No.002 人と技術はどうつながるのか?
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次世代テレビ会議システム「MM-Space」

NTTコミュニケーション科学基礎研究所が開発した次世代テレビ会議システム「MM-Space」も、最小限の情報でリアリティを強化しようというミニマルデザイン的なシステムだ。このシステムの目的は、会議の参加者が実際にその場にいるような臨場感を出すことである。実際の会議においては、視線の移動やうなずきなどがコミュニケーションで重要な役割を果たしているのだが、このシステムでは人物を投影するスクリーンをアクチュエーター(駆動装置)で前後に傾けたり、左右に回転させることで、会話者の頭の動きを物理的な動きで再現していることが特徴だ。スクリーンの物理的な動きと画像の動きの相乗効果により、「視線方向がよりわかりやすくなる」「受け手がより正確に理解できる」ことが期待できるとのことだ。実際に被験者を集めてテストをしたところ、受け手が誰だか当てるという問題の平均正答率が通常のプロジェクターよりも、有意に高くなっており、本システムの優位性が実証されたという。

[写真] 人物の頭部の運動をスクリーンの物理的な動きとして表現する「MM-Space」
動画:http://www.youtube.com/watch?v=oItmcfV8EyQ

ぬいぐるみに動きを与えるリング型デバイス「PINOKY」

慶応大学の杉浦裕太氏が開発した「PINOKY」もユニークなデバイスだ。ぬいぐるみの手足や尻尾などの部位を動かすことができるリング型のデバイスであり、ぬいぐるみを一切傷つけることなく、インタラクティブなロボットシステムにできることが利点だ。これまで、ぬいぐるみをロボット化するには、外側を割いて中にアクチュエーターを組み込む必要があったが、大切にしているぬいぐるみを傷つけることに抵抗を感じる人は多いだろう。杉浦氏は、PINOKYに込めた想いを、「子どもの頃にぬいぐるみに触れあって遊んでいるうちに、いつか命が吹き込まれたらいいなと思うようになると思うんです。それで、このデバイスをつけると、ぬいぐるみにあたかも命が吹き込まれたようになり、人とコミュニケーションをとることができる。つまり、このリングがぬいぐるみと自分とのインターフェースになっているわけです」と語る。

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