環境
東京エレクトロングループは、Technology for Eco Lifeのスローガンのもと、最先端の技術とサービスで、環境問題の解決を目指します。あらゆる事業活動において、環境負荷低減と地球環境保全を目指し、さらに生物多様性にも配慮した環境活動により、持続可能な社会の実現に貢献します。
環境方針
環境目標と継続的改善
環境目標を設定し、製品ライフサイクルの環境パフォーマンスを向上させるため、環境マネジメントシステムを継続的に改善します。
法令等の遵守
環境関連の法令を遵守するだけでなく、環境問題を幅広く調査し、自主基準などを制定します。
製品での環境貢献
最先端技術を駆使し、環境適合型製品を開発します。顧客や取引先と連携・協力し、環境問題の未然防止と改善に努め、持続可能な社会の実現に貢献します。
事業活動での環境負荷低減
事業活動における環境負荷を定量的に把握し、その低減を含む環境活動を従業員と一体となって、積極的かつ継続的に行い、汚染の予防と環境保護に努めます。
社会との連携・協力
ステークホルダーとの共通理解のもと、連携・協力を推進し、その期待に適切に対応していきます。
環境マネジメント体制
気候変動など環境問題の重要性が高まる中、お客さまをはじめとするステークホルダーの環境・ESGへの要望などに応え、中長期的に活動を推進するため、EHSの担当取締役を含む製造会社社長会において、環境課題への対応に関する進捗をモニタリング・監督しています。また、EHSの担当取締役を責任者とするEHS推進室を本社に設置し、環境活動をグループ全体で推進しています。そして、グループ会社の役員が任命したメンバーが参加する環境会議において、環境課題への対応に関する目標の設定、進捗のモニタリング、達成に向けた働きかけをおこなっています。また、継続的に環境活動を推進していくために、1997年度より、製造子会社を中心にISO 14001に基づく環境マネジメントシステムを運用しています。2017年3月には、それまで国内の各事業所で取得していたISO 14001の一括認証を取得しました。この一括認証に合わせ、環境影響評価や有益な環境側面を抽出し、環境マネジメントプログラムの実施や内部監査チェックリストのフォーマットの統一をグループでおこないました。また、2020年度はグループ全体で階層別に合計約100の環境目標を設定し、改善活動を実施しました。これらの活動を通して得られた課題は、環境会議で検討、製造会社社長会へ報告し、グループ全体で環境活動を推進しています。このような環境マネジメント体制のもと、2020年度も環境関連の事故・違反、またこれらに関わる訴訟などはありませんでした。
会社名
事業所名
取得年月
東京エレクトロン
EHS推進室(府中事業所)
1998年5月
東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ
藤井事業所/穂坂事業所/東北事業所
東京エレクトロン九州
合志事業所/大津事業所
東京エレクトロン宮城
大和事業所
Tokyo Electron(Kunshan)
—
2013年3月
TEL Manufacturing and Engineering of America
Chaska Office
2013年3月
North Chelmsford Office
2018年5月
Tokyo Electron Korea
TEL Technology Center Korea, Balan Plant
2014年7月
東京エレクトロンでは、脱炭素社会の構築に向けさまざまな取り組みを進めています。
1つ目は、半導体デバイスの高性能化と低消費電力化に貢献し、半導体の技術革新を通じた“デジタル×グリーン”の両立という社会の共通価値の創造を目指した取り組みです。2つ目は、装置の稼動における省エネルギー化と事業所における取り組みです。2030年に向けた中期環境目標を設定し、達成にむけた活動を展開しています。3つ目は、持続化可能なサプライチェーン構築に向けた取り組み、E-COMPASS(Environmental Co-Creation by Material, Process and Subcomponent Solutions)です。サプライチェーン全体におけるパートナーシップとリーダーシップを強化し、地球環境保全に向け取り組んでいます。これらに加え、気候変動が事業全体におよぶリスクや機会について、TCFD*の枠組みに基づく検討をおこないさまざまな対応策を講じるとともに、継続的な情報開示を推進しています。
*TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosures
環境に関わるさまざまな課題は、私たちの生活や企業の活動に影響をおよぼします。気候変動や異常気象による地球の平均気温の上昇、暴風や災害、水不足などによる物理的リスクは、資産に対する損害やオペレーションコストの増加、サプライチェーンへの影響など事業におけるリスクを高めます。法的リスクとしては、環境関連法規制や温室効果ガス排出規制の強化、炭素税などの導入により、対応にかかるコストの上昇につながると認識しています。一方、環境に対する取り組みを進めることは、優れた環境対応製品の販売機会の増加や、オペレーションコストの削減、さらには企業価値の向上にもつながります。東京エレクトロンの参入する半導体およびFPD業界において、高い技術力で付加価値を創造することにより、低消費電力の半導体およびFPD製品の創出や、IT技術を駆使した省エネルギー化社会の構築に貢献していくことができます。
当社では、ISO 14001の要求事項に基づき、環境に関する「内部・外部における課題」について気候や大気の質、および水質と組織の関連を分析・特定するとともに、お客さまやお取引先さま、また行政機関や従業員からの環境に関連するニーズや期待を明確にして、当社の遵守義務を特定しました。これらの情報から、「取り組むべきリスクおよび機会」を、①環境マネジメント: 事業活動での環境負荷低減、②法令等の遵守、③製品競争力の強化: 製品の環境貢献、と定義しています。
「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に関する取り組みについて
当社は、気候変動が事業におよぼすリスクや機会について、TCFDの枠組みに基づく取り組みを進め、継続して情報開示を推進しています。
TCFD提言への取り組み状況
CEOによる監督のもと、EHSおよびCSRの各担当取締役が、気候変動課題への対応に関する目標の進捗のモニタリングをおこなっています。
本社にEHS推進室、CSR推進室を設置し、グループ全体で活動を推進しています。グループ会社の役員が任命したメンバーが参加する環境会議で、全社の目標設定、進捗のモニタリング、達成に向けた働きかけをおこないます。
TCFD提言の枠組みを活用して、気候変動が中長期的に事業に影響をおよぼすリスクと機会を特定しました。一部の内容に関しては、事業への定量的な影響について評価しています。今後はこの定量化をさらに進めるとともに、関連施策を検討します。
製造会社社長会において、関連する部門・会議体から提言された短期から長期的かつ全社的なリスク管理への取り組みを承認し、グループ会社の施設・部門に適用しています。
CO2 排出量のスコープ1*¹、2*² については、排出量の多い国内主要製造拠点での対策を含め、グローバルな観点から、再生可能エネルギーの導入などを推進しています。
スコープ3*³については、販売した製品の使用時のCO2 排出量が当社のバリューチェーン全体の約88%を占めており、CO2 排出量の少ない製品を提供することが重要であるとの認識のもと、さまざまな環境技術の開発に注力しています。
また、異常気象などに起因する自然災害の発生を想定した事業継続計画を策定し、当社が事業を継続的に操業できるよう、お取引先さまとともに対策を講じています。
製品の環境性能向上や事業所における環境保全への取り組みをさらに強化すべく、2020年12月に中期環境目標を改定*⁴しました。半導体製造装置やFPD製造装置の提供を通じて情報通信技術の発展を支えていくとともに、新たな環境目標の達成に向けた取り組みを通じ、「最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します」という当社の基本理念を実践していきます。
気候変動が中長期的に事業に影響をおよぼす例(リスク、機会)
シナリオ
種類
内容
気温上昇 2℃の場合
移行リスク
燃料、エネルギーへの課税に伴うエネルギーコストの上昇
