LAST ISSUE 001[創刊号] エネルギーはここから変わる。”スマートシティ”
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スマートハウスが見せる、
これからの暮らしのスタイル

家がスマートになるとはどういうことか?
電力の見える化を超え、未来の家で実現されるライフスタイルとは?

  • 2012.04.1
  • 文/山路達也

スマートフォンのヒットを皮切りにして、スマートグリッド、スマートシティ等々、「スマート」という言葉は一挙に市民権を得た感がある。住宅業界では、今スマートハウスが消費を盛り上げる起爆剤になるのではないかという期待も大きい。では、家がスマートになるとはどういうことか? 各社のスマートハウス事例の取材を通して、単なる電力の「見える化」を超え、未来の家で実現されるライフスタイルのありかたを探る。

「スマート」な家とは何だろう

現在のところ、スマートハウスとしてニュースに取り上げられる住宅は、複数の電源にHEMS(Home Energy Management System:家庭用エネルギーマネジメントシステム)を加えたものと考えてよいだろう。大和ハウスの「SMA x Eco HOUSE」は、自社開発のHEMSに、家庭用リチウムイオン電池と太陽電池を搭載。積水ハウスの「グリーンファーストハイブリッド」は、太陽電池、燃料電池、鉛蓄電池という三系統の電源とHEMSという構成だ。また、トヨタホームのスマートハウスでは、電源としてEV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)も取り入れた。家の中から車内の冷房をオンにしたり、停電時にEVから家へと電力を送るなど、車と家の連携機能に特徴がある。
これらの住宅では、停電時の電源確保のほか、太陽光によって発電したクリーン電力を積極的に消費する、あるいはクリーン電力を売電し、安価な夜間電力を蓄電池に蓄えて電気代を抑えるといったモードを備えるのが一般的になっている。
そして、現在のHEMSが持つ大きな役割は「見える化」である。電力の使用状況をグラフ化したり、電気代として見せることで、利用者の節電意識を高めようというものだ。電力の見える化ビジネスには、IT分野からの参入も相次いでおり、NECは積水化学工業と事業提携を行い、既設住宅にも設置可能なHEMSの開発販売を行っている。NTT西日本の子会社であるNTTスマイルエナジーは、月々390円からの料金で電力の見える化が行える「エコめがね」を2011年に開始した。
見える化によって十数パーセント程度の節電効果があると言われるが、実は見える化それ自体が市場への起爆剤となるキラーサービスになると考えている事業者は多くない。電力の見える化ができたところで、実際に節電を行うのはあくまでも人間である。一定の節電が実現できた後、見える化を続けるインセンティブを保ち続けるのは容易ではないだろう。

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