No.010 特集:2020年の通信・インフラ
連載03 医療・ヘルスケアの電子化
Series Report

既存の医療機器市場は、できるだけ患者の体を傷つけない「非侵襲治療」が進んでいる。オリンパスは内視鏡およびその治療器具で、できるだけ患者への負担を減らす治療法の開発を進めている。米国では、医療機器の小型化も進んでいる。大病院に1台しか持てないような大型の放射線利用の医療機器をもっと小型化し、町の病院にも備えられるような価格の治療機を求める声もある。例えば、患者が横たわって検査・治療するようなCRTスキャナーや放射線治療機、MRIなどがデスクトップほどに小型になれば、患者の心理的な負担は少なくなる。また、町の病院に置いてある装置を家庭でも借りられるように小型化する取り組みも進んでいる。例えば、手のひらサイズの小さな超音波診断装置がすでに販売されている(図6)。

コニカミノルタヘルスケア社の手のひらサイズの超音波診断装置の図
[図6] コニカミノルタヘルスケア社の手のひらサイズの超音波診断装置
出典:innavi net(インナビネット)

ヘルスケア商品は既存の医療機器市場を拡大することになり、産業の勢力地図が変われば、市場の活性化につながる。だからと言って安全性が損なわれてはいけない。より安全でより低コスト、より正確な診断や治療につながる社会を目指すことがこれからの進むべき道であろう。

[ 参考資料 ]

*1
Tim Cook: Watch doesn't need FDA regulation, but Apple making other medical products (2015/11/10)
http://bgr.com/2015/11/10/apple-watch-fda-medical-product/
*2
医療機器メーカー一覧、ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/医療機器メーカー一覧
*3
日本の医療機器産業が世界で勝ち抜くためには
http://www.mizuho-ir.co.jp/publication/report/2014/mhir08_iryou02_01.html

Writer

津田 建二(つだ けんじ)

国際技術ジャーナリスト、技術アナリスト

現在、英文・和文のフリー技術ジャーナリスト。
30数年間、半導体産業を取材してきた経験を生かし、ブログ(newsandchips.com)や分析記事で半導体産業にさまざまな提案をしている。セミコンポータル(www.semiconportal.com)編集長を務めながら、マイナビニュースの連載「カーエレクトロニクス」のコラムニスト。

半導体デバイスの開発等に従事後、日経マグロウヒル社(現在日経BP社)にて「日経エレクトロニクス」の記者に。その後、「日経マイクロデバイス」、英文誌「Nikkei Electronics Asia」、「Electronic Business Japan」、「Design News Japan」、「Semiconductor International日本版」を相次いで創刊。2007年6月にフリーランスの国際技術ジャーナリストとして独立。書籍「メガトレンド 半導体2014-2023」(日経BP社刊)、「知らなきゃヤバイ! 半導体、この成長産業を手放すな」、「欧州ファブレス半導体産業の真実」(共に日刊工業新聞社刊)、「グリーン半導体技術の最新動向と新ビジネス2011」(インプレス刊)など。

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