リスクマネジメント

リスクマネジメントについての考え方

社会や事業環境の変化とともに、企業を取り巻くリスクは複雑化、多様化が進んでいます。東京エレクトロンでは、事業を遂行する上で直面しうるリスクや影響を正しく把握し、適切に対応することが、企業として持続的に成長していくために不可欠であると考えています。

リスクマネジメント体制および取り組み

当社では、より実効的なリスクマネジメントを推進するために、本社総務部内に統括組織を設置し、エンタープライズ・リスクマネジメント*¹を展開しています。この組織では、各業務の担当所管部門と連携し、コンプライアンスリスク、人事・労務リスク、事業継続リスクなど、事業活動におけるさまざまなリスクの洗い出しをおこない、影響度と蓋然性の高いリスクを当社の重要リスクと認定しています。また、重要リスクに対する低減策の策定や実行、効果のモニタリング、リスクのコントロール状況の把握をおこない、リスクマネジメントのPDCA活動を実施しています。2020年度には、CSA*²を導入し、リスクマネジメント委員会を開催するなど、今後もこれらの活動に継続的に取り組みます。当社グループ全体でリスクマネジメント活動を強化・進化させていくことで、これまで以上に実効性の高いリスクマネジメントの実践に努めていきます。

*1 エンタープライズ・リスクマネジメント: リスクマネジメント活動に関する全社的な仕組みやプロセスのこと
*2 CSA: Control Self-Assessment。統制自己評価。自律的なリスクマネジメント体制の構築・維持を目的に、組織内のリスクと統制について実際に業務を実施している担当者自身が評価・モニタリングする

内部監査部門における監査

当社では、グループ全体の内部監査部門である監査センターが、監査計画に基づいた監査を実施しています。その結果、取り組むべき課題については、改善を指示するとともに、改善状況の確認や必要な支援をおこなっています。財務報告に関する内部統制評価については、2020年度も有効であるとの評価を会計監査人より得ています。

リスクに対する取り組み

当社は、リスクマネジメントの現状と今後当社を取り巻く潜在的・顕在的なリスクを把握するために、グループ全体でレビューをおこなっています。レビューの結果を踏まえ、以下13項目のリスクを財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な課題を与える可能性があると認識し、取り組みを進めています。

項目 想定される主なリスク リスクに対する取り組み
1. 市場変動 半導体市場が急激に縮小した場合、過剰生産、不良在庫の増加。また、急激な需要の増加に対応できない場合、お客さまに製品をタイムリーに供給できないことによる機会損失 ・取締役会などの重要会議において市場環境や受注状況を定期的にレビューし、設備投資や人員・在庫計画などを適正化
・Account Sales本部およびGlobal Sales本部により、お客さまの投資動向を把握するとともに、幅広いニーズに対応することで、販売体制および顧客基盤を強化
2. 地政学 各国・各地域において産業政策や安全保障、環境政策などの観点から半導体関連事業の国産化、自国製品の優先政策、輸出規制や環境法規制の強化などが進んだ場合、事業活動に制約が発生 ・政策・外交動向を注視し、規制導入の動きを把握
・パブリックコメントなどを通じて政策当局に意見を伝えるとともに、各国の政策や規制が導入された際の影響を予測し、対応策を検討
3. 研究開発 新製品をタイムリーに投入できない場合や、お客さまのニーズに合致しなかった場合、製品の競争力の低下 ・Corporate Innovation本部を設置し、革新的な技術開発と各開発本部がもつ技術を融合する全社的な開発体制の構築
・研究機関との共同研究や、最先端顧客との複数世代にわたる技術ロードマップの共有を通して、競争力の高いnext-generationproductsを競合に先行して提供
4. 調達・生産・供給 自然災害などにより当社の生産が停止した場合や、お取引先さまの経営状態悪化、供給能力を上回る需要の増加などにより部品調達が滞った場合、お客さまへの製品供給の遅延 ・事業継続計画を策定し、代替生産体制の確立や重要部品のマルチソース化、生産棟の耐震強化など
・需要予想を踏まえたフォーキャストをお取引先さまと共有することによる部品の早期調達や生産の平準化などにより、製品の安定供給体制を構築
5. 安全 当社製品の安全性に関する問題が発生した場合、お客さまへの損害や損害賠償の発生、信頼の低下 ・「 Safety First*¹」の考えのもと、製品開発段階における安全設計の徹底や安全教育の推進、事故発生時の報告システムの整備
6. 品質 製品不具合が発生した場合、損害賠償や対策費用の発生、信頼の低下 ・品質保証体制および最高水準のサービス体制の確立
・設計段階から技術的な課題を解決
・不具合の原因究明をし、再発防止・類似不具合の未然防止策を実施
・お取引先さまの品質状態の把握および監査、改善支援の実施
7. 法令・規制 事業を展開する各国・各地域の法令・規制に抵触した場合、社会的信用の低下や課徴金、損害賠償の発生、事業活動の制限 ・チーフ・コンプライアンス・オフィサーのもと、国内外主要拠点のコンプライアンスに関する活動状況を把握
・外部専門家によるアセスメントを実施し、抽出された課題をCEO、取締役会および監査役会に報告の上、迅速かつ効果的な対策を実施
8. 知的財産 独自技術の専有化ができない場合、製品競争力の低下。また、第三者が保有する知的財産権を侵害した場合、損害賠償の発生 ・研究開発戦略を事業戦略および知的財産戦略と三位一体で推進し、適切な知的財産権ポートフォリオを構築
9. 情報セキュリティ サイバー攻撃による不正アクセスや自然災害などにより、情報漏洩、サービス停止などが発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償の発生 ・セキュリティ専任組織を立ち上げるとともに、外部専門家によるセキュリティ・アセスメントを実施するなど、世界基準に準拠した情報セキュリティ体制を構築
・グローバル統一の情報管理に関する諸規程などを制定
10. 人材 必要な人材を継続的に採用・維持することができない場合や多様な価値観、専門性をもった人材が活躍できる環境を整備できない場合には、製品開発力や顧客サポートの質の低下 ・経営トップによる定期的な社員集会を通じた方向性の共有、次世代人材の育成計画の構築、社員のキャリアパスの見える化、魅力的な報酬・福利厚生の提供など、労働環境の継続的な改善および健康経営の推進
11. 環境対応 各国の気候変動政策や環境法令、お客さまのニーズに適切に対応できない場合、新規製品の開発、仕様変更などの追加対応費用の発生、製品競争力および社会的信用の低下 ・業界をリードする中長期環境目標*²の策定
・製品使用時の温室効果ガス排出量の削減。事業所における再生可能エネルギーの使用比率の向上およびエネルギー使用量の削減
・半導体の低消費電力化に寄与する技術などの提供
12. 新型コロナウイルス感染症 新型コロナウイルス感染症の拡大による当社の事業活動の停滞や世界経済の悪化 ・CEOを本部長とする緊急対策本部を設置
・感染リスクの高い国や地域への渡航制限、サプライチェーンの維持、事業所における感染予防策の徹底
13. その他 世界および各地域における政治情勢、経済環境、金融・株式市場、外国為替変動などの影響 ・それぞれのリスクに対して適切な対策を講じて対応

*1 Safety First: サステナビリティレポートP.28参照
*2 中長期環境目標: サステナビリティレポートP.50参照