人間とロボットが入り交じる不思議なライン
一般的な産業用ロボットとNEXTAGEにはそれぞれ長所短所があり、どちらもロボットとはいえ、利用の仕方がまったく異なる。前者は大量生産における単純作業の効率化が一番の目的だが、NEXTAGEは人間が行っている作業の置き換えを目的としている。
グローリーでは、ラインを構築する際、NEXTAGE専用の工程を用意するのではなく、人間用の作業工程をまず作成している。そして、そのうちのいくつかを適宜NEXTAGEで置き換えていくのだという。
そのため、NEXTAGEが従事しているラインのパターンは多彩だ。
例えば、硬貨投入部分の組み立てライン。このラインは5つの工程にわかれており、4台のNEXTAGEと1人の人間が従事している。1つの工程には約15点ほどの部品取り付け作業が含まれる。両面テープを剥がして部品を基板に貼り付けたり、ゴムベルトをフレームにはめ込む作業もNEXTAGEが担当し、最後に、人間の作業者が、硬貨がきちんと1枚ずつ送られるよう隙間調整を行う。
別のラインでは、従来型の産業ロボットが高速にピン打ちを行い、その前後工程をNEXTAGEと人間が担当する。
他には、楕円状に配置された作業台の周りを、搬送機に乗ったNEXTAGEが移動しつつ、一つ一つの工程をこなしていくラインもある。NEXTAGE自身がボタンを押して、搬送機を走行させるのだ。
すべてのNEXTAGEは基本的に同じ構造をしているため、各工程用のプログラムはどの機体でも使うことができる。あるラインの稼働率を上げるために、NEXTAGEを追加するといったことも可能だ。
また、作業工程は人間が作業することを前提に組まれているというのも大きなポイントである。停電やマシントラブルでNEXTAGEを動かせない時は、その工程に人間の作業者が入って作業を継続することができる。
製品のロットごとに少し仕様を変更したり、需要に応じてラインの稼働率を調整できるのは、NEXTAGEの大きなアドバンテージだ。