LAST ISSUE 001[創刊号] エネルギーはここから変わる。”スマートシティ”
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海外事例

太陽光発電で銀河誕生とエネルギー問題に挑む
チリの天文台

太陽光発電×超伝導×赤外線望遠鏡。
宇宙に一番近い標高5600mの「ソーラーTAO」プロジェクトのチャレンジ。

  • 2011.12.18
  • 文/山路達也
[写真/上] mini-TAO望遠鏡ドーム全景とチャナントール山の山頂 / [写真/下] チリ・アタカマの位置

[写真/上] mini-TAO望遠鏡ドーム全景とチャナントール山の山頂   [写真/下] チリ・アタカマの位置
Photo Credit : 東京大学TAOプロジェクト

南米大陸のチリ、アンデス山脈と太平洋の間にアタカマ砂漠はある。平均標高は2000メートルを超え、世界で最も乾燥した砂漠といわれる過酷な環境だ。

現在、アタカマ砂漠にある標高5600メートルの高山に赤外線望遠鏡を設置しようというプロジェクトが進められている。この「ソーラーTAO」プロジェクトが目指すのは学術的な天体観測だけではない。エネルギー/資源問題に対して、まったく新しいアプローチで迫ろうとしているのだ。

理想的な天体観測ポイント「アタカマ砂漠」

天体観測に最適な地点は、地上のどこにでもあるものではない。空気が乾燥しており、気流が安定していること。都市から遠く離れ空が暗いこと。そして、見逃されがちだが、政情が安定していて、安心して研究できる環境であること。
北半球では、すばる望遠鏡で知られるハワイのマウナケア山頂が代表的な観測地点となっており、各国の天文台がこの地にひしめく。南半球ならば、南米大陸のチリにあるアタカマ砂漠だ。高度5000メートルの平原には、日米欧による電波望遠鏡群が立ち並んでいる。
このアタカマ砂漠のチャナントール山(標高5600メートル)に、「赤外線」望遠鏡を設置しようというのが、東京大学天文学教育研究センターの進める「TAO」(Tokyo Atacama Observatory)プロジェクトである。

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