今、物理学会を騒がせている新材料、「トポロジカル絶縁体」*1で新材料を見つけた産業技術総合研究所ナノエレクトロニクス研究部門首席研究員である富永淳二氏。これまでは、極低温に冷却しなければその材料の性質を観測できなかった。富永氏が「偶然」と謙遜しながらも、見出した超格子構造のトポロジカル絶縁体は、室温(20〜30℃)で動作でき、しかも再現性や追試実験でも確認できている。表面が導電体で中は絶縁体というトポロジカル絶縁体の未来について、物質・材料研究機構材料ユニットのユニット長である知京豊裕氏と熱く語る。前編ではトポロジカル絶縁体とは何かを中心にお伝えし、後編ではどのようにして発見にたどり着いたのか、どのような応用を展開できるのか、その未来志向の材料の夢を追いかけていく。 |
富永 ── 産総研のナノエレクトロニクス研究部門の首席研究員をしています。もともと材料、特にカルコゲン材料(図1)という周期律表の下の方にある重い金属原子(テルルやアンチモンなど)を使った材料を研究しております。今日はよろしくお願いします。
知京 ── 物質・材料研究機構のMANA(国際ナノアーキテクトニクス研究拠点)に属して材料開発に取り組んでいます。手法として用いているのがコンビナトリアル材料合成法*2です。この方法はたくさんの材料を一度にいろいろな条件で合成できる効率の良い材料開発技術です。すでにこの手法を使った企業を立ち上げております。今日は、富永さんと対談できるので、ワクワクしています。よろしくお願いします。