当社の温室効果ガス(GHG*⁵)排出量および再生可能エネルギー使用量が2020年度と同水準であるとし、炭素税が課された場合、2025年度には11億円/年(炭素税0.6万円/t-CO2 と仮定)、2040年度には26億円/年(炭素税1.4万円/t-CO2 と仮定)の負担増と試算
お客さまからの環境取り組みへの要求・要請に対応できない場合の売上高の減少
気候変動を含む環境課題への対応に遅れが生じた場合、投資家・NGO・地域社会からの評価低下
気温上昇 4℃の場合
物理リスク
異常気象に伴う、当社、お取引先さま、お客さまへの影響(サプライチェーンの寸断、操業停止、生産・出荷の遅延などに伴う売上高の減少)
共通
機会
GHG低排出製品・サービス開発のためのイノベーション、低消費電力デバイスの製造に寄与する装置や技術など、新たな価値創出のためのドライブの加速
気候変動対応への先行的な取り組み、市場における付加価値確立を通じた優位性確保・事業機会獲得
オペレーションの効率化による生産性向上と、それに伴う環境負荷低減の達成
再生可能エネルギー導入を図るなど、レジリエンス(気候変動への対応力)をグローバルオペレーションに埋め込むことによる競争優位性の確保およびこれらの取り組みを通じた企業価値の向上
*1 スコープ1: 自社が所有または管理する燃料・ガス使用の排出源から発生する温室効果ガスの直接排出
*2 スコープ2: 自社が購入した電気、蒸気、熱の使用に伴う温室効果ガスの間接排出
*3 スコープ3: スコープ1、2を除く製品輸送、従業員の業務上の移動、アウトソーシングした主な生産工程など企業のバリューチェーンからの排出
* スコープ3 は、上流活動(購入または取得した製品・サービスに関連する排出)と下流活動(販売した製品とサービスに関連する排出)に分けられる
*4 中期環境目標の改定: P.50参照
*5 GHG: Greenhouse Gas
当社は、バリューチェーン全体から生じる環境負荷の把握に努め、その削減に配慮した事業活動を展開しています。
「Technology for Eco Life」のスローガンのもと、最先端の技術と確かなサービスで、環境問題の解決を目指しています。
当社では、スコープ1およびスコープ2のCO2 排出量合計は186千tであるのに対し、スコープ3は合計6,222tと、全体の約97%を占めています。中でも製品使用時のCO2 排出量が5,668千tと全体の約88%を占めていることから、稼動時のCO2 排出量の少ない製品の開発が重要であると考えています。
当社は、製品や事業所における環境への取り組みをさらに強化すべく、2030年度までの中期環境目標を、2020年12月に改定しました。製品に関する目標では、ウェーハ1枚当たりのCO2 排出量削減目標の基準年度を、2013年度から2018年度に変更しました。また、事業所の取り組みに関する目標では、CO2 総排出量削減目標を「20%削減」から「70%削減」とし、さらに「再生可能エネルギーの使用比率を100%」とする目標を追加しました。現在、改定後の目標の達成に向けて、新たな取り組みを進めています。具体的な活動として、2021年度から日本、米国、中国の事業所で再生可能エネルギーの導入を計画しています。これにより、全社での使用比率は50%以上となり、CO2 排出量は40%減少する見込みです。製品については、基準となる装置の使用時のCO2 排出量の把握を進め、ロードマップの作成をおこなっています。これに基づき、目標達成に向けた活動を展開していきます。
「環境マネジメントのリーディングカンパニーとして、地球環境の保全に取り組み、製品や事業所の環境負荷低減を積極的に推進するとともに、エレクトロニクス製品の低消費電力化に寄与する革新的な製造技術を提供することで、夢のある社会の発展に貢献する」という2050年までの長期目標も制定し、全社レベルでの取り組みを推進しています。
