LAST ISSUE 001[創刊号] エネルギーはここから変わる。”スマートシティ”
CROSS × TALK 3.11以降のスマートエネルギー社会とは?

2011年3月11日の東日本大震災以降、エネルギーや都市、インフラのあり方について人々の意識が根本から変わり始めた。
同時に、エネルギーがITと繋がり、私たちのライフスタイルを大きく変えるスマートエネルギー社会が産声を上げようとしている。
今後どのような社会がやってくるのか?新しいテクノロジ―が市場に広がるには何が必要なのか?エコポイントの提唱者である加藤敏春氏、電気自動車「エリーカ」開発者の清水浩教授に、次世代文明へ向けた日本の戦略を語っていただいた。

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消費するだけではなく、
自らが生産・発信する「プロシューマー」の出現

清水 ── 慶應義塾大学環境情報学部教授の清水浩と申します。30年ほど前から、電気自動車の研究を進めてきました。元々の専攻は物理、それもレーザーの研究だったのですが、電気自動車はエネルギー問題や環境問題を抜本的に解決するのではないかと考えて、テーマを変えて研究に取り組んできたわけです。
2009年には、我々の電気自動車「エリーカ」関連の技術を事業化するため、株式会社シムドライブを設立し、その代表取締役を務めさせていただいています。この会社は電気自動車を製造したり販売したりするのではなく、30年で蓄積してきた技術や情報、さらにはネットワークを世界中に広めることを目的としております。

加藤 ── 一般社団法人スマートプロジェクト代表の加藤敏春と申します。1994年頃、私はシリコンバレーにいて、インターネットの民生利用が広がっていく様子を目の当たりにし、社会変革のすばらしさに感銘しました。今度はエネルギーの分野で新しい社会、いわば「エネルギーのインターネット」の演出をしたいと考えています。

──エネルギーの応用分野の1つとして、清水先生の研究されている電気自動車は大きな意味を持ってくることになるでしょう。こうした技術によって、社会やライフスタイルはどう変化していくのでしょうか?

清水 ── 私たちが目指しているのは、お客さまが買いたい電気自動車を作ることです。補助金で普及を支援するのではなく、お客さま自身が欲しくて買ったら環境によかった、あるいは環境に良いと思って買ったらガソリンの車よりも性能が良かった、そういう車を作れるはずだと思っていました。
当初はもっと早期に電気自動車が普及すると予測していましたが、意外に時間がかかりましたね。しかし、ようやく電気自動車に必要な技術が成熟し、社会も電気自動車を求める状況が整ってきたようです。
自動車の価値は、加速感、室内空間の広さ、乗り心地に集約されます。エリーカは160km/hに達するのに7秒という加速性能を持ち、最高速度は370km/hです。また、車輪内蔵のモーターで車輪を直接駆動するため、室内空間も広く取れます。お客さまに対する訴求力のある商品が、将来的にスマートグリッドと結びついて社会全体の構成を変えていくでしょう。

加藤 ── 私も清水先生の著作は読ませていただきました。この50年、100年間、量子力学を始めとする、さまざまな原理や技術の発見がありましたが、それらがようやく社会システムの中へと入っていこうとしているのを実感しています。リチウムイオン電池ネオジム磁石、そして電気自動車というように、量子力学に基づいた技術が実用化され、社会のニーズに応えようとしている。私たちは、その転換期にいるのでしょう。

清水 ── 私の言いたかったことを先に言われてしまいました(笑)。

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