No.013 特集 : 難病の克服を目指す
Cross Talk

検証されていない仮説は多い

── 報道でも話題になった「STAP細胞」について、松崎先生は専門家としてどのようにお考えですか?

松崎 ── 研究者の見地からすると、あの現象自体が科学的に否定されたわけではないと考えています。あのやり方では今のところうまくいっていないというだけで、ちょっと手法を変えれば、うまくいく可能性は残っていると思います。

STAP現象に関して言えば、プラナリアのような生物では、その幹細胞がさまざまな刺激によってできることまでは判っていたんです。しかし、それは哺乳類では誰も観察していなかったこともあって、非常に注目されたんですね。

あの時はいろいろなことが重なったので、残念な結果になりました。ただ、多くの研究者が考えていた話だったので、誰かが立証できるのかもしれません。

栗城 ── 僕は2012年に凍傷になり、その1年後にやっとマトリステムによる治療をやっと受けることができたのですが、それまではいろいろな病院に断られたんです。マトリステムは一応、アメリカではFDA(米国食品医薬品局)の認可が下りていて、処方箋を出してもらえば治療できたのですが、日本の指の専門家の方々はなかなかやってくれませんでした。

なぜかというと、日本では前例がなかったからです。臨床の実績がない、やったことがないことに対して一歩を踏み出すには相当の壁があります。結局マトリステムをやってくれたお医者さんは二人いたのですが、その人たちはやはり無類の新しいもの好きでした(笑)。

松崎 ── きっとそうでしょうね。

栗城 ── ただ、マトリステム治療は指が若干伸びる程度なので、これから先生の研究によって、関節も含めていろいろなものが再生されていくことを期待しています。

松崎 ── そういうところに、どんどん貢献できればいいですね。

Copyright©2011- Tokyo Electron Limited, All Rights Reserved.