当社では、バリューチェーンにおけるCO2 排出量のうち、製品使用時のCO2 排出量が約88%を占めています。そのため、環境に配慮した製品設計を推進することが企業活動において重要と考え、製品の省エネルギー化に取り組んでいます。2020年度には、「各ビジネスユニットの代表機種において、ウェーハ1枚当たりのCO2 排出量を2030年度までに30%削減する(2018年度比)」という目標の達成に向けて、主要機種のロードマップ策定を進め、従来のエネルギーや水に加え、プロセスガスや化学物質の使用量、製品の設置面積・体積・重量なども含めたCO2 排出量算定のガイドラインの策定をおこないました。このガイドラインに基づき基準年(2018年度)の装置のCO2 排出量の試算を実施し、また環境技術戦略の検討を開始しました。当社は、環境意識のさらなる向上に努め、技術戦略における重要な付加価値として環境技術を継続的に取り入れ、さまざまな活動を推進していきます。
テストシステムCellcia™シリーズでは、冷却チラーの冷媒回路を改善し、効率化を実現したことで冷却能力が30%向上しました。その効果により冷却チラーの小型化が可能となり、装置のフットプリント*¹を削減することができました。また、ウェーハプローバのPrecio™シリーズでは、装置アイドリング中に自動で装置内のヒーターやチラーをオフにする機能を導入しました。
当社は、製品に関わる各国の環境法規制を遵守するために早期に情報を収集し、適切な対応に取り組んでいます。例えば、EU REACH規則*²への取り組みとして、成形品中の化学物質の含有を適宜調査し、情報提供をおこなっています。2020年度からは、chemSHERPA*³フォーマットを導入し、ppb*⁴濃度での含有化学物質情報を収集しています。GHS*⁵規制への取り組みとしては、化学品を販売する際には、安全データシート(SDS*⁶)を提供しています。また、化学品の現地調達を進め、法規制対応の効率化も進めています。頻繁に改正される環境法規制の説明と対応においては、全従業員を対象とする「製品環境法規制適合講座」を継続的に実施し、お取引先さまに対しては各環境法規制情報を提供しています。今後も各国環境法規制の情報を迅速に把握するとともに、適切な対応に努めていきます。
*1 フットプリント: 装置を平面上に設置した際、真上から投影した総設置面積
*2 EU REACH 規則: EU Registration, Evaluation, Authorization and restriction of CHemicals。化学物質の登録、評価、認可、制限に関する規則
*3 chemSHERPA: 製品に含有される化学物質情報をサプライチェーン全体で適正に運用するためのデータ作成支援ツールの名称
*4 ppb: parts per billion。10 億分の1
*5 GHS: Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals。化学品の分類および表示に関する世界調和システム
*6 SDS: Safety Data Sheet(安全データシート)。事業者が化学物質および化学物質を含んだ製品を他の事業者に譲渡・提供する際に交付する化学物質の危険有害性情報を記載した文書のこと
IoT時代の到来により半導体は、その需要もさることながら種類も多岐にわたっています。それに伴い半導体製造装置も多種多様な機種が求められる時代となってきました。当社は、半導体製造装置メーカーとしての強みを生かした自社中古装置の販売や納入済み装置の改造サービスを通じて、装置やパーツのリユースやリサイクルを推進しています。
中古装置の販売においては、自社独自またはリース会社との協業により、市場から中古装置を調達し、必要な検査や調整を行った上で当社認定装置として提供しています。改造サービスにおいては、お客さまがご使用中の装置に品質の維持向上や稼動率改善などを目的とした改造を施すことにより、装置の生産性向上を実現しています。このように、費用やスピード、性能面でお客さまの期待に応えていくとともに、廃棄物削減や資源の低減・有効活用にも貢献しています。また、これらの取り組みは、装置やパーツの調達、ならびに製造にかかる資源やCO2 を削減するだけでなく、生産・流通・廃棄コストの削減にも効果を上げています。
当社では、中期環境目標として、事業所の再生可能エネルギーの使用比率を2030年度までに100%とする目標を掲げています。この目標達成のため、2021年度から日本、米国、中国の拠点で再生可能エネルギーの導入を計画しており、この結果、当社全体では50%以上の使用比率となり、CO2 排出量は40%削減となる見込みです。
