワーク・ライフ・バランス・年次有給休暇取得率 70%以上
健康と安全

・特定保健指導の実施率60%
 (2023年度末までの健康診断結果に
 基づく数値)
・労働時間20万時間当たりの人身事故
 発生率(TCIR)0.5未満

経営基盤

ガバナンス

・取締役会実効性評価の結果、認識
 される課題に対する継続的な改善

リスクマネジメント

・グループ全体を通じた統合的リスク
 マネジメント態勢の推進
 ①CSA の継続的な展開
 ②グループ全体のリスクを一元的に
  整理し対応
 ③社内教育プログラムの開始
  2021年度: 日本展開、
  2022年度: 海外展開

コンプライアンス

・コンプライアンス文化の継続的醸成
 ①倫理基準教育・誓約の実施率100%
 ②コンプライアンスサーベイの実施
  と改善
 ③内部通報窓口の認知度100%

製品の環境貢献

・ウェーハ当たりのCO₂排出量30%削減
 (2030年度まで、2018年度比)
・製品の梱包材の木材使用量を50%削減
 (2023年度まで、半導体製造装置
  の梱包)

環境マネジメント

・事業所のCO₂総排出量70%削減
 (2030年度まで、2018年度比)
・事業所の再生可能エネルギー
 100%導入(2030年度まで)
・各事業所におけるエネルギー使用量
 (原単位)前年度比1%削減
・各事業所における水使用量(原単位)
 の日本は2011年度、海外は個別の
 基準年度水準を維持

サプライチェーンマネジメント 

・サプライチェーンCSRアセスメントを
 実施したサプライヤーの比率
 資材系: 調達額の80%以上
 物流系: 通関関連業者100%
 人材系: 派遣会社および請負会社
 (構内請負)100%
・サプライチェーンBCPアセスメントを
 実施したサプライヤーの比率
 資材系: 調達額の80%以上

*1 回答いただいたすべてのお客さまのスコア平均値を設問ごとに算出
*2 エンジニアの場合、理工学専攻の女性比率