No.006 ”データでデザインする社会”
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経済

ビットコインは未来のお金か?

〜仮想通貨の現状とその課題

  • 2014.04.30
  • 文/大塚 実

様々なリスクを抱えながらも通貨の新しい可能性を示す「ビットコイン」。P2P(Peer-to-Peer)ネットワークにより維持されている仮想通貨のシステムとは何か?黎明期の技術であるビットコインの仕組みと課題を解説する。

高騰するビットコイン

インターネット上の仮想通貨「ビットコイン(Bitcoin)」が注目を集めている。注目されたのは、まさにバブルとも言えるその高騰ぶりだ。2013年1月には1BTC(ビットコインの単位)は10数ドルで取り引きされていたのに、夏頃には100ドル前後にまで値上がりし、年末には一時、1,000ドルを突破する事態となった。わずか1年足らずの間に価値が100倍近く膨れあがったわけで、投機目的でビットコインを購入する人が増えたのも当然である。

この1年間の取引レートの変動の写真
[写真] この1年間の取引レートの変動。昨年末に急騰したことが分かる

だが、うまい話には裏がある、というわけでもないが、先日ニュースで大きく報じられたように、ビットコインの取引所であるMt.Gox(マウント・ゴックス)が、顧客から預かっていた大量のビットコインのほとんどを失うという事件が起きた。この件については、原稿執筆時(2014年3月中旬)でまだ原因を究明中であり、深入りは避けるものの、様々なリスクがあることは理解しておいた方が良いだろう。

取引が一切できなくなったMt.Goxのトップページ(2月末)の写真
[写真] 取引が一切できなくなったMt.Goxのトップページ(2月末)。ある日突然、こうなる危険性もある

だが、新しい形の通貨として、興味深い存在であるのも確かだ。ビットコインについては現在、賛否両論さまざまな意見が出ているところだが、本記事では、ビットコインとは何か、どんなメリットがあるのか、改めて見ていくことにしたい。

インターネット上で流通する仮想通貨「ビットコイン」の写真
[写真] インターネット上で流通する仮想通貨「ビットコイン」

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