自社の再生可能エネルギー発電の取り組みとして、東京エレクトロン宮城(大和事業所)および東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ(藤井事業所、穂坂事業所)では、太陽光パネルで発電したエネルギーを使用し、その状況をエントランスモニターで確認できるようにしています。東京エレクトロン九州(合志事業所)では、発電したエネルギーを売却し、地球温暖化防止に貢献しています。なお、2020年度は、日本で4,068MWhの再生可能エネルギーを発電しました。また、Tokyo Electron U.S. Holdingsにおいては、外部から調達したグリーン電力を継続して使用しており、2020年度の購入量は4,980MWhでした。
当社では、中期環境目標として、事業所のCO2 総排出量を2030年度までに70%削減する(2018年度比)目標と、事業所ごとに設定した原単位をベースとして、エネルギー使用量を前年度比1%削減する目標を掲げています。この目標達成に向けて、クリーンルームの省エネルギー運転、オフィス冷暖房の適切な温度設定、省エネルギー性能に優れた機器の導入、再生可能エネルギーの導入など、さまざまな取り組みを進めています。これらの活動の結果、2020年度の売上高当たりの事業所エネルギー使用量は、前年度に比べ10%削減することができました。また、生産量の増加や製品開発評価に伴うエネルギー使用量の増加により、電力使用量は355GWh(前年度比12%増)、エネルギー起源CO2 排出量*¹は、169千t(前年度比9%増)となりました。また、国内事業所においては2018年度より、事業運営とエネルギーの相関性から原単位をより適正なものに見直し、共通化して運用しています。具体的には、各地区の開発評価機台数、生産台数、床面積、工数のデータを利用した複合重みづけにて算出する原単位としました。この結果、国内および海外の合計11事業所のうち、1事業所で目標を達成しました。
事業所における省エネルギーの見える化を目的として、国内の主要製造拠点にてシステムの導入を進めています。これまではエネルギーの状況について、手作業でデータを抽出して推移をグラフ化していましたが、今後クラウド上で一元管理することで、増減の確認を随時おこなうことができ、各拠点におけるBKM*²の展開およびその効果の確認や対策の検討・実施ができるようになります。本システムは2021年度中に導入を完了する計画です。
2020年8月に稼動を開始した東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ(藤井事業所)の新生産棟では、省エネルギーの空調機器を導入し、従来と比較して、面積当たり30%以上の省エネルギー化を見込んでいます。
東京エレクトロン九州(合志事業所)では、従来個別に制御・管理および運用していた熱源チラーを、統合して運用する方式に変更しました。これにより、今後年間約470MWhの電力と170t-CO2 の削減効果を見込んでいます。
*1 2020 年度の国内の電力使用量の排出係数は、電気事業者別の調整後の排出係数を使用し、海外の電力使用量の排出係数は国際エネルギー機関(IEA)発行のEmissions Factors 2019 editionの排出係数を使用
*2 BKM: Best Known Method。最良の手法
地球環境課題に対する取り組みにおいて水資源保全の重要性が高まる中、当社では各事業所で設定した水使用量の原単位をもとに、国内事業所においては2011年度と同水準、海外事業所においては各事業所で定めた基準年度と同等以下にすることを目標として掲げています。その達成に向けて、生産活動に使う純水の再利用、生活使用水の節水器具の設置、雨水を利用した植栽への散水、食堂における水道蛇口の間欠運用などを継続して実施しています。2020年度の水使用量は、新しい建屋の稼動開始や製品開発評価に伴う使用量の増加により、前年度比7%増の1,397千m³となりました。また、国内外の各事業所で設定した水使用量(原単位)の基準年度水準を維持という目標に対しては、13の目標のうち10目標を達成しました。なお、2020年度の排水量は1,195千m³と試算しています。
当社では、廃棄物排出量の抑制と可能な限りのリサイクルに努め、廃棄物を削減する取り組みを推進しています。廃棄物の適正管理を目的とした電子マニフェスト*¹の運用に加え、パーツ類の在庫の適正化や緩衝材の再利用などに取り組んでいます。また、廃棄物の分別活動の推進や、廃棄物置き場の改造により容積を増やし、収集頻度を削減することで、廃棄物処理のコスト削減を実現しています。2020年度には、国内の廃棄物業者の現地確認チェックリストを統一して調査をおこない、結果を共有しました。このような取り組みの結果、2020年度の国内での単純焼却や埋立処分の対象となる廃棄物排出量は14,997t、リサイクル率*²は98.8%となり、リサイクル率97%以上という当社の単年度目標を2006年度より15年連続で達成しています。海外事業所におけるリサイクル率も95%となり、高水準を維持しています。
*1 電子マニフェスト: 産業廃棄物管理票(紙マニフェスト)に代えて、情報処理センターと排出事業者、収集運搬業者、処分業者が通信ネットワークを使用して、産業廃棄物の流れを管理する仕組み
*2 リサイクル率:(再資源化量/廃棄物排出量)×100
TEL Manufacturing and Engineering of AmericaのChaska officeでは、木材のリサイクルを進め、併せて従来埋め立て処理をおこなっていた梱包材を熱や発電材料へ転換することにより、2019年度には85%であったリサイクル率が2020年度には14ポイント上昇し、99%となりました。
当社では、製品の開発、製造に使用するPRTR*法の対象となる化学物質について、取り扱い量、排出量などを継続的に把握し、管理をおこなっています。また、当該化学物質の新規使用時や使用方法変更時には、事前に環境・安全衛生上のリスクを確認し、使用後は専門業者への委託や社内処理設備の使用により、適切な処理を施しています。フロン排出抑制法への対応は、法律に基づき簡易点検や定期点検などを実施し、充填および回収量の把握に努めています。2020年度は、届け出を要するフロン類の漏洩に該当する事業所はありませんでした。
* PRTR: Pollutant Release and Transfer Register。人体や生態系に害を与えるおそれのある化学物質について、その使用量と環境への排出量、廃棄物に含まれて事業所以外に移動した量を把握・集計し、公表する仕組み
地球環境では多種多様な生物が関わりあいながら存在しています。当社グループの事業活動は、生物多様性がもたらす恩恵がなければ維持することはできず、また事業活動を行うことは生物多様性に少なからず影響を与えています。この認識に基づき、取り組みの推進体制を整備し生物多様性の保全に努めていきます。
生物多様性活動ガイドラインと関係性マップ
当社グループは、活動ガイドラインを下記のように定め、製品のライフサイクルアセスメントを基に事業活動と生物多様性の関係性マップを作成しています。これらの活動ガイドラインや関係性マップを基に、生物多様性への取り組みを展開しています。
2020年度は、国内事業所において生態観察会や保全活動を2回以上行うことを目標として活動しました。その結果、累計で18回の生態観察会・保全活動が開催され延べ52人が参加しました。
当社の環境方針では、ステークホルダーの皆さまとの連携・協力を推進し、期待や要請に企業として適切に対応していくことを掲げており、ステークホルダーの皆さまとのコミュニケーションを通して、環境への取り組みを推進しています。
また、社内においては環境コミュニケーションをさらに推進していくために、環境に関するウェブ教育プログラムを導入しています。このウェブ教育には、新入社員や中途社員を対象とした環境教育と、既存従業員を対象とした更新教育の2つがあります。2020年度は、既存従業員向けの更新教育を実施し、国内の従業員約8,000名が受講しました。
岩手県江刺事業所では、前年度に続き2015年10月に近隣の住民(自治会等代表者)や行政の方をお招きして「第六回地域とはじめる環境報告会」を開催しました。また、ステークホルダーの皆さまに当社の環境活動をご理解いただくために、岩手県奥州市における企業の環境取り組みスキルアップセミナーにおいて「当社の環境管理活動」というテーマで講演をおこないました。2016年2月には、宮城県仙台市で開催された第二回環境ビジネスセミナーにおいて「環境への取り組み Technology for Eco Life」の内容で講演をおこなうなど、コミュニケーションの推進に努めています。
環境への啓発活動の一環として、従業員とその家族からの応募による「TELエコライフ・絵画・フォトコンテスト」を開催しています。2009年より開始したこの取り組みは、年々応募数が増加し、2020年は、国内・海外のグループ会社より998件の応募がありました。この12年間で、延べ6,000件を超える作品が集まっています。
東京エレクトロングループは、取引先さまのご協力のもと、環境に配慮した部品、製品、および材料を優先して購入するための「グリーン調達」を推進しています。詳細は、以下の「グリーン調達ガイドライン」とその補足文書をご参照ください。
当社グループでは、取引先さまから購入するすべての部品・製品について、含有化学物質調査を実施しています。
当社グループでは、含有化学物質調査に、chemSHERPA-AI*¹を使用しています。
chemSHERPA-AIツールは、https://chemsherpa.net/ より、ダウンロード可能です。
調査方法の詳細を確認されたい場合は、CSRについてのお問い合わせフォームからご連絡ください。
*1 製品含有化学物質情報を伝達するための情報伝達ツール
気候変動、地球温暖化といった地球規模の環境問題の観点から、物流に対する規制が強化され、環境負荷低減の要求が高まっています。当社は、物流における環境負荷低減に向けた活動を推進しています。
国内における物流は、省エネルギー法における規制範囲のCO2 排出量を、海外での物流は、当社内物流およびお客さま向け製品物流における範囲のCO2 排出量をそれぞれ計算・把握しています。
当社は、モーダルシフト*による環境負荷の少ない輸送への切り替えを実施しています。海外向け輸送については、半導体製造装置の一部およびFPD製造装置について海運を実施する他、空運から海運への切り替えを進めるため、工期の短縮にも積極的に取り組んでいます。また、FPD製造装置の出荷で用いてきた棚式台車を半導体製造装置の出荷にも取り入れ、トラックの積載率向上によるCO2 排出量およびコスト削減に取り組んでいます。
2020年度には、物流に関する「製品の梱包材の木材使用量を50%削減(2023年度まで、半導体製造装置の梱包)」という環境目標を新たに設定しました。今後、この目標達成に向けた活動を推進していきます。
2020年度のCO2 排出量は152千tと、2019年度と比較して減少しました。これは、2019年度と比べ輸送トンキロが減少したことによるものです。
* モーダルシフト:輸送手段の転換を図ること。自動車や航空機による輸送から、より環境負荷の低い鉄道や船舶による輸送に転換することをいう
当社の製品は、精密さおよび輸送時の清浄度を要求されるため、出荷時の梱包材として、木枠やダンボールなどを使用します。梱包材には省資源化のため、一部の国内輸送において、再利用可能なダンボールを梱包材として採用しています。また、製品の移動時に使用する搬送用キャスター類や専用治具は、回収して当社工場に持ち帰り再利用するなど、さまざまな手段で省資源化に取り組んでいます。
サプライチェーンイニシアティブ「 E-COMPASS 」
現在、気候変動や環境問題への対応はグローバル社会における喫緊の課題であり、国際的な環境法規制への対応やお客さまや投資家を含むさまざまなステークホルダーからの要望など、さらなる取り組みが強く求められています。東京エレクトロンが事業を展開する半導体、FPD市場においても、この課題に積極的に取り組んでいくことが重要であると考えています。
また、当社は持続可能なサプライチェーンの構築に向けた新たな取り組みとしてE-COMPASS(Environmental Co-Creation by Material, Process and Subcomponent Solutions)を立ち上げました。E-COMPASSは、製品はもとより事業活動全体を通して環境にフォーカスし、パートナーシップのさらなる強化とサプライチェーン全体での価値共創を目指した新たな取り組みです。当社はあらゆる経営資源を活用し、今後大きな潮流となる社会のデジタル化とグリーン化の両立の実現に向け、サプライチェーン全体での地球環境の保全に積極的に取り組んでまいります。