No.002 人と技術はどうつながるのか?
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スイッチの起源

"スイッチ(switch)"という言葉は、17世紀には既に使われていた。当時、日常生活で電気は使われていないので、電気の制御のためのスイッチという意味ではもちろんなかった。スイッチという言葉は"乗馬用の鞭"という意味を持っていたのである。"スイッチで馬を叩く(乗馬用の鞭で馬の尻を叩き、馬を走らせる)"、といったような使われ方をしていたようだ。

18世紀後半には、"何かの方向を変えたり、接続を切断するためのデバイス"という意味で使用されたいたことが記録されている。19世紀の半ばには、"鉄道の軌道の変更"という意味で使われはじめ、電気のオンオフの意味で使われるようになったのはその後、19世紀後半に電気工学が大きく発展してきた頃だろうと推測できる。その中でも、いわゆるスイッチのはじまりは、モールス通信用の打機ではないか、というのが有力な説である。

スイッチ博物学

スイッチ製造会社の提供しているスイッチのラインナップを参考に(文末参考資料を参照のこと)、スイッチの種類を整理してみることにしよう。

まず大きく分類すると、検出用スイッチと操作用スイッチの2つがある。検出用は、たとえば冷蔵庫の扉を開けるとライトが点く、といったように、環境の変化を自動的に検出して、電気の流れを変えるもの。いわば人が介在していないスイッチだ。一方の操作用スイッチは、人間が直接触ることで、電気の流れを変えるものを指す。私たちになじみがあるのはこちらの操作用スイッチだ。ここでは私たちの生活の中でなじみのある操作用スイッチを中心に種類や特徴を概観してみよう。

押しボタンスイッチの仲間

もっとも一般的なものとしてまずあげられるのが押しボタンスイッチだ。目覚まし時計のオンオフ、テレビのリモコン、自販機の購入ボタン、バスの降車ボタン等、ありとあらゆる領域でこのスイッチが活躍している。

メンブレンスイッチ

メンブレンスイッチ

洗濯機や電子レンジのような家電製品に多く使われているのは、「メンブレンスイッチ」。薄いボタンのスイッチが多く並んでいるもの、と考えればよい。フィルム状シートに導体を印刷して一度に大量のスイッチを作ることが可能だ。

照光式スイッチ

照光式スイッチ

スイッチの動作を光によって示すスイッチのこと。バスの降車ボタンで使われているものがそうだ。LEDを光源とした、低消費電力・高輝度なものが最近は増えている。最新型のものは、有機ELディスプレイになっているものもある(写真1参照)。

タクティルスイッチ

タクティルスイッチ

マウスや携帯電話など押し心地にこだわりたい部分に使われているのは「タクティル(Tactile=感触)スイッチ」と呼ばれている。わずかなストローク(移動距離)で心地よいクリック感を得られるよう設計されている。これも押しボタン型スイッチの一種である。

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