No.006 ”データでデザインする社会”
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経済

検討されている"新"個人情報保護法案

具体的には、2014年4月16日に開催された「パーソナルデータに関する検討会」の第7回会合で、個人情報の定義に関する新しい提案*3がなされ、話題になっている。
基本的には、個人情報保護法案における「個人情報」の取り扱いについては現行のままとし、新たに提案されているのが「準個人情報」と「個人特定性低減データ」という新設のカテゴリである。「準個人情報」は以下のように定義されている。

「個人情報に該当するものを除き、生存する個人に関する情報であって、次に例示するもの及びこれに類するものを含む情報」
① パスポート番号、免許証番号、IPアドレス、携帯端末ID等の個人または個人の情報通信端末(携帯電話端末、PC端末等)等に付番され、継続して共用されるもの
② 顔認識データ、遺伝子情報、声紋並びに指紋等、個人の生体的・身体的特性に関する情報で、普遍性を有するもの
③ 移動履歴、購買履歴等の特徴的な行動の履歴

「個人情報」等の定義と「個人情報取扱事業者」等の義務について(事務局案)の写真
[写真] 「第8回 パーソナルデータに関する検討会」【資料1-1】 「個人情報」等の定義と「個人情報取扱事業者」等の義務について(事務局案)<概要編>
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pd/dai8/siryou1_1.pdf

そして、「個人特定性低減データ」は、以下の定義が提案されている。

① 個人データについて、当該データに含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人が識別できるものを削除する等政令で定める方法による加工を施し、個人が特定される可能性を低減したもの
② 「(仮称)準個人データ」について、当該データに含まれる法○条○項各号に掲げるもの(注)を削除する等政令で定める方法による加工を施したもの
(注):「(仮称)準個人データ」の定義規定

③ ①又は②について、他の情報を加える等加工を施したもの(「(仮称)準個人情報」の状態となったものを除く。」)
※なお、特定個人を識別することは禁止規定があるため、③より当然に除かれるものである。

個人データ、および準個人データを加工することによって、個人が特定できないようにしたデータが「個人特定性低減データ」とされている。
加工については、技術の変化によって様々なやりかたが生まれうるため、政令で定めると記述されている

「(仮称)個人特定性低減データ」の作成イメージの写真
[写真] 「「個人情報」等の定義と「個人情報取扱事業者」等の義務について(事務局案)<詳細編>」より、"「(仮称)個人特定性低減データ」の作成イメージ"
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pd/dai7/siryou1-2.pdf

詳述は避けるが、この提案については、そもそも「準個人情報」などの新しい類型を定義することへの反対意見や、仮に認められた場合に「現在行なわれている行動ターゲティング広告が法的に禁止されることになる」といった意見、「準個人データを設定する意味がない」などの指摘がある。*4また、対案として、データベースに無い「散在情報」を規制から外すという意見もある、保護すべき個人に関する情報はまだ議論の途上であり、こうした指摘も含めて最終的に整理された法案改正がなされることが望まれる。

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