No.011 特集:人工知能(A.I.)が人間を超える日
Expert Interview
 

人工知能はコストカット役ではない

──データイノベーションラボが行う数学研究は、人工知能研究とどう関連するのでしょうか。

数学研究では「プレディクティブモデル」と呼ぶ、将来予測モデルを作っているに過ぎません。それをアルゴリズムにして、オペレーションに落とし込む。アルゴリズムは実体のオペレーションに合わせてどんどん進化させる必要があるので、そのときに人工知能がおそらく使われていくのだと思います。

これまでは保険業界を含め、人工知能の活用はどちらかと言えばコストリダクションの機会と捉えていた企業が多いと思います。コールセンターの自動応答とか、労務部門における自動査定など、人工知能の導入によって人員を削減するという分かりやすい考えです。

──アクサ生命でも、ウェブ上のサービスを案内するバーチャルエージェントを2012年から採用していますよね。

既契約のお客さまのサービス窓口である「マイアクサ」で採用しています。保険業界に限らず、いろんな業界がこうしたサービスを出されていると思うのですが、契約内容を紹介したり、簡単な保全手続などをオンラインで行ったりすることができるエージェントです。

お客さまからは日々多くの相談が寄せられますが、悩まれる時は大概夜中の3時だったりして、フェイス・トゥ・フェイスで対応できる時間でもない。そこに人工知能アバターが登場し、いろんな話を聞き、幅広い知識の中からナビゲーションをしてくれるのです。

 

──バーチャルエージェントには、どれくらい最新の人工知能の知見が取り入れられていくのでしょうか。

まだまだでしょうね。人工知能を導入しているかどうかというと、厳密にはしていませんので。私は人工知能によるアバターを検討したいと思っていますし、そんなに遠くない未来にそうなると考えています。

──どれくらいの射程で考えていますか?

5年はかからないのではないでしょうか。進化が圧倒的に早い世界なので、どのタイミングでどんなマシンを導入するかという点では、すごく悩ましいですが。

最近の人工知能は状況判断ができ、さらにその結果を深掘りする能力を備えるようになってきました。この部分が発展するとクオリティが上がります。当社としては、お客さまをしっかりナビゲーションできるくらいの精度が担保されたら、ゴーサインだと思っています。

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