LAST ISSUE 001[創刊号] エネルギーはここから変わる。”スマートシティ”
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自律的にエネルギーのマネジメントを行うCOMMAハウス

現在、さまざまな住宅メーカーや研究機関が、見える化だけでなく、より高機能なエネルギーマネジメントを自律的に行える住宅の実証実験を進めている。
LIXILが東京大学生産技術研究所と共同で実験しているCOMMAハウスでは、外部の環境も上手に活かし、効率的なエネルギーマネジメントを目指している。なかでもユニークなのが、随所に凝らされた建築的な工夫だ。

東京大学生産技術研究所とLIXILが共同で研究を進めているCOMMAハウス
[写真] 東京大学生産技術研究所とLIXILが共同で研究を進めているCOMMAハウス。建築的な手法とデジタル技術を融合により、エネルギーを効率的に利用することを目指す。

COMMAハウスの建物は断熱パネル工法によって、高い気密性と断熱性を実現。内部の設備によって断熱性能を可変できるようになっており、温暖な土地から寒冷地まで、さまざまな条件における快適性の検証を行う。
建物の南側には、可動式のルーバー(日光を遮断するための細長い板)が備え付けられており、日射や通風を調整できるようになっている。玄関近くには土間のような緩衝空間が設けられており、外からの強い刺激(日光や音、風)はいったんここで中和されてから、家の内部に取り込まれる。出窓にも一工夫されており、上下の窓では違う方向に開く用になっている。これは、風向きによらず、できるだけ室内に風を取り込めるようにするためだ。
壁面には風圧を観測するためのセンサーが埋め込まれており、将来的には風の状態に応じて、自動的に窓を開閉して室内に風を取り込むといった機能も今後実験していく予定だ。

左:日射と通風を調整する可動式ルーバー 右:センサーが捉えた風向きの状況に応じて、窓が自動開閉されるように設計された採風窓
[写真] 左:日射と通風を調整する可動式ルーバー。右:センサーが捉えた風向きの状況に応じて、窓が自動開閉されるように設計された採風窓。

室内も風の流れを重視した設計がなされており、温かい空気が上に抜け、冷たい空気は下に流れるようになっている。これによって、夏の熱帯夜でも一晩中エアコンをかけるのではなく、外の風を上手に使うことが可能になるかもしれない。
エネルギーのマネジメントについては、分電盤に電力センサーを取り付け、回路ごとの電力使用量を一分単位で計測する。また、水や湯の使用状況についても計測を行っており、電力だけでなく総合的なエネルギーマネジメントを行う仕組みを作ろうとしている。
アナログ的な建築上の工夫を、デジタルの機器制御によってさらに活かそうという点にCOMMAハウスのユニークさがある。

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