Science News

現実世界の情報も探せる、
新たな検索エンジンプロジェクト

2012.8.27

SMARTでは、混み具合などの情報も含めてリアルタイムに処理を行う。
SMARTでは、混み具合などの情報も含めてリアルタイムに処理を行う。
Photo Credit: EP7

Googleに代表される検索エンジンによって、ネット上から必要な情報を取り出せるようになった。しかし、検索エンジンで取り出せるのは、当然のことながらネット上の情報に限られ、現実世界でどんなことが起こっているのかをリアルタイムに知ることはできない。
英国スコットランドのグラスゴー大学の研究者が中心になって進めている「SMART」プロジェクトは、ネットだけでなく現実世界の情報も検索できる仕組み作りを目指している。SMARTという名称は、"Search engine for MultimediAenviRonment generated contenT"を意味する。現実世界にカメラやマイク、その他センサー類を配置し、これらから得られる位置情報や音声、映像、顔認識、群衆の集まり具合といったデータと、ソーシャルメディアなどからのデータをリアルタイムに処理することで、これまでの検索エンジンでは知り得なかった情報の検索が可能になるという。
SMARTの用途として、プロジェクトチームが挙げている例の1つがライブニュースだ。例えば、「街のどこが賑わっている?」「争いが起こっているのはどの地域か?」といった質問に対して、答えることもできる。
その他の応用例としては、セキュリティがある。顔認識技術などと組み合わせることで、同じ場所に頻繁に現れる人物を抽出する用途も検討されている。
グラスゴー大学では2004年からTerrierというオープンソースの検索エンジンを開発しており、SMARTのフレームワークもオープンソースソフトウェアとしてTerrier上に構築されている。現在、SMARTコンソーシアムには、IBM Haifa Research LabやAtos、Athens Information Technologyなどの企業や、インペリアル・カレッジ・ロンドンが参加している。
2014年には、実際の都市内でSMARTの実証実験も行われる予定だ。

(文/山路達也)

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