No.005 ”デジタル化するものづくりの最前線”
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世界のトヨタが認めたLEDデスクライト

家電ベンチャーは、当然ながら大手企業に比べるとどこも少人数でやっているのだが、中でも"一人"で始めて、製品を作ってしまったのがBsize(ビーサイズ)だ。

Bsizeは2011年9月に、代表の八木啓太氏がたった一人で設立した企業。大手メーカーで医療機器の機械設計に従事していた八木氏が退職後、自宅兼事務所で製品開発を開始。起業後の同年12月に第1弾製品となるLEDデスクライト「STROKE」を発売した。39,900円という、決して安くはない価格ながら、これまでに約1,500台を販売。今でも注文から3週間待ちという人気が続いている。

STROKEは「最少の構造で最高の光を提供する」というコンセプトの製品だ。採用したLEDモジュールは特注品で、自然光に近く、色の再現性が高いほか、広範囲を照らすことができ、目への負担も小さいという。また1本のパイプを曲げただけのシンプルなデザインは、グッドデザイン賞(日本)やRed Dot Design Award(ドイツ)を受賞するなど、国内外から高い評価を受けた。

LEDデスクライト「STROKE」の写真
[写真] LEDデスクライト「STROKE」

発売後しばらくは、オンラインストアでしか購入できなかったが、LEDデスクライトという製品の特性上、「見てから決めたい」という要望も多かった。そこで、南青山の「INTERSECT BY LEXUS - TOKYO」にて、初の店頭販売も開始。このショップは高級車「レクサス」のブランド体験スペースとして、今年8月末にオープンしたばかり。"世界のトヨタ"が認めた形だ。

INTERSECT BY LEXUS - TOKYO
http://www.lexus-int.com/jp/intersect/tokyo/

ところで、"一人家電メーカー"とは言っても、もちろん字面通りの"一人"ではモノづくりはできない。商品が消費者の手元に届くまでには、多くの人手がかかる。量産には工場が必要だし、流通や販売も考えなければならない。

ただ、その全てを自社で抱え込む必要はない。例えばよく知られているように、アップルは工場を持たないファブレス企業である。メーカーのコア・コンピタンス(他社には真似ができない中核的な能力)と言える企画や設計の部分に注力し、それ以外の部分については可能な限りアウトソースする――これがBsizeの基本方針である。

「アイデア、デザイン、設計力に集中して、製造や物流は外部を活用する。みんなでチームを作って、その旗振り役がBsize」と八木氏は言う